PR技術の粋を尽くしてさらなるVivid&Spaciousを実現
デノン最上位SACDプレーヤー「DCD-3000NE」レビュー。透明度を極めた、いつまでも聴いていたいハイエンドサウンド
いつ見ても、フロントのウェーブ・デザインが美しいデノンのSACDプレーヤーとプリメインアンプ。今年は、9月にアンプのモデルラインに「PMA-3000NE」を登場させ、この12月には、これとペアを成すべきSACDプレーヤー「DCD-3000NE」を登場させました。
デノンは、CDの登場以来、理想の高精度D/A変換を追求し、モデルラインを拡張してきました。この間に、CDとアナログ音源の波形と音の違いを探求し続け、独自の波形補完と帯域拡張を行うアルゴリズムまでも開発しました。これが、世界で唯一無二となる「ALPHA Processing」です。
こうした歴史を刻んできたSACDプレーヤーの中で、本機は、「DCD-SX11」と創業110周年記念モデル「DCD-A110」が今年、生産完了となることもあり、現在のフラグシップモデルとしての位置付けとなりました。型番末尾のNEは「New Era(=新しい時代)」を意味しますが、NEモデルの大きな開発ポリシーは、「Vivid & Spacious Sound(=生々しい空間描写性に溢れたサウンド)」の実現で、技術の焦点の一つは、伝送回路の最短化です。私は、このポリシーを高く評価しています。
そして、本機の内部技術の焦点は3点あります。まず1つ目はオーディオ基板の刷新で、2層基板から4層基板へ変更しました。これと併せて、伝送の最短距離を実現しました。さらにD/Aコンバーター部の最適化も行いました。最終的な目標は、さらなるVivid&Spacious Soundを達成することです。
その魅力的な内部技術に触れてみました。まずは、徹底したサウンドデザインの細部を紹介した上で、D/A変換部などの注目点を紹介します。
トッププレートを外して、内部を見ると、ブラックの基板が使われ、精密感に溢れています。中央にはディスクドライブがありますが、A110で使用していた後部の銅製プレートは、静電気の対策という本来の目的を、より効率的な方法で対策し、より開放感のあるサウンドを得られることから、排除されました。
電源トランスは左側にあり、アナログ用とデジタル用のツイン・トランス構成です。そのトランスベースにA6061グレードの3mm厚の高品位アルミを採用して微細振動を低減し、ケーブルの撚りまで調整しています。デジタル系の電源部は、その上部にあり、DAC/アナログ回路用は、右側手前に配置されています。
この電源部だけでも随所で高音質パーツが採用されており、その他、アナログ/デジタルを含めた各基板に、同社のカスタムコンデンサーであるSY/NE、PPSC-X、RFY/YHが採用されています。これらは、NEシリーズの根幹を成す大きな特徴の一つです。
ここから、本機の技術進化を紹介します。まず、右側のD/A/アナログ出力段(ローパス・フィルター)の基板が、A110の2層から4層基板に変更されました。これにより、アナロググランドが強化でき、光/同軸出力を行うデジタル基板やドライブメカからのノイズに強くなります。DACチップの熱対策にも貢献し、放熱効果があるため、コンデンサーなどのパーツの劣化を抑制することもできます。
そして、さらなるミニマム・シグナルパス(伝送回路の最短化)が行われました。それは、内部ノイズを受けやすいワイヤーを削減し、デジタル電源基板、デジタル基板、アナログ基板の接続に基板を用いたことです(Board to Board)。これは、電源部を含めて検討されました。
そして、注目のD/A変換回路を紹介します。まず、基板を見て注目するのは、一番手前に配置されたFPGAです。これが現在、究極のプロセッシング「ULTRA AL32 Processing」で、A110を踏襲しています。これは独自のアルゴリズムを投入し、CDの44.1kHz/16bitなどのPCM信号をアナログに迫る音質に進化させるものです。
