PR 公開日 2025/09/24 06:30

Hi-Fiのボリュームゾーンを席巻するARCAMの新世代「Radiaシリーズ」を” 徹底レビュー

洗練のミニマルデザインと熟練のデジタル技術が融合
大橋伸太郎、岩井 喬、生形三郎、鴻池賢三、林 正儀、土方久明
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2021年の日本再上陸以来、オーディオビギナーからベテランまで幅広く注目を集めている英国のアーカム。昨年からは、ブラックを基調としたカラーを纏った新世代のRadiaシリーズが登場し、国内最大級のオーディオビジュアルアワード「VGP」でも各製品が受賞を果たすなど、まさにいま飛ぶ鳥を落とす勢いを誇っている。本稿では、そんなアーカムの魅力をオーディオ評論家の大橋伸太郎氏が解説する。

ミドルクラスを代表する英国のブランドに成長した

世界のHi-Fiの中心地イギリス。スピーカー専業からエレクトロニクスまでメーカー数の多さは他国の比でなく、尖鋭な技術や贅を尽くした設計を誇示するスーパーハイエンドよりも、ミドルクラスを手がけるメーカーが多いこともこの国の特徴だ。

ボリュームゾーンの充実はマーケットが健全であることの証左にほかならない。この国にあってオーディオは富裕層の邸宅を飾るアダ花でなく、広くミュージックラヴァーのためにあたりまえのように存在し、人類の共有財産である音楽をありのままに届けることが使命なのだ。

多くのメーカーが競い合う中、もっとも旺盛に活動し一頭光る存在が「アーカム」である。2017年に世界最大のオーディオコングロマリットであるハーマンインターナショナル傘下に入り、2021年日本市場でも華々しい復活を遂げた。

アーカムは、1971年にケンブリッジ大学で物理学を学ぶジョン・ドーソンとクリス・エヴァンスによって旗揚げした。当初はアンプリフィケーション・アンド・レコーディングという社名のもと、コンサート用PAのシステム設計などを手がけたのち、スタジオ用のミキシングシステム等プロオーディオ機器に進出。そして、1976年に、最初の家庭用プリメインアンプ「A60」を完成させる。同時に社名を、Amplification and Recording Cambridge Limitedに改称、すなわちARCAMの誕生である。

スリムでシンプルな外観からは想像のつかないハイパワーを誇るA60は、たちまち評判となり、13年にわたって作り続けられるロングセラーとなった。1980年代に入り、デジタルオーディオに着目し、自社製CDの開発生産に乗り出すが、1989年の時点でCDトランスポートとD/Aコンバーターを独立したコンポーネントとして提案したのは卓見と言えるだろう。

単体DACの「DELTA Black Box」はフィリップス製だが、周辺回路にアーカムのカスタムICを使用し、システムとして高S/N化を狙った。ペアをなすトランスポート「DELTA 170」は、マスタークロックの交換でバージョンアップが可能な先進的オープンアーキテクチュア設計だった。

2000年代になると、DVDプレーヤー「DV27」を発売。機を見るに敏、といえばそれまでだが、ハイエンドの狭き堂宇に閉じこもらずマーケットの需要に密着するフレンドリーで柔軟な姿勢は今日に続くアーカムの太い背骨といえる。その後も、インテグレーテッドアンプ、セパレートアンプ、CDプレーヤー、トランスポート、D/Aコンバーター、さらにスピーカーシステムが世代を重ね、イギリスのミドルクラスを代表する一社に成長を遂げた。

新登場のRadiaシリーズは、ハンドドリップで淹れたコーヒーを丁寧に味わい深く楽しむようなプレミアムな体験を音楽でも提供できるよう、音質面から細部のデザインにもこだわり抜いて設計している

歪みの少ない高精細な「クラスAアンプ」と、大出力の要求に高効率に応える「クラスABアンプ」をハイブリッドした「クラスGアンプ」技術を、主力アンプに搭載する

現在も創業の地・英国ケンブリッジで製品の設計・開発を行う。「Music First」の思想のもと、1976年の銘機「A60」発売当時と変わらぬ姿勢で製品づくりを続けている

ブラックのカラーの筐体に黄色を取り入れた新モデル

ブランドヒストリーはここまでにして、現在のアーカムのHi-Fiのラインナップを望見し「代表選手」を試聴してみよう。

アーカムの原点にして看板がインテグレーテッドアンプで、「A5」「A25」の2機種で構成される。A25は、昨期までの「SA30」に代わるトップモデルで、最新の “Radiaシリーズ” のインテグレーテッドアンプとなる。ノブの部分、放熱のスリットに太陽のエネルギーを象徴する黄色の差し色を配してシリーズのイメージ統一を図っている。

インテグレーテッド・アンプ「A25」220,000円(税込)

増幅方式に小音量でA級、大音量時にAB級動作にシームレスに切り替わるアナログクラスGを採用。100W×2(8Ω)のパワーを持つ。電源部は2系統で音楽再生時に大型のトロイダルトランスを使い、スタンバイ時にスイッチング電源を使う省電力設計。DACチップには「ESS ES9280A PRO」を搭載し、USBタイプC入力でハイレゾ再生ができる。これは下位モデルA5にない特徴だ。

アナログ入力3系統を持ちMMのフォノイコライザーを搭載する。Bluetooth ver 5.2に対応し、接続したCDやアナログレコードの音楽を内蔵トランスミッターで飛ばし、ワイヤレスヘッドホンやイヤホンで聴くこともできる。

その音質は非常に力があり、剛直さと細部の彫琢にこだわる繊細さの双面性が魅力。オーディオ・ビジュアルアワード「VGP2025 SUMMER」にて「プリメインアンプ(20万円以上30万円未満)」で部門金賞と企画賞を一挙に手にした。

同時にエントリー機のA5はVGP2025 SUMMERの「プリメインアンプ(10万円以上20万円未満)」にて部門賞を受賞。

インテグレーテッド・アンプ「A5」110,000円(税込)

こちらはAB級で75W/ch(4Ω)の必要かつ十分なパワーを持つ。ESS社製のDAC「ES9018」を搭載する。A25同様、アナログ入力3系統を持ちMMのフォノイコライザーを搭載。Bluetooth ver 5.2に対応し、CDやレコードのワイヤレスリスニングができる。

このA5とコンビを組むべく登場したRadiaシリーズのCDプレーヤーがCD5である。

CDプレーヤー「CD5」110,000円(税込)

サイズ、デザインともA5と統一が図られ、並列配置しても重ね置きしてもみごとに決まる。ボディ後端に「ひさし」がついていて接続端子をみせないデザインコンシャスな工夫も心憎い。DACにESS社製「ES9018」を搭載、CD、CD-R、CD-RW再生に加え、USB-TypeAポートからの入力でハイレゾファイル再生が可能だ。

エントリーゾーンでは選択肢が限られているというやや物足りなさを感じる現状の中にあっても、内容の充実ぶりはもちろん、ブランドが長年にわたり築き上げてきた信頼性の面でも、両機はひときわ光る存在と言える。取り扱い元であるハーマンインターナショナルのふんばりに心から敬意を表したい。VGP2025 SUMMERにおいて、「ディスクプレーヤー(10万円以上30万円未満)」にて部門賞を獲得している。

ストリーマーやハイクラスのプリメインアンプも新登場

アーカムもネットオーディオ、ストリーミングの展開を充実させている。Radiaシリーズの単体ネットワークストリーマーが「ST25」である。下位機種に「ST5」がある。

ストリーミング・プレーヤー「ST25」220,000円(税込)

無償の専用アプリ「ARCAM Radia」をインストールしてApple AirPlay、Google cast、Spotify Connect、Qobuz Connect、さらにRoon Readyにも対応の予定。ネットワーク上のNASやUSBメモリーの音源も再生可能だ。

6.5型・カラー液晶ディスプレイにジャケットアート、アルバムタイトル、曲名、使用サービス、音声スペック等各種情報を日本語表示する。Radiaシリーズ同士であれば、たとえばA25と専用のケーブルで接続することで、電源のオン/オフやボリュームを一元操作できる。VGP2025 SUMMERでは、「ネットワークオーディオプレーヤー(10万円以上30万円未満)」で部門賞と企画賞を受賞。

ラインナップの主役の座をうかがう存在がオールインワン・ストリーミング・アンプだ。Radiaシリーズでは「SA35」と「SA45」の2機種を用意、同社インテグレーテッドアンプにストリーマーがフュージョンした複合型製品と思いがちだが、最上位のSA45を仔細にみていくと地力でA25を上回るアーカム最強のアンプであることが分かる。

ストリーミング・プレーヤー「SA45」698,500円(税込)

A25同様にクラスG増幅だが、本機はフルバランス構成を採用している。出力も180W/chと大きく上回る。最大PCM 384kHz/32bitのハイレゾ再生に対応、DACはESS社製「Hyperstream W DAC(ESS ES9027 PRO)」をバランスで使用。フォノ入力はMCに対応、HDMI ARC入力まで備える完全主義者ぶり。

いっぽうのSA35、増幅部はアナログクラスGを搭載し、20W/chを実現。

ストリーミング・プレーヤー「SA35」495,000円(税込)

DACはじめ、デジタル部はSA45とほぼ共通で、Apple AirPlay、Google cast、Spotify Connect、Qobuz Connect、さらにRoon Readyに対応も同じ。しかし、実物を前にしたときの両機の印象は違う。

SA45は8.8型・液晶ディスプレイの大画面効果もあり、なかなかの偉容である。抱えてみるとずっしり重く、強力な電源部の存在感がいやおうなく伝わる。この過剰感はハイエンドオーディオのそれ。

いっぽうのSA35は、スリムな筐体にそつなく音質と機能が盛り込まれた、洗練と実用を極めたオーディオの好例。ソース、増幅一体設計から生まれる音質上の利は共通だが、密度感があってワイドレンジ、雄大な音場のSA45に対し、透明感豊かで清々しいSA35と兄弟ながら好一対。

どちらのストリーミング・アンプにもアーカムの積み上げたアナログ/デジタルのノウハウと変わらぬ社是であるMusic Firstの精神がこもっている。

オーディオ評論家がアーカムの各製品をレビュー

クラスG搭載の大注目アンプの「A25」 (林 正儀)

40年以上の歴史をもつ英国ブランドのアーカム。ストリーミング搭載ではA35、A45があるが、純粋なインテグレーテッドアンプとしてはこのA25が上位機種となる。

Radiaシリーズらしく、スリムな筐体にコンセプトカラーであるイエローをあしらっている。ハイセンスなデザインや機能性はそのままに、アーカムが誇るクラスGアンプによって卓越した音楽性を実現している点が魅力的だ。

クラスGとは、クラスAとクラスABのの長所を融合させた増幅方式だ。小信号時には音の良いクラスAで働き、パワーが必要なときは深いバイアスのAB級動作に切り変わる。際立つ特徴は、それぞれに専用電源を有していることだ。基板1枚でほとんどの機能をまかなっているのがアーカムのコンセプトで、大きな1枚基板の中に全てをレイアウト。信号の伝達ロスを最小限に抑えている。

A25を聴いた。オーソドックスでありながら先進的な音だ。矛盾するようだが、長い間培ってきたアーカムサウンドの良さがある。クラスGの特質を活かした歪みのない正確な再現性というべきで、ジャンルを問わず実にナチュラルに聴かせてくれる。大出力による余裕がベースとなっており、ジャンルを問わない本質的な音楽リスニングに通じるものだ。ハイC/Pなのも嬉しい。

SPEC「A25」
●出力:100W(2ch、20Hz〜20kHz、8Ω)、165W(2ch、1kHz、4Ω) ●周波数特性:20Hz - 20kHz(±0.2dB)●全高調波歪+ノイズ:0.002%(80% power、8Ω、1kHz) ●S/N比:106dB ●入力端子:RCA(10kΩ)×3、MMフォノ(負荷抵抗 47kΩ/100pF)、光デジタル×1、同軸デジタル×2、USB Type-C×1、USB Type-A(サービス用)×1 ●出力端子:プリアウト(RCA、10kΩ)×1、ヘッドフォン(32Ω/300Ω)×1 ●最大消費電力:500W(待機時0.5W以下) ●外形寸法:431W×83H×344Dmm ●質量:9kg

 

最新の機器としてアップデートしたプリメイン「A5」(鴻池賢三)

A5は古き良きベーシックな佇まいを感じさせるインテグレーテッドアンプ。名門ARCAMの礎とも言える「A60」で打ち出された哲学と設計思想を継承しつつ、最新のオーディオ機器として必要な仕様を網羅してアップデート。

電源回路にトロイダルトランス、AB級アンプ回路、MM対応フォノを含むアナログ入力など、アナログの魅力を追求。加えて同軸・オプティカルとBluetoothデジタル入力に対応し、D/A変換回路にはESS社の高品位D/Aコンバーター「SABRE ES9018K2M」を採用するなど、製品の格に見合った上質なデジタル対応を果たしている。

デザイン面でも「A60」を意識したスリムさと長年愛され続けて来たトラディションを意識。同時期に発売され組み合わせを意識したCDプレーヤー「CD5」とスタックすることで美意識が完成する。差し色のように控えめにあしらわれた黄色のラインやサークルはリモコンにも共通し、伝統の中にも新しい息吹を感じさせられる。

サウンドは静寂さと躍動感を兼ね備えた音楽性の高さが妙味。熟成を感じるアナログハイパワーアンプと洗練度の高いデジタルが融合し、ブリティッシュサウンドをまた一つ面白くする。

SPEC「A5」
 ●出力:50W(2ch、20Hz - 20kHz、8Ω)、75W(2ch、1kHz、4Ω) ●周波数特性:20Hz - 20kHz(±0.2dB) ●全高調波歪+ノイズ:0.003%(80% power、8Ω、1kHz) ●S/N比:106dB ●入力端子:RCA(10kΩ)×3、MMフォノ(負荷抵抗 47kΩ/100pF)、光デジタル×1、同軸デジタル×2、USB Type-A((サービス用)×1 ●出力端子:プリアウト(RCA、10kΩ)×1、ヘッドフォン(32Ω/300Ω)×1 ●最大消費電力:350W(待機時0.5W以下) ●外形寸法:431W×83H×344Dmm ●質量:8kg

 

CDリスナーに寄り添った「CD5」(岩井 喬)

多くのオーディオブランドからCD専用プレーヤーの姿が消えている。特に10万円前後のエントリー〜ミドルクラスにあたる、手頃な価格帯の製品は非常に少ない状況だ。CD5はそうした入門用CDプレーヤーの空白地帯にちょうど良く収まる製品といえるだろう。

アーカムは1986年からCDプレーヤーの販売を始め、これまでにSACDプレーヤーを含む様々なプレーヤーを世に送り出してきた。ファイル再生全盛となった現在でも、音楽を収めたモノとしての価値のあるCDを大事にするリスナーに寄り添った製品展開を堅持している。

UKブランドならではの薄型筐体にまとめられているが、シールド効果のある金属ボディを採用し、背面側を斜めにカットしたデザインや黄色のワンポイントラインを施すなど、個性を打ち出している点も特徴の一つ。CDだけでなく、96kHz/24bitまでのWAV、FLACなどのファイルを記録したCD-RやUSBメモリー再生も可能だ。DACにはESS製「ES9018K2M」を搭載。

密度良くしなやかな音像と、滑らかな楽器の質感が特徴で、音楽の骨格となるリズムの濃密さ、重心をバランス良くまとめたサウンドである。根強い人気を持つディスク再生を諦めない、アーカムのスタンスを色濃く反映した一台だ。

SPEC「CD5」
●対応メディア:CD(オーディオ)、CD-R(オーディオ/データ)、CD-RW(オーディオ/データ)、USB Type-A(データ) ●対応ビット深度:16 - 24bit ●対応サンプリング周波数:32、44.1、48、88.2(WAV & FLAC)、96(WAV & FLAC) ●周波数特性(fliter 1):20Hz - 20kHz ±0.05dB ●出力電圧(0dBFS):2.1V rms ●S/N比(A-wtd, ref. 16-bit/24-bit, 0dBFS):93dB/115dB ●出力端子:RCA(10kΩ)×1、同軸デジタル×1、光デジタル×1 ●最大消費電力:12W(待機時消費電力0.5W以下) ●外形寸法:431W×83H×344Dmm ●質量:6kg

存在感と信頼感が光るプレーヤー「ST25」(生形三郎)

ST25は、同社Radiaシリーズの単体ネットワークプレーヤーだ。シリーズには、Gクラスアンプ内蔵のハイクラスなネットワークストリーマー「SA45」及び「SA35」がラインアップされているが、本機は、それらと同じESS製「ES9027PRO」チップを用いたDAC部を搭載することが最大の特徴である。

シリーズに共通のイエローのアクセントラインを持った洗練された筐体デザインを備えるとともに、フロントには6.5インチの液晶パネルを搭載。伝統的な英国製コンポーネントらしいシンプルでミニマムなデザインと、ネットワークプレーヤーにとって欠かせない操作性や視認性の良さがしっかりと確保されている。

サウンドも、当然、現在のARCAM製品に通ずる魅力を備えており、音楽が持つ世界観を忠実に再現する規範的な音色バランスを基調としながらも、歌声やメロディなど音楽の主要素が明瞭かつ快活に耳へと届く音質を実現している。デザイン同様、シンプルかつ上質でありつつも、あくまで自然体に音楽を楽しめるのだ。ST25は、数多あるネットワークプレーヤーの中でも、確かな伝統と技術を持つARCAMならではの存在感と信頼感が光る製品と言えるだろう。

SPEC「ST25」
 ●対応アプリ:ARCAM Radia、Spotify Connect、Tidal Connect、Qobuz Connect、Roon Read(予定) ●対応サービス:Apple Airplay、Google cast ●ARCAM Radia 対応サービス:インターネットラジオ、Podcasts、UPnP、USB メディア(USB Type-A入力) ●対応ビットレート:16、24、32bit ●最大サンプルレート:384kHz ●出力端子:同軸デジタル×、光デジタル×1、RCA×1 ●最大消費電力:15W(待機時消費電力0.5W未満) ●外形寸法:432W×99H×329Dmm ●質量:5kg

 

 

アーカムのフラグシップとなる「SA45」(土方久明)

8.8型の大型ハイコントラスト液晶ディスプレイを備え、シャーシやリモコンにはイエローの差し色が入っている(デザインとのマッチングは良好)。視覚的には、現代的なアンプの到達点の一つを示すようなデザインで、眺めているだけでも気持ちが高まる。

本モデルには高度なルーム補正機能「Dirac Live」が搭載されている。このアンプは、低歪みのAクラスアンプと、高効率・大出力のABクラスアンプの長所を両立したGクラス方式を採用している点が特徴だ。

音質はアンプの支配力が高く、音に適度な色彩感があり、低音域の迫力も印象的。どのタイプのスピーカーと組み合わせても、基本的にメロディアスに聴かせてくれるタイプのアンプで、特に音色の良いタンノイ「Stirling/GR」と組み合わせると、ジャンルを問わず高品位な再生を楽しめた。

SPEC「SA45」
 ●定格出力:180W+180W(8Ω、20Hz-20kHz)、300W+300W(4Ω、1kHz) ●全高調波歪み率:0.002%(80% power、8Ω、1kHz) ●S/N比:106dB ●入力端子:RCA×3、XLR×1、PHONO(MM)×1、PHONO(MC)×1、HDMI(eARC)×1、同軸デジタル×2、光デジタル×2、USB Type-A×1、LAN×1 ●出力端子:XLR×2、プリアウト×1、サブウーファー(LR)×1 ●最大消費電力:1000W(待機時最小0.5W未満) ●外形寸法:432W×140H×390Dmm ●質量:17kg

新たに舵を切ったお求めやすい複合モデル「SA35」(大橋 伸太郎)

導入されたばかりのRadiaシリーズ、ストリーミング・アンプ2機種の下位である。Qobuzの庄司紗矢香、モーツァルト・ヴァイオリンソナタ第28番(192kHz/24bit)は、録音会場の教会の空間描写、バロック弓、ガット弦のストラディヴァリウスの力強いボーイング、フォルテピアノの倍音が空気になじんでいく描写、転がるようなパッセージの滝がこぼれおちるような響きはことごとくCDに優る。

Qobuzの『ピンク・フロイド・アット・ポンペイ』(96kHz/24bit)は、ニック・メイスンのドラムの弾力にみちた連打が音場を埋め尽くし、ロジャー・ウォータースのベースが鉄柱のように音場に屹立する。高く広く深い音場はハイレゾの広大な空間あってだ。目を瞑って聴いていると翼を得てポンペイから飛び立ち、箱根の霧にたちこめるステージ前へ着地する幻覚に惑う。 

ハイレゾストリーミングサービスがついに出揃いハード機器と歯車が噛み合いなめらかに動き出した。アンプ、レシーバーもオーディオの新しいフェーズに適応しなければならない。アーカムは、産地直結の生々しい鮮度感、空間の大きさを現出することへ音作りの舵を切った。44kHzのソースを再生してもそこには真新しい音の光景があった。

SPEC「SA35」
 ●対応アプリ:ARCAM Radia、Spotify Connect、Tidal Connect、Qobuz Connect、Roon Read(予定) ●対応サービス:Apple Airplay、Google cast ●ARCAM Radia 対応サービス:インターネットラジオ、Podcasts、UPnP、USB メディア(USB Type-A入力) ●出力:120W(2ch、20Hz - 20kHz、 8Ω)、200W(2ch、1kHz、4Ω) ●全高調波歪+ノイズ:0.002%(80% power、8Ω、1kHz) ●周波数特性:20Hz - 20kHz(±0.2dB) ●S/N比:106dB ●入力端子:RCA×3、MM/MCフォノ×1、HDMI(eARC)×1、同軸デジタル×2、光デジタル×2 ●最大消費電力:700W(待機時消費電力0.5W以下) ●外形寸法:432W×99H×344Dmm ●質量:12kg

 


(提供:ハーマンインターナショナル株式会社)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.198』からの転載です

 

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