音楽の熱量や快感までも引き出す。コスパ抜群、FOCALのアクティブスピーカーの可能性は無限大!
ホームオーディオとプロ向けで共通の思想が息づく
近年、アンプを内蔵したアクティブスピーカー市場が急速に存在感を高めている。その背景にあるのは、Dクラスアンプの著しい進化だ。かつては効率重視で音質面はもう一歩の印象もあったD級アンプだが、現在では解像度や駆動力、静粛性において飛躍的な向上を遂げ、HiFi用途でも十分に通用するクオリティへ到達し、実際にホームオーディオ機器でも採用例が急増している。
もともとアクティブスピーカーは、録音スタジオにおけるモニター用途で発展してきた。ユニットごとに専用アンプを割り当てるマルチアンプ方式により、帯域ごとの制御を最適化しやすく、位相やレスポンスの統一も図りやすい。
加えて、スピーカーユニットとアンプのマッチングがあらかじめ考慮されている点も大きい。そうしたメリットは、純粋な音楽鑑賞用途においても大きな魅力となり、近年では、モニター用途であってもリスニング用途に活用できるものや、リスニング向けのアクティブスピーカー自体も急増している。
そのアクティブ型モニタースピーカーの潮流を代表するブランドのひとつが、フランスの FOCAL(フォーカル)だ。HiFiスピーカーからプロフェッショナルモニター、さらには車載用オーディオに至るまで幅広く展開し、世界的にも高い評価を獲得している総合スピーカーメーカーである。
ユニット素材や振動板技術などをカテゴリー横断的に活用している点も特徴で、ホームオーディオとスタジオモニターの双方に共通した思想が息づいている。特に、プロ向け製品については、DSPやAD/DAを一切使わず、ピュアアナログにこだわった製品展開を行っている。
本格的なホームオーディオシステムと組み合わせてテスト
今回は、FOCAL Proシリーズから「ALPHA 50 EVO」(92,400円/ペア)と、「SHAPE 50」(231,000円/ペア)の2モデルを用意し、本格的なHiFiシステムへ組み込んで試聴を行なった。
組み合わせた機材は、アキュフェーズのプリアンプ「C-3900」およびCDプレーヤー「DP-770」、さらにラックスマンのアナログプレーヤー「PD-171」である。CDとアナログ、双方のソースを通じて、FOCALのアクティブスピーカーがどのような音楽表現を見せるのかを探ってみた。
豊かなエネルギー感でリスナーを音楽へ引き込む
まず、5インチのスレートファイバーコーン・ウーファーとアルミ製逆ドームトゥイーターという同社お馴染みのユニットとクラスDアンプを搭載した「ALPHA 50 EVO」は、エネルギッシュな鳴りっぷりが印象的だった。
各楽器の存在感が均等に浮かび上がり、演奏の構成が非常に把握しやすい。細部のディティールや微小なニュアンス表現はやや大掴みな傾向はあるものの、その代わりに音が前へ押し出される勢いが強く、聴き手を引き込む力を持っているのだ。
特にフロント・バスレフポートによる低域のエネルギー感は豊かで、ドラムやベースのインパクトがダイレクトに伝わってくる様が快い。音色はややダークトーン寄りで、シンバルや子音には輪郭感がありつつも、全体としては温度感を伴った厚みある描写だ。
アナログ再生では、その密度感や押し出しの強さがより魅力的に作用し、ジャズのピアノトリオなどでは演奏の熱量がストレートに飛び込んでくる。
グレン・グールドのソロ・ピアノでは、低音部の重量感がしっかり描かれ、高域と低域の各声部の旋律の動きも見通しよく再現される。厚みと安心感のある音だ。アコースティック楽器の色彩感も豊かで、聴き疲れしにくい。
さらに、45回転盤のレコードでは、ドラムスの打撃感とスピード感が一層際立つ。パワードスピーカーらしい直進性の高いサウンドで、リズムの勢いがそのまま空間へ飛び出してくる感覚がある。各音の存在感はしっかり描き分けられており、何より音楽のエネルギーを楽しませる能力に優れている。
CD再生でもその傾向は変わらない。温かみを伴った力強い音調で、トリオ編成では各プレイヤーの存在感が明快に伝わる。アンプとユニットを一体設計したアクティブ方式ならではの完成度が感じられ、サウンド全体に強い説得力がある。
低域成分を多分に含んだジャズボーカル・ソース、ケイコ・リー「Fragile」でも、迫力と推進力に満ちた再生が魅力的だった。歌声は明瞭ながら過度に尖らず、発音や抑揚を自然に描き出す。
さらに低域側のロールオフ・スイッチを250Hz付近で−4dBに調整すると、低域の量感が整理され、声部の重なりや各演奏者の動きが見通しよくなった。こうした置き場所や環境、そして好みに応じた音作りを積極的に楽しめる点も、アクティブスピーカーならではの面白さと魅力だろう。
