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【特別企画】“ドルビーアトモスも4Kも一級品”

パイオニアの最上位AVアンプ&BDプレーヤー“LX88”タッグを徹底試聴!

2014/12/11 取材/執筆:大橋伸太郎
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最上位機種の称号“LX88”の名を冠するAVアンプ「SC-LX88」、それに対を成すBDプレーヤー「BDP-LX88」は、今季パイオニアの最高傑作群だ。「BDP-LX91」の発売以降、満を持して登場した4K対応のハイエンドBDプレーヤーBDP-LX88。そしてSC-LX88は、今までのノウハウを全て注ぎ込み、AVの最新トレンドである「ドルビーアトモス」にも対応したモデルだ。トレンド機能を最高のクオリティで堪能できる“LX88”タッグを徹底試聴。

今季最大の話題作が誕生
“LX88"コンビの真価に迫る


オーディオ・ビジュアルにて今期最大の話題作がパイオニアの「BDP-LX88」「SC-LX88」だ。BDP-LX88はVGP2015にて批評家大賞を受賞。「BDP-LX91」の登場以来6年ぶりのハイエンドBDプレーヤーであり、ファンの期待が高まる。AVアンプのSC-LX88は、ドルビーアトモス対応がトピックであり、同社のノウハウがドルビーアトモスをどう奏でるかが注目だ。早速、パイオニアが誇るハイエンドモデルの“LX88”のコンビネーションの真価に迫っていこう。両モデルとも一貫して徹底した剛体設計と低振動静音化、低ノイズ化などの技術を最大限に投入し、こだわりを見せている。 

BDP-LX88

SC-LX88

今回のBDP-LX88もファンの期待を裏切らなかった。1mm厚の鋼板を採用した天板、3mmの鋼板レイヤードシャーシと1.6mmインナーシャーシ上に構築した鉄の要塞のような筺体内部だ。ドライブメカと電源トランスはシールドケースに守られており、電源トランスのシールドにはバイオリンのfホールを模した浮き彫りを施す。総重量は14.2sと弩級だ。

DACはESS社製「ES9018S」を搭載。音声DAC専用のマスタークロック「Precision Audio」を新規開発、ジッターを低減した再生を叶えた。さらに「PQLS」は、SC-LX88との組み合わせでビットストリームでのジッター低減を可能にした。映像面では4K/60p、4:4:4(RGB/Y CbCr)へのアップスケール出力が可能な「4K Reference Converter」の搭載は、高画質機能の最大トピックだ。 

PQLS:BDP-LX88とSC-LX88のHDMI接続により、 高純度なジッターレス伝送を実現。2chだけで なく、マルチチャンネル音声のジッターレス伝送を可能にした

4K対応:新開発「4K Reference Converter」の搭載 により、4K出力/4Kアップスケーリングに対応。「テクスチャ処理」や「エッジ処理」などにより、高精細でリアルな