その補完処理帯域を拡張し、静特性を改善しました(-3dBのS/Nの向上)。オーバーサンプリング比は従来のAL32 Processingの2倍で、768kHzから1.536MHzに拡張されています。これは、PCM信号のギザギザの階段状波形を滑らかなサインウェーブにするところが特徴で、特に周波数帯域の拡張、弱音や倍音再現性に効果を発揮します。A110からのブラッシュアップとして、よりナチュラルな音質となるよう、FPGAの内部の演算パラメータがアップデートされています。
搭載するDACチップに合わせて、アップデートもされています。DACチップには、ESSの高性能32bit ステレオDAC「ES9018K2M(ダイナミックレンジ:127dB、全高調波歪+ノイズ特性:-120dBの性能値)」を左右に各1基ずつ(1基に2chのDACを積んでいるため、左右合計で4ch分)搭載しました。その内部の2式のDACを並列駆動させて、ダイナミックレンジの拡張と変換のリニアリティを向上させています。
しかも、ULTRA AL32 Processingは、1.536MHzオーバーサンプリング信号が1chのホット、コールドに2分割(768kHzずつ)で出力され、高精度変換の後に合算され、元の1.536MHzオーバーサンプリング状態の電流が出力される方式となっています。
出力電流は4倍になり、後段のI/V変換回路は、増幅誤差を避けるためにカスコード回路で構成されています。使用するパワートランジスターの大型化も行い、ブラッシュアップされました。その結果として、S/N向上と聴感上のパワー感の進化を実現しています。
なお、このDACチップはかなり神経質で、上質な電源も不可欠となります。従って、電源と回路も新設計されました。最終出力段(差動合成回路)も規模の大きなディスクリート構成で、左右シンメトリーデザインになっています。
内部クロックも高品位で、DSD用に1種、PCM用に2種の合計3種の低位相ノイズ・クロックを採用しました。これを搭載する内部クロック・ジェネレーターは、再生音源のサンプリングレートに従って、ULTRA AL32 ProcessingのFPGAとDACチップに適合するクリーンで高精度なマスタークロックを同時供給し、ジッターを排除しています。本機はこのように、精密感のある、音質を極めた回路構成を実現しているのです。
デノンは、CDの登場以来、理想の高精度D/A変換を追求し、モデルラインを拡張してきました。この間に、CDとアナログ音源の波形と音の違いを探求し続け、独自の波形補完と帯域拡張を行うアルゴリズムまでも開発しました。これが、世界で唯一無二となる「ALPHA Processing」です。
こうした歴史を刻んできたSACDプレーヤーの中で、本機は、「DCD-SX11」と創業110周年記念モデル「DCD-A110」が今年、生産完了となることもあり、現在のフラグシップモデルとしての位置付けとなりました。型番末尾のNEは「New Era(=新しい時代)」を意味しますが、NEモデルの大きな開発ポリシーは、「Vivid & Spacious Sound(=生々しい空間描写性に溢れたサウンド)」の実現で、技術の焦点の一つは、伝送回路の最短化です。私は、このポリシーを高く評価しています。
そして、本機の内部技術の焦点は3点あります。まず1つ目はオーディオ基板の刷新で、2層基板から4層基板へ変更しました。これと併せて、伝送の最短距離を実現しました。さらにD/Aコンバーター部の最適化も行いました。最終的な目標は、さらなるVivid&Spacious Soundを達成することです。
■オーディオ基板の4層化やDAC部最適化など、徹底した高音質化を実現
その魅力的な内部技術に触れてみました。まずは、徹底したサウンドデザインの細部を紹介した上で、D/A変換部などの注目点を紹介します。
トッププレートを外して、内部を見ると、ブラックの基板が使われ、精密感に溢れています。中央にはディスクドライブがありますが、A110で使用していた後部の銅製プレートは、静電気の対策という本来の目的を、より効率的な方法で対策し、より開放感のあるサウンドを得られることから、排除されました。
