公開日 2014/12/18 11:30

ガチンコ対決!パイオニア「BDP-LX88」vs OPPO「BDP-105DJP」

機能や画質、音質を徹底比較

筐体の作り込みは?

筐体の作り込みについては物量を投じたBDP-LX88が圧倒している。重さはLX88の14.2kgに対し105DJPは7.9kgと差が大きい。LX88は単に重いだけでなく、内部の3分割構造とセンターフレーム、サイドフレームによる補強が功を奏し、ねじれ方向にも剛性が高い。インシュレーターや底板の作りにも妥協がなく、トレイの動きやボタン操作ぐらいではビクともしない。なお、LX91は3点支持だったがLX88は一般的な4点支持に変更され、踏んばりが利くスタイルになった。

パイオニア BDP-LX88の内部構造

105DJPも同社の従来機に比べると制振性能が上がり、再生中にディスクの振動が筐体に伝わるようなことは少なくなり、動作音もかなり静かになったが、LX88のリジッドな安定感と静粛な動作にはちょっとかなわない。ただ、このあたりは価格差や設計思想の違いも考慮する必要があるだろう。

BDP-105DJPの内部構造

画質を比較!まずは「BDP-LX88」をチェック

映像関連の技術とその成果については画質を検証しながら紹介することにしよう。LX88はHDMI 2.0、105DJPはHDMI 1.4aをそれぞれ採用しており、HDMI出力の規格が異なる。そのためLX88は帯域の広さを活かして4K/60P 4:4:4などフルスペックの4K信号を出力する。それに対して105DJPではHDMI2.0に規定されている一部フォーマットについてはカバーしているが、4K/30p・24p 4:4:4 36bit(Deep Color)での出力が帯域上限であり、4K/60Pの際は4:2:0 24bitでの出力となる。現在主流のソースであるBlu-rayソフトを24pなど収録フレームレートそのままで鑑賞する、あるいは4Kテレビや4Kプロジェクター側で4Kに変換する場合はその違いを意識する必要はないが、これから紹介する通りLX88の4Kアップサンプリングはテクスチャー再現の能力が高く、積極的に活用する価値があるので、4Kディスプレイを使っているか購入予定がある場合はその点を意識しておいた方が良い。

画質検証のリファレンスには、ソニーの4Kプロジェクター「VPL-VW500ES」を用いた

LX88の4K変換処理は、HD信号のテクスチャーを抽出して精細度を復元する「Precise Pixel Driver」と、テクスチャー処理とエッジ処理で4Kらしい精細感を確保する「4K Reference Converter」の2段階で行われる。さらに、組み合わせるディスプレイを想定した独自チューニングを適用する「Video Adjust」を適切に選ぶことで、非常に完成度の高い映像に追い込むことができるのだ。今回はソニーのVPL-VW500ESと組み合わせているため、「PJ Digital Cinema」または「PJ Film Cinema」を主に選択したのだが、特に4K出力時にそれが期待以上の効果を発揮してくれた。

パイオニアBDP-LX88は、画質のプリセットモードは8項目を、画質調整では13種類の設定項目を用意している。

『オブリビオン』で人物のクローズアップをじっくり見てディテール再現と質感描写のバランスを確認していくと、PJ Digital Cinemaの設定がドンピシャで決まる。細部を引き出しつつ、しかも肌の質感はしっとりと柔らかいという理想的なバランスを見せるのだ。VW500ESはデフォルトの設定ではかなり鮮鋭度を立てた画になりやすいのだが、LX88の4K出力と組み合わせるとその傾向があまり気にならず、良い意味で落ち着いたトーンとなめらかな立体感を引き出すことができる。明度と彩度の関係がどの輝度領域でもくずれにくく、鮮やかさを失わない点も気に入った。

もう一つ感心したのはノイズ処理の完成度の高さである。『アラビアのロレンス』をPJ Film Cinemaモードで見て、背景や空のノイズの動き、砂漠の砂粒とグレインの描き分けに目を凝らす。4Kアップサンプリングの精度と誤動作の有無がわかる厳しい映像だが、LX88は情報とノイズを識別する精度が高く、大面積部分のノイズ処理も巧みだ。砂粒の粒状感をていねいに引き出しつつ、見通しの良い空気を描いて透明感を失わない。ノイズが一定の閾値を越えてしまうと、静穏な場面の遠くまで見通せる空気感と、砂嵐の過酷さの対比がぼやけてしまうのだが、LX88はその両者を鮮明に描き分けて見せた。

次ページ続いて「BDP-105DJP」の画質をチェック

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