PR 公開日 2024/12/10 07:00

デノン最上位SACDプレーヤー「DCD-3000NE」レビュー。透明度を極めた、いつまでも聴いていたいハイエンドサウンド

技術の粋を尽くしてさらなるVivid&Spaciousを実現

■いつまでも聴いていたいナチュラルサウンド。ノーマルCDもハイレゾ級の音質に



今回の試聴では、先行発売されたプリメインアンプPMA-3000NEとペアを組み、スピーカーとして音元出版試聴室の新リファレンススピーカー、B&W「802D4」を使用しました。

DCD-3000NEと対をなすプリメインアンプ「PMA-3000NE」と組み合わせて試聴

このPMA-3000NEにも触れておきましょう。本モデルも、本SACDプレーヤーと同等の開発方針で開発されました。大きな特徴は、新型UHC-MOSシングル・プッシュプルのパワーアンプ回路が、究極のシンプル、差動1段アンプ回路に到達したことです。同時に増幅の最短距離、可変ゲイン型プリアンプの改良なども行いました。特筆すべきは、プリメインアンプとしては珍しい、大型ツイン・トランスの電源部と進化した高精度USB-DACを搭載することです。

最初に、私のリファレンスヴォーカル曲、2Lの「クワイエット・ウインター・ナイト」(SACD)から2曲目を再生しました。再生開始するなり、すぐ感じとったことは、演奏前の大聖堂の空気感を鮮明にしたことです。空間が広がりました。いかに高いS/Nと解像度を身につけたか、よく分かります。

バスドラムは、立ち上がりが俊敏で、厚みがあり、残響を伴っています。ピアノの音は、透明度が高く、余韻が美しく減衰していきます。ヴォーカルは、ステージの前面に定位し、ヴォーカルマイクを使っていないため、時折、体の向きを変えて歌う様子も再現されました。実在感があり、実に生々しいヴォイスです。

トランペットの響きも、ステージ奥から前に横切っているように感じさせます。鈴のようなパーカションは繊細な響きを伴いながら、左右に空中浮遊します。ベースも弾力感があり、この演奏を引き立てています。

このように本機は、音の透明度を格段に向上させ、高解像度化を図った印象を受けます。情報量が多いです。そして、音源に内包する空間を高精度に再現する、空間描写性も進化しています。これらは、前述の技術が発揮された効果です。

音色としては、とにかく、音の透明度を極めた、いつまでも聴いていたくなるナチュラルな音です。低音から高域のバランスは、再生音源に忠実に従っているようで、マスターの本当の音を聴いている感覚になります。音楽でエッセンシャルな楽器や声の倍音も実に豊潤で、まさにハイエンド・サウンドが堪能できます。

次に、今年創業55周年を迎えたECMレーベルから、トルド・グスタフセン・トリオの「OPENING」(CD)から2曲目を再生しました。これには感激しました。もはやCDの音ではなく、ハイレゾと同等の音質を体験しました。これは、明らかにULTRA AL32 Processingの効果です。

ピアノの響きに、CDとは思えない豊かで透明感のある響きが体験でき、ドラムスも高い音圧でダイナミックに部屋の空気を打ちつける感覚を憶えます。そして、左右に拡散される、鮮烈なシンバルに感激します。その細かな余韻もよく再生し、ベースでも、指で弦を弾く様子や胴の響きをよく再生します。

そして、何よりも素晴らしいのは、この3人が創り上げる空間です。本機は、その透明感ある響きを徹底して再現してくれ、照明を消すと、一層、生演奏に迫る思いがします。SACDのみならず、今までコレクションしてきたCDを聴き直したくなります。


最後にヴァイオリニスト、イザベル・ファウストによるシェーンベルクのヴァイオリン協奏曲(SACD)を再生してみました。ややフレッシュな響きをもつホールの中で、弦楽パートや管楽器パートなどが見通しよく再現され、中央に巧みなボウイングを見せる奏者がリアルに定位します。

特に途中でソロ演奏する様子は、静寂な空間に驚くほどに解像度高く再現され、弦の擦れる様子や響きが広がる様子もリアルで感動しました。そして、終盤の静寂から瞬時に怒涛の全奏に移りゆく旋律では、床を揺るがすほどのダイナミックレンジが広く、極めて鮮度の高い響きが体験できました。



このように、音に技術が反映され、さらなるVivid&Spaciousを実現したことを実感しました。また、こうした徹底した回路構成を実現するだけではなく、音質を阻害する要因を徹底的に排除し、試聴を重ね、カスタムコンデンサーや抵抗などを選んでいることに感心させられました。

そこには、ハイエンド・ブランドの佇まいを漂わせています。そして、この高品位なデザインと搭載技術を持ち合わせながら、若い世代も頑張れば、手にできる価格を実現していることにも、高く評価しています。

同社のサイトで本製品についてじっくりと読み、専門店で、ぜひ一度、試聴してみて頂きたいと思うところです。



試聴ディスク


1.Quiet Winter Night/ホフ・アンサンブル
2L KKC-10009



2. OPENING/トルド・グスタフセン・トリオ
ECM 454 0243



3.シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲、浄夜(弦楽6重奏版)
イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
ダニエル・ハーディング指揮
スウェーデン放送交響楽団
harmonia mundi HMSA0045


(協力:ディーアンドエムホールディングス)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 オートバックス、初のカーオーディオ特化型店舗「オートバックス オーディオテーラー」を千葉にオープン
2 マランツ「LINK 10n」が持つ唯一無二のポテンシャルを体験。注目ストリーミングプリアンプを聴く!
3 SOUND WARRIOR、“メイド・イン・ジャパン” にこだわった卓上USB-DAC/アンプ「SWD-BA30」
4 サブウーファー4基! ド迫力のイマーシブサウンドが楽しめる防音シアタールーム
5 Aura「LCC 1」はヘッドホンアンプも超一流!ハイエンドヘッドホンで徹底クオリティレビュー
6 他社製品もOK。Ankerがモバイルバッテリーやワイヤレスイヤホンの回収実証実験
7 アナログ録音の極致へ。新鋭レーベル「Analog Tone Factory」が贈る至高のジャズ・アナログ盤4タイトルが同時ラインナップ
8 BUTTONS、AI搭載のながら聴きイヤホン「BUTTONS CLIP」に新色 “Cream White”
9 Noble Audio、9ドライバー/クアッドブリッドの最上位イヤホン「Kronos」
10 ChatGPTからApple Musicのプレイリスト作成など各種操作が可能に。公式アプリが登場
12/22 10:01 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX