激戦区のスタンダードクラスAVアンプ、入門機よりも一段上の高音質モデルを徹底チェック！

DENON「AVR-X3800H」

9chアンプの構成だが、プリアウトで外部パワーアンプ接続することで11.1chシステムまで拡張できるモデル。最大出力215Wの全チャンネル同一構成のディスクリート・パワーアンプを搭載。パーツメーカーと共同開発したこだわりのパワートランジスタを採用するなど、Hi-Fiアンプの設計仕様を引き継ぐ。

対応する3Dオーディオフォーマットは、Dolby AtmosやDTS：Xのほか、AURO-3D、IMAX Enhancedもカバー。自動音方補正は、「Audyssey MultEQ XT32」と「Dirac Live」を使用できる。独立した4系統のサブウーファープリアウトを搭載していることも特徴で、「Audyssey Sub EQ HTTM」による自動設定と音量レベルとリスニングポジションまでの距離をマニュアル設定の両方に対応する。

■堂々した実存感と広がりある奥行き感を両立
ジャズトリオは、演出や誇張がない反面無難にまとめずソリッドでダイレクトであり、堂々とした実在感をもつ。ピアノの鋭いアタックは歪んで耳障りになったりせず、ベースソロは胴鳴りに付帯音が付かず、音の芯が生々しく伝わる。ドラムソロは音の立ち上がり収束が早く、映像との一致が快い。小音量でもバランスがよく、逆に音量を上げてもうるさくならないのも特徴だ。

邦画『シン・ウルトラマン』では、作品の中にしっかりと音から入り込んでいけるほどの包囲感と空間再現性を体感できる。映画『エルヴィス』は、音場がきれいにほぐれ、ミュージックシーンに広がりと奥行きがある。クリスマスのTVショーのエピソードは、エルヴィスをリアルタイムに目の前にしているように感じるほどの臨場感。

PIONEER「VSX-LX305」

9ch構成で、ディスクリートアンプを採用しており、パイオニアの設計思想である「ダイレクトエナジー」を上位機から着実に継承しているスタンダードモデル。パワーアンプ部の伝送経路を可能な限り短縮し、さらにグランド部のクリーン化、高音質パーツを随所に投入することで、上位機譲りのサウンドクオリティを実現している。

自動音場補正は「Dirac Live」を使用できるが、同社が長年開発してきた独自の音場補正機能のひとつである「Advanced MCACC」も搭載しており、「オートフェイズコントロールプラス」などの機能も装備する。3Dオーディオフォーマットは、Dolby Atmos、DTS：X、そしてIMAX Enhancedに対応。HDMI端子は、eARCをはじめ、8K/60Hz・4K/120Hzに対応する

■高鳴るエネルギー感と重厚で雄大なスケール感
本機にはアナログアンプ採用されているが、同社が築き上げてきたクラスD搭載のハイエンドモデルの音調を彷彿させるものがある。音場が一体になって高鳴るエネルギー感とスケール感があるのだ。ジャズは低域にエネルギーの重心があり、スネアドラムの量感とタイトさは今回取材したなかで一番。ピアノのアタックも突き刺さる鋭さとスピードを備え、ベースソロも骨太で野太い迫力があり、しっかりとした手応えがある。

邦画『シン・ウルトラマン』のアクションシーンは、大きな質量が空中を動くリアルな量感表現がある。MCACCによる効果、その威力は全く衰えを知らず、重厚かつ雄大なスケールで音場を再現する。空間は大きく広く描きながらも、セリフは自然で肉声の肌触りも感じさせてくれる。まぎれもない、パイオニアの音だ。

＜取材で使用したレファレンスモデル＞
超短焦点プロジェクター　XGIMI「AURA」　￥329,890（税込）
フロア型スピーカー　POLK AUDIO「Signature Elite ES50」　￥48,400（税込/1本）
センタースピーカー　POLK AUDIO「Signature Elite ES30」　￥42,900（税込/1本）
ブックシェルフ型スピーカー　POLK AUDIO「Signature Elite ES15」　￥46,200（税込/ペ）
ブックシェルフ型スピーカー　POLK AUDIO「Signature Elite ES10」　￥37,400（税込/ペア）
サブウーファー　POLK AUDIO「Monitor XT12」　49,500円（税込/1本）