公開日 2018/11/22 06:00

ラズパイでDSD 5.6MHzのネイティブ再生も可能! DACカードに期待の新モデル登場

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(52)
GPIO接続DACカードの要諦

ラズパイ・オーディオの愉しみかたは十人十色。外部のUSB-DACにつなぐも良し、GPIO接続のDACカードから出力するも良し、マッチ箱サイズのRaspberry Pi Zeroでモバイルを追求するも良し。かつて隆盛を極めたオーディオにおける“自作”は、アナログからデジタルへという時代の趨勢とともに下火となったが、ラズパイ・オーディオはデジタル時代ならではの“自作”の可能性を秘めている。

GPIO接続のDACカード「SabreBerry 32」(写真はAVIOT CASE 01にセットアップしたところ)

そんなラズパイ・オーディオにおけるキーデバイスを一つ選べと言われたら、迷わず「GPIO接続のDACカード」を挙げる。デジタルのオーディオ信号においては最もプリミティブ(要するに「生」)なプロトコルと言える「I2S」でRaspberry Piと接続、デコードされたデジタル信号をDACチップでアナログ信号に変換、RCAやヘッドホン端子から出力する。

AV REVIEW vol.270の取材で訪れたデンソーテン本社試聴室。ECLIPSEスピーカーの試聴をSabreBerry 32搭載のシステムで行った

Raspberry Pi向けLinux OSには、UPnP/DLNAレンダラーも用意されているので、これだけでポータブルなネットワークプレーヤーとして使えてしまうのだ。そのクオリティは高く、本格的なシステムと組み合わせても十分納得できる水準である。

ただし、GPIO接続のDACカードにはいくつかの要諦がある。一つは、マスタークロックの手当て。Raspberry Piはハードウェアレベルでマスタークロックを持たないため、DACボード上に水晶発振器などの高精度クロックを用意してDACチップに供給するか、入力したオーディオ信号からマスタークロックを生成するか(PLLを搭載しクロック生成が可能なDACチップが必要)の二択になる。クロックはジッターの発生に大きな影響があるため、音質を左右するポイントと言ってもいい。

もう一つは、DACチップがマスターモードで動作可能かどうかだ。可能であれば、水晶発振器の信号をもとに生成したBCKとLRCKを合わせて(スレーブ動作の)Raspberry Piに供給、これに同期する形でRaspberry PiのI2S出力をDACチップへ送出することで、MCLK/BCK由来のクロックジッターを排除できる。スレーブ/マスターどちらのモードでも動作可能なDACカードで聴き比べれば、その音質差に慄然とすることだろう。

そしてもう一つが、DSDネイティブ再生。I2Sで通信する場合、Raspberry PiはDSDとPCMの信号を識別できない、というよりそもそもI2Sが仕様としてPCMしか扱えないため、FPGAなどを利用してDSD(DoPマーカー付き)とPCMを識別するか、SRCを利用したDSD→DoP変換を行うかという状況だ。

これらの条件をすべて満たすDACカードがあれば…。実は、現在開発が進んでいる。SabreBerry 32などラズパイ向けオーディオ機器で実績豊富なTakazine氏(ブログはこちら)が開発中の「SB32+PRO DoP」がそれだ。まだ試作の段階で細かい仕様は変更される可能性はあるが、すでに安定動作している。今回、Takazine氏のご厚意で試作第2号機をお借りすることができたので、その画期的な機能を紹介したい。

次ページ新DACカード「SB32+PRO DoP」の画期的機能を紹介!

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