電源トランスは左側にあり、アナログ用とデジタル用のツイン・トランス構成です。そのトランスベースにA6061グレードの3mm厚の高品位アルミを採用して微細振動を低減し、ケーブルの撚りまで調整しています。デジタル系の電源部は、その上部にあり、DAC/アナログ回路用は、右側手前に配置されています。
この電源部だけでも随所で高音質パーツが採用されており、その他、アナログ/デジタルを含めた各基板に、同社のカスタムコンデンサーであるSY/NE、PPSC-X、RFY/YHが採用されています。これらは、NEシリーズの根幹を成す大きな特徴の一つです。
ここから、本機の技術進化を紹介します。まず、右側のD/A/アナログ出力段(ローパス・フィルター)の基板が、A110の2層から4層基板に変更されました。これにより、アナロググランドが強化でき、光/同軸出力を行うデジタル基板やドライブメカからのノイズに強くなります。DACチップの熱対策にも貢献し、放熱効果があるため、コンデンサーなどのパーツの劣化を抑制することもできます。
そして、さらなるミニマム・シグナルパス(伝送回路の最短化)が行われました。それは、内部ノイズを受けやすいワイヤーを削減し、デジタル電源基板、デジタル基板、アナログ基板の接続に基板を用いたことです(Board to Board)。これは、電源部を含めて検討されました。
そして、注目のD/A変換回路を紹介します。まず、基板を見て注目するのは、一番手前に配置されたFPGAです。これが現在、究極のプロセッシング「ULTRA AL32 Processing」で、A110を踏襲しています。これは独自のアルゴリズムを投入し、CDの44.1kHz/16bitなどのPCM信号をアナログに迫る音質に進化させるものです。
その補完処理帯域を拡張し、静特性を改善しました(-3dBのS/Nの向上)。オーバーサンプリング比は従来のAL32 Processingの2倍で、768kHzから1.536MHzに拡張されています。これは、PCM信号のギザギザの階段状波形を滑らかなサインウェーブにするところが特徴で、特に周波数帯域の拡張、弱音や倍音再現性に効果を発揮します。A110からのブラッシュアップとして、よりナチュラルな音質となるよう、FPGAの内部の演算パラメータがアップデートされています。
搭載するDACチップに合わせて、アップデートもされています。DACチップには、ESSの高性能32bit ステレオDAC「ES9018K2M(ダイナミックレンジ:127dB、全高調波歪+ノイズ特性:-120dBの性能値)」を左右に各1基ずつ(1基に2chのDACを積んでいるため、左右合計で4ch分)搭載しました。その内部の2式のDACを並列駆動させて、ダイナミックレンジの拡張と変換のリニアリティを向上させています。
しかも、ULTRA AL32 Processingは、1.536MHzオーバーサンプリング信号が1chのホット、コールドに2分割(768kHzずつ)で出力され、高精度変換の後に合算され、元の1.536MHzオーバーサンプリング状態の電流が出力される方式となっています。
出力電流は4倍になり、後段のI/V変換回路は、増幅誤差を避けるためにカスコード回路で構成されています。使用するパワートランジスターの大型化も行い、ブラッシュアップされました。その結果として、S/N向上と聴感上のパワー感の進化を実現しています。
なお、このDACチップはかなり神経質で、上質な電源も不可欠となります。従って、電源と回路も新設計されました。最終出力段(差動合成回路)も規模の大きなディスクリート構成で、左右シンメトリーデザインになっています。
内部クロックも高品位で、DSD用に1種、PCM用に2種の合計3種の低位相ノイズ・クロックを採用しました。これを搭載する内部クロック・ジェネレーターは、再生音源のサンプリングレートに従って、ULTRA AL32 ProcessingのFPGAとDACチップに適合するクリーンで高精度なマスタークロックを同時供給し、ジッターを排除しています。本機はこのように、精密感のある、音質を極めた回路構成を実現しているのです。