PR 公開日 2024/11/14 06:30

THIEAUDIO「Origin」は低音好き垂涎!骨伝導搭載・クアッドハイブリッド構成のイヤホンを聴く

「Oracle MKIII」「Hype10」のクオリティもチェック

■スタンダードな音づくりの完成度を追求した「Oracle MKIII」


続いてはOracle MKIIIを見ていこう。MKIIIいう名称からもわかるように、ブランド初期からの人気シリーズの最新世代機だ。“Oracleシリーズ” は「できるだけ少ないドライバー数でフルレンジをカバーし、スタジオモニター的な再現性を得る」ことを意図したシリーズ。

「Oracle MKIII」 99,000円(税込)

最小限のドライバー構成であることから価格もハイエンド機としては比較的手頃であり、THIEAUDIOハイエンドの魅力に触れたいならまずこれ!的なラインといえるだろう。そこはMKIIIでも変わらずだ。

その上でMKIIIでの大きな変化はドライバー構成。前世代のMKIIはダイナミック型1基/BA型1基/BA型1基/静電型2基という構成だったが、MKIIではサブウーファー的にローエンドを担当するダイナミック型を2基に変更。その2基を等圧動作させる「IMPACT2(インパクト・スクエアード)」技術で低音のパワーと質感を共に強化してある。高域をより滑らかに整えたという新たなチューニングにも注目だ。

前モデル「Oracle MKII」ユーザーのフィードバックを活かして開発された「Oracle MKIII」。Oracle MKIIのシャープな高域を抑え、中低域をブーストしたという。その結果、Oracle MKIIよりも暖かくなめらかな高域を実現できたという

実際に聴いての印象としては、Originと比べてすっきりとした音像や空間、より引き締まった低音表現、エッジ感やスピード感が持ち味だと感じられた。独自の個性を持たされたOriginとの比較では、「スタンダードな音づくりの完成度を追求したモデル」ともいえるだろう。

THIEAUDIOのなかでも比較的少なめのドライバー数が特徴の「Oracle」シリーズの最新モデル。「少ないドライバーで全帯域をカバーすること」がコンセプトだという。技術的には、低域に「IMPACT2(Impact Squared)」と呼ばれる独自のダイナミック型ドライバーを搭載していることがポイント。2基の10mm径複合振動板ドライバーを等圧動作するように配置しており、それにより、低域のパワーと質感が大幅に強化されているという

だが、いかにもハイエンド的な精密描写ではなく、やや大柄な音像を存在感たっぷりにドンッドンッと配置する大らかさやそこから生まれるスケール感といった部分は、スタンダードの範疇の中での十分な個性。特にこのモデルを選ぶ理由になり得るはずだ。

シリコン、低反発素材の2種類のイヤーチップのほか、2.5mm/3.5mm/4.4mmの3種のプラグに交換できるモジュラー・ケーブル、キャリングケースなどが付属する

■音像のクリアさやなめらかさ、アタックの粒立ちが際立つ「Hype 10」


最後にHype 10。BA型によるマルチ構成に前述の2基のダイナミック型によるサブウーファー技術「IMPACT2」を加えた、“Hypeシリーズ” の最上位モデルとなる。

「Hype10」 143,180円(税込)

主要な帯域を計10基BAドライバーによる3ウェイでカバーし、その下のローエンドを「IMPACT2」によるダイナミック型サブウーファーで支え充実させる構成を採用。BAドライバーは各帯域それぞれに適したSonion製とKnowles製がセレクトされている。

なおシリーズのエントリーライン「Hype4」「Hype2」はそれぞれBAドライバーが4基/2基と、よりシンプルな構成。チューニングはシリーズ共通で「暖かく厚みがあり、中域の色彩が豊か」を狙っているとのことだ。

ということで聴いてみると、「暖かく厚みがあり」という要素もありつつそれよりも際立っていたのは、ひとつひとつの音像のクリアさやなめらかさ、アタックの粒立ちや輪郭のくっきり感など。そこは上質なBAマルチにも通じるところだ。

その上でBAマルチだけだと不足しがちなローエンドはIMPACT2によって支えられているというのがこのモデルの強み。BAマルチを好む方にこそチェックしてほしいサウンドだ。

銀メッキOFCケーブルのほか、3種類のプラグ、シリコン、低反発素材のイヤーチップが同梱する

さてTHIEAUDIO最新3モデルを聴いてのまとめだが、全てのモデルが、「最新技術を詰め込んだら結果的にこうなりました」というわけではなく、明らかに意図されてつくり込まれたサウンドに仕上げられていることに深く感心させられた。「我々はこの音を出したかったんだ!」が伝わってくる音だ。オーディオの根源がここにある。

SPEC
「Origin」
●型式:ハイブリッド型 ●ドライバー構成:10mmダイナミック型×1(低域)、BA型×4(中低域×2、高域×2)、静電型×2(超高域)、骨伝導×1 ●再生周波数帯域:20 - 44kHz ●インピーダンス:9Ω ●能率:102dB(±1dB)@1kHz ●付属品:イヤーチップ(シリコン:S/M/L、低反発:S/M/L)、プラグ2種(3.5mm/4.4mm)、クリーニングクロス、キャリングケース ほか

「Oracle MKIII」
●型式:ハイブリッド型 ●ドライバー構成:ダイナミック型×2(低域)、BA型×2(中域×1、高域×1)、静電型×2(超高域) ●再生周波数帯域:20 - 44kHz ●インピーダンス:25Ω ●能率:99dB@1kHz ●付属品:イヤーチップ(シリコン:S/M/L、低反発:S/M/L)、プラグ3種(2.5mm/3.5mm/4.4mm)、クリーニングクロス、キャリングケース ほか

「Hype10」
●型式:ハイブリッド型 ●ドライバー構成:ダイナミック型×2(低域)、BA型×10(低域×2、中域×2、高域×4、超高域×2) ●再生周波数帯域:10 - 40kHz ●インピーダンス:18Ω ●能率:105dB@1kHz ●付属品:イヤーチップ(シリコン:S/M/L、低発:S/M/L)、プラグ3種(2.5mm/3.5mm/4.4mm)、クリーニングクロス、キャリングケース ほか


(協力:ナイコム株式会社)

本記事は「プレミアムヘッドホンガイドマガジンVOL.22 2024 WINTER」からの転載です。

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 オートバックス、初のカーオーディオ特化型店舗「オートバックス オーディオテーラー」を千葉にオープン
2 マランツ「LINK 10n」が持つ唯一無二のポテンシャルを体験。注目ストリーミングプリアンプを聴く!
3 SOUND WARRIOR、“メイド・イン・ジャパン” にこだわった卓上USB-DAC/アンプ「SWD-BA30」
4 サブウーファー4基! ド迫力のイマーシブサウンドが楽しめる防音シアタールーム
5 Aura「LCC 1」はヘッドホンアンプも超一流!ハイエンドヘッドホンで徹底クオリティレビュー
6 他社製品もOK。Ankerがモバイルバッテリーやワイヤレスイヤホンの回収実証実験
7 アナログ録音の極致へ。新鋭レーベル「Analog Tone Factory」が贈る至高のジャズ・アナログ盤4タイトルが同時ラインナップ
8 BUTTONS、AI搭載のながら聴きイヤホン「BUTTONS CLIP」に新色 “Cream White”
9 Noble Audio、9ドライバー/クアッドブリッドの最上位イヤホン「Kronos」
10 ChatGPTからApple Musicのプレイリスト作成など各種操作が可能に。公式アプリが登場
12/22 10:01 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX