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公開日 2017/10/03 11:00

【製品批評】AUDIA FLIGHT「FL THREE S」― 独自カレントフィードバック回路搭載のプリメインアンプ

ストレスのないストレートな出方
井上千岳
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製品批評


プリメインアンプ
AUDIA FLIGHT
FL THREE S
¥580,000(税抜)



AUDIA FLIGHTは1996年に設立されたイタリアのアンプメーカーで、本機は同社としてスタンダードなモデルである。同社の特徴として、シンプルな回路構成がある。中でも独自のカレントフィードバックが、その中心を占めていると言っていい。

本機でもゲインステージは純A級とし、カレントフィードバック回路を採用している。さらにカレントミラーの出力側にはダブル・エミッターフォロワーが直接接続され、80V/μsというスルーレートの高さを実現する。広帯域でハイスピードな性能である。

出力ステージはAB級である。ドライバーと出力段にはそれぞれ専用に最適化されたMOS-FETとバイポーラ・トランジスターが採用され、そのコンビネーションで定電圧駆動とドライブ力を確保する。出力は8Ωで100Wが保証されている。この駆動力に欠かせないのが、強力電源である。

これも同社の強く意識してきたところで、本機では出力段用に600VAのトロイダル・トランスを搭載している。ケースもエポキシ樹脂充填の2重シールドとし、振動とノイズを遮断する。また出力ステージには合計72000μFとなるコンデンサーを装備し、高電流の電源供給を可能としている。なおロジックボード用には、専用のトロイダル・トランスが用意されている。ノイズの混入を排除するためで、アナログ回路へはフォトカプラーで接続している。

フロントパネルは10mm厚のアルミ製。ボリュームノブやリモコンも、アルミ削り出しである。内部回路は全てデュアルモノ構成。パワーアンプとして使用できるダイレクト入力も装備する。

FL THREE Sの背面。4系統のアンバランス入力に、1系統のバランス入力を搭載。スピーカー出力のほか、プリアンプとしても利用できるアンバランス出力を持つ。オプションのフォノボードを差し込むことができる

ストレスなくストレートに一音一音を引き出してくる、S/Nのいい澄んだ無理のない音調で、取り立てて何かを聴かせようと言う誇張や強調を感じない。それは例えばピアノの一音一音が丁寧にストレートに引き出されているのを聴いても理解できる。タッチはクリアだが、余韻が豊かに乗ってそれが透明だ。低域もふやけず、深いところまではっきりと押さえている。フォルテでも荒れたり膨れたりすることがなく、いたってナチュラルである。

室内楽は純度の高い質感が、縦横に走り抜けるように颯爽としている。弦楽器の立ち上がりの手触りがよく、ホールで聴いていてもちょうどこんな感じだったなと思い起こさせるものがある。スピードも速く、瞬発的なエネルギーが時に炸裂する。

ジャズはさらに輪をかけて、明瞭感が目覚ましい。トロンボーンが生き生きとしているが、ドラムもウッドベースもリズムが弾んで活気に溢れている。ピアノの明快さと軽さもちょうどいい。ディテールを味わい豊かに描き出すダイナミズムと躍動感が、真骨頂と言うべきである。

(井上千岳)

Specifications
●入力端子:アンバランス×4、バランス×1、モニター×1●出力端子:プリ出力×1、REC出力×1、ヘッドホン出力×1●定格出力(chあたり)Wrms:8/4Ω 100/160W●ゲイン:26dB●周波数特性:1Hz〜450kHz(1W rms −3dB)●スルーレート:>80V/μS●THD:<0.05%●S/N比:入力インピーダンス(アンバランス):51kΩ,150pF●入力インピーダンス(バランス):30kΩ●ダンピングファクター(on8Ω):>1000●電源:100VAC 50/60Hz●スタンバイ時消費電力:0.5W●定格消費電力:57W●消費電力:430W●トリガー電圧:5〜12VDC●オプションボード:MM/MCフォノイコライザ、DACボード(192kHz/24bit,Windowsのみ対応)●サイズ:450W×117H×430Dmm●質量:15.5kg●取り扱い:アイレックス(株)



※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

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