公開日 2018/08/13 07:00

日本でもブレーク間近? “基礎の基礎” からわかる「映像キャリブレーション」解説

キャリブレーションの第一人者が紹介
キャリブレーションに必要なモノ

キャリブレーションを行うには、まず映像装置がキャリブレーションに対応していることが前提。大手メーカー製品の上位モデルでは、多くの製品がグレースケールトラッキング(カットとゲインの2ポイント)とCMS調整(6ポイント)に対応している。但し調整は手動なので非常に時間がかかる。

測定センサーはピンキリだが、精度とコストパフォーマンスの良さでお薦めできるi1 Display Proは3.5万円程度、測定用のパターンはAmazon Fire TVに無償の「Mobile Forge」をインストールするのが安上がりだ。ソフトウェアは、Spectracal社のCalMANがデファクトスタンダード的存在で、いくつかあるバージョンのうち、最も安価な「CalMAN Home Enthusiast」は永年64,800円である(年次ライセンス9,720円、いずれも税込)。

きちんとキャリブレーションを行うには基礎知識が必要で、ソフトウェアのUIやサポートは英語と敷居は低くないが、最低5万円程度でスタートできる。

ちなみに、フリーの測定用パターンディスク、ソフトウェア、安価な測定センサーも存在し、それらを駆使すれば、1万円台からもチャレンジ可能だ。ただし基本的な知識が必須で、さらにそれぞれの使いこなしを習熟することも必要。また作業の面倒さ、今ひとつ信頼できない精度などを考えると、全くお薦めできない。

オートキャリブレーションを行う場合のシステム例。対応テレビ、測定用パターンを送り出すパターンジェネレーター、表示したパターンを測定する測光センサー、測定結果を分析してテレビの調整を行うパソコン(ソフトウェア)が必要。ハードルが低く無いのが現状。

HDR時代を考えると、「CalMAN Home Enthusiast」は必須で、センサーも高輝度に対応した「SpectraCAL C6-HDR2000」が126,900円(税込)、パターンジェネレーターはVideoForge Proが日本で226,800円と、35万円近くの出費の覚悟が必要で、頭が痛い。ただし映像装置が最新で、CalMANオートキャリブレーションに対応していれば、初期設定を行うだけで後はオートで作業が進むので、極端には基礎知識が不要で、手間が掛からないなどのメリットがある。

一般ユーザーには現実的とは言い難い価格だが、キャリブレーションを生業とする業者なら許容範囲だろう。海外では販売店やインストーラーがキャリブレーションサービスを提供していて、料金は利用機材によっても幅があるが、おおむね6万円前後。安くはないが、ユーザー各自が勉強して機材を整える労力やコストを考えると現実的と言える。大手量販店では、配達前にキャリブレーションを行う方式で、より手頃な費用を提案しているケースもある。割引額と相殺されたら、客の負担感も小さいかもしれない。

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