AB級アンプを搭載しニュアンス表現にも長ける
一方の「SHAPE 50」は、ALPHA 50 EVOとは対照的に、より開放感と洗練を志向したサウンドを聴かせた。亜麻素材を用いたフラックスコーンや左右のパッシブラジエーターの効果、そして上質なAB級アンプの駆動もあってか、空間表現が非常に広く、抜けの良さが際立つ。
オーケストラ再生では、旋律の流れだけでなく、音色の微妙な陰影やホールの空気感まで丁寧に描き出す。弦楽器のボウイングやティンパニの余韻にも豊かな表情があり、音楽の色彩感が格段に広い。ALPHA 50 EVOがエネルギー重視だったのに対し、SHAPE 50は空間性やニュアンス描写にも深く踏み込んでくる。
「Fragile」でも、左右方向への広がりや立体感が大きく向上する。ボーカルは軽快で爽やかになり、キックやベースのレスポンスも俊敏だ。低域から高域まで質感が揃っており、帯域ごとの違和感が少ない点も印象的だった。
アナログ再生でもその特徴はもちろん健在で、ジャズのピアノトリオでは、ピアノのアンビエンスやドラムのレスポンスが鮮明で、アンサンブルの快活さが際立つ。特にドラムのフィルインが勢いを失わず、ベースもそれに追随するスピード感を持っている点が秀逸だ。モニタースピーカーにありがちな神経質さやドライさがなく、音色には適度な温度感と滑らかさが備わっている。
さらにクラシックでは、和音が一体となって飛び出す力感と、帯域全体で統一された質感が心地よい。ピアノも細身にならず、適度な厚みを保ちながら自然に響く。ロックミュージックのレッド・ホット・チリ・ペッパーズ「ブラック・サマー」では、ギターやベースのストロークの軽やかさ、スネアやボーカルの爽快感が実に魅力的だった。
総じてALPHA 50 EVOは、勢いと熱量を軸に音楽へ没入させるタイプであり、SHAPE 50はそこへ空間表現や質感描写を加えた上位モデルと言える。どちらにも共通しているのは、アクティブ方式ならではの一体感とレスポンスの良さだ。ユニットとアンプを最適化した設計によって、帯域ごとのスピード感やエネルギーバランスが高い次元で揃っている。
スタジオユースを超えて音楽の熱量や快感を描き出す
そして、今回の試聴を通して改めて実感したのは、FOCALのアクティブスピーカーが単に「正確な音」を目指しているのではなく、音楽の熱量や快感までしっかり描き出していることだ。ALPHA 50 EVOはエネルギッシュで豪快、SHAPE 50はそこに開放感や空間描写を加えた洗練さも備えている。
筆者自身、FOCALのモニタースピーカーをスタジオで使用することも多いが、クリエーターをドライブしてくれる快活な音だと常々感じている。であるからこそ、単なるモニター用途を超え、音楽鑑賞そのものを豊かに楽しませてくれるのだ。FOCALのパワードスピーカーが、近年、HiFiオーディオ市場でも存在感を高めている理由を、改めて実感させる試聴体験だった。
そして何より、アンプ込みで「ALPHA 50 EVO」が10万円を、「SHAPE 50」が25万円を切る価格のコストパフォーマンスは抜群だと言える。
【メディア・インテグレーション 出展情報】
6月19日(金)から21日(日)まで東京・国際フォーラムにて開催されるOTOTENにメディア・インテグレーションが出展。FOCALのプロ向けスピーカーのフラグシップモデル「Utopia Main 112」のほか、 「ALPHA 50 EVO」「SHAPE 50」を含むよりコンパクトなアクティブスピーカーも体験可能!
メディア・インテグレーション
ブースナンバー:ガラス棟 4F D401
出展予定プロダクト
FOCAL Professional Utopia Main 112
FOCAL CI 1000 ICLCR Utopia + 1000 IWSUB Utopia
FOCAL Professional スタジオモニターシリーズ
FOCAL Professional + beyerdynamic ヘッドホン各種
Lewitt マイクロホン各種
【OTOTEN2025 開催概要】
・日時:2026年6月19日(金) 13:00 - 19:00(プレミアムデー、入場料1,100円)
2026年6月20日(土) 10:00 - 19:00(入場無料)
2026年6月21日(日) 10:00 - 17:00(入場無料)
・場所:東京国際フォーラム
東京都千代田区丸の内3-5-1
・主催:一般社団法人日本オーディオ協会
(提供:メディア・インテグレーション)
