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公開日 2024/02/28 06:30

高音質と上質さにこだわった15万円以下のアナログプレーヤー厳選4モデルを横並びレビュー

各社のミドル/ハイスタンダードクラスが集まった
生形三郎
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■多機能性よりも音質と機器としての上質さを追求



10万円以上15万円以下で購入できるミドルクラスのアナログプレーヤーを一斉試聴
アナログプレーヤーの音質精度は価格に比例する、つまりコストを掛けるほど高音質が得やすい。これは、レコードへと物理的に刻み込まれた音溝を針先でなぞることによって音楽信号を読み取ったり、その読み取りのためにターンテーブルを回したりという、極めて「アナログ」的な再生原理ゆえの特性であり、モノや機械としての精度が音に直結するのだ。

10-15万円台のアナログプレーヤーは、各メーカーのミドルクラス、またスタンダードクラスでも上位に位置づけられる。本格的な再生音質の入り口といえるモデルがラインナップされており、それだけにモデルごとのキャラクターがはっきりと立脚し、クオリティもしっかり確保されている。

フォノイコライザーアンプやレコード録音機能なワイヤレス接続機能などは省かれ、より高音質に繋がる技術が注ぎ込まれていることが特長だ。多機能性よりも音質やモノとしての上質さが追求される。アームの高さ調節が容易でより多様なカートリッジにも対応するなど、さらに高品位なアナログ再生の世界に踏み込むことが出来るのである。 本稿では、そんなアナログプレーヤーの中から4モデルを厳選してレビューを実施した。

なお、今回の4機種の試聴にあたっては、レファレンスシステムとして、スピーカーにKEF「R3 Meta」、カートリッジにはオーディオテクニカ「AT-VM95SH」(カートリッジが付属しないモデルに使用)、フォノイコライザーアンプにフェーズメーション「EA-220」を使用した。


試聴では、KEFのスピーカー「R3 Meta」をはじめ、オーディオテクニカ「AT-VM95SH」やフェーズメーション「EA-220」を使用した

■TECHNICS 「SL-1200MK7」




TECHNICS 「SL-1200MK7」 120,000円(税込)
DJ仕様のスタイリッシュなブラックフェイスが印象的なテクニクスのアナログプレーヤー。1972年に初代モデルが発表された「SL-1200シリーズ」は、強靭な耐久性能と安定した音質によって、DJ向けプレーヤーの世界的定番モデルとして半世紀以上にわたり君臨してきた。


SL-1200MK7のヘッドシェル部。付属カートリッジはなし
最新モデルとなる本機は、要となるコアレス・ダイレクトドライブ・モーターを一新し音質をブラッシュアップ。DJ仕様ならではの特徴として、スタート・ストップ速度の4段階調整や、細かなピッチ補正(±14%)機能を備える。本体後面から一歩奥まった位置にフォノケーブル及び電源ケーブル端子が配置されおり、配線をスッキリと見せることができ、さらにケーブルが誤って抜けにくい仕様となっている。


SL-1200MK7の背面端子部/電源端子部
楽器や歌声の位置関係が明快で音の余韻も綺麗
ターンテーブルのスタート・ストップは非常にキビキビと動作し、ダイレクトドライブならではの力強い動作反応を味わえる。驚くのは音質で、聴き応えのある上質かつ充実したサウンドを実現しつつも、バランスよく過不足がない。これぞまさにプロ・ユースならではの無駄の無さだ。

楽器や歌声の存在や位置関係が明快で、音の余韻も綺麗で雑味がない。カートリッジの音の特徴も明瞭に現れている。トーンアームの高さ調節が容易で、なおかつミリ単位の目盛り表示を有しているのも本機ならでは。背の高いDJ用カートリッジも簡単に取り付けが可能だ。


SL-1200MK7の音質傾向

■Pro-Ject 「DEBUT-S」




Pro-Ject 「DEBUT-S」 121,000円(税込)
Pro-Jectはオーストリアのアナログプレーヤーブランドだ。シンプルなフォルムと構造のプレーヤーで、低価格ながらもレコードならではの滑らかな音の味わいが楽しめるプレーヤー作りで人気を博してきた。本機は新たなラインナップで、やはり同社らしいシンプルな本体に、少し太めのS字型アームが組み合わせられ、佇まいのミニマムさ、シンプルさが際立っている。


DEBUT-Sのカートリッジ部

DEBUT-Sのトーンアーム/ウェイト部
スイッチは天板の左手前裏側に配されており、左右への切り替えで、33.3/45回転を切り替えられる。プラッターは、メインプラッターにサブプラッターを乗せることで不要振動をコントロールする、英国製プレーヤー等でよく見られる2重構成を採っている。メインプラッターへのベルトの掛け替えで78回転へも対応する。アームの高さは固定式だ。


DEBUT-Sの背面端子部/電源端子部
楽器の倍音感が自然に浮き立つような味わい
ウェットな質感がなんとも心地よいサウンドを堪能できる。とりわけ生楽器との相性が抜群だ。クラシックでは、シンプルな構造や先述の2重構成プラッターの恩恵か、静けさ表現が心地よい。例えば、オーケストラソースで、曲中で急に2重奏的な小さなアンサンブルになった際にも、奥行きや間合い表現が巧みに描かれるし、ピアニッシモやクレッシェンドの繊細なタッチも美しく拾い上げる。

音色も楽器の倍音感が自然に浮き立つようなオーガニックな味わいが楽しめる。一方で、全体的にソフトな音傾向なので、エネルギッシュで快活なロックやジャズでは、もう少し音のキレやカッチリ感が欲しい場合もあるが、やはりアコースティック・ソースとの相性は抜群だ。


DEBUT-Sの音質傾向

次ページテクニクス「SL-1500C」、JBL「JBL TT350 Classic」をチェック

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