PR 公開日 2022/08/11 07:00

リスニングを彩る豊かな音楽性と上質なデザイン。PATHOSのヘッドホンアンプ2機種に注目

音楽を聴く楽しさを引き立てる、真空管/半導体ハイブリッド設計のアンプ

まずはInPol EAR with DACから試そう。再生システムは、コアシステムにroonを使用。上述したとおり、DACモジュール「HiDac MkII」を内蔵しているのだが、今回は贅沢にさらに音質を高めるべく、Chord Electronicsの最上位DAコンバーター「DAVE」を利用した。

USB-DACにはChord Electronics「DAVE」を使用

設置を終えたInPol EAR with DACをあらためて眺めると、いかにもイタリアらしいシャーシのデザインが秀逸だと感じられる。フロントに備わるボリュームノブは、単純に回転させるのではなく、左右に数十度傾けることで音量が可変する。真空管は一部がシャーシに埋め込まれている。センターシャーシのエッジの立ったデザインと、真空管やボリュームノブの円形の造形が相乗効果を見せる。

机上に設置すると、デザインの上質さが改めて浮かび上がってくる

両サイドには「PATHOS」のロゴをあしらったシルバーのヒートシンクを搭載。InPol EAR with DACを購入したユーザーは、そのデザインだけでもかなりの満足感を覚えるだろうが、本モデルの真骨頂は音の良さだ。

ボリュームノブは回転式ではなく、左右に傾けることで音量を増減させる

アンプの発熱を逃がすヒートシンクはブランドロゴを象っていて、デザイン面でも目を引く

まずはroonを利用して、DAVEにUSB接続したiPad Proからアデルのアルバム『30』より「Easy on me」(44.1kHz/24bit)を再生する。一聴して他のヘッドホンアンプとは意図の異なる、艶やかで色っぽい音に聴き惚れる。色彩感があり、分析的な音とは対極の音楽性の高さに大いに感心した。

続いて、iBasso AudioとAV KANSAIのコラボレーションから生まれたUSB出力特化型DAP「DAP300APEX Ti」を、四国に本拠地を持つ国産ケーブルメーカーM&MデザインのUSBケーブルでDAVEに接続。ストリーミングサービスQobuzからジョン・ウィリアムズ『ライヴ・イン・ウィーン』(96kHz/24bit)を再生したのだが、こちらも絶品の音だ。

ミニマルデザインの金属製リモコンも用意されていて、入力切り替えや音量を遠隔操作できる

純A級アンプらしい自然で活動感のある滑らかな音だが、聴き手に猛烈に訴えかけてくる抑揚もある。高〜中音域の音色のよさは、Clear Mgとも相性抜群だ。もちろんオーディオ的な再生尺度も悪くない。低域のダンピングを担保しつつ、抑揚に追従してくる。

コンパクトで現代的、音楽を楽しませるヘッドホンアンプ「Aurium」



続いてAuriumを試聴する。今回用意したモデルは、シャーシカラーがブラック、そしてボリュームノブとボタンが赤で仕上げられている。真空管はInPol EAR with DACと同じようにシャーシに半分が埋め込まれているが、ローレット加工が施された大きなボリュームノブ、筐体表面に施されたつや消し加工やパンチングなど、こちらのデザインはより現代的な印象だ。

真空管の保護板でさえもデザインモチーフの一部として構成されていることに感心させられる。筆者が知る限り、同じサイズのヘッドホンアンプの中では随一だと言い切れるほど、美しく洗練された造形だ。

Auriumも天面に真空管を配置しつつ、より現代的なデザインにまとめ上げている

Auriumの再生システムは、roonを使用してiPad Proから出力を行うところまでは先程同様だが、DACとして同じChord Electronicsの小型モデル「Qutest」を使用。コンパクトで場所をとらず、しかも音の良いシステムを構築することができた。

Chord「Qutest」などと組み合わせ、限られたスペースでも実現できるコンパクトなシステムを構築

ここでは試聴ソースとして、洋楽ポップスからエド・シーランの「Bad Habits」(FLAC 48kHz/24bit)、邦楽ポップスから宇多田ヒカルの「BADモード」(FLAC 96kHz/24bit)を再生した。

InPol EAR with DACよりも手頃なサイズのヘッドホンアンプながら、音楽性の高さは共通しており、巧みな音作りは再生するジャンルや曲調を問わない。特に高〜中音域の質感は艶やか。低音域はしっかりとしたダンピングでシェイプされているが、適度な弾力感があり、音楽のビートを上げてくれる。

音場は広く、ボーカル音像とのバランスも近すぎず遠すぎず自然な音楽性を持っていて、試聴だということを忘れて長く音楽に聴き入ってしまった。分解能も悪くないが、分析的な表現ではなく、とにかく音楽が楽しく聴けるという点を特筆したい。



最近聴いた据え置き型ヘッドホンアンプの中でも、ここまでアーティストや演奏者の色気と音楽性を表現してくるモデルは本当に少ない。なんと官能的な音だろうか。

しかも、インダストリアル デザインに情熱を注ぐ同社のパオロ・アンドリオロ氏の手による筐体は、設置した机の上の景色を一変させるほどの美しい仕上がり。一度使ってしまうと元には戻れない存在感がある。個人的には、イタリアで製作されているのもちょっと嬉しいところだ。

音楽と真正面から向き合いつつも、アルバム1枚を通して聴き続けられるような音楽性豊かなヘッドホンアンプを探されている方に、「InPol EAR with DAC」と「Aurium」は本当におすすめだ。
(企画協力:タイムロード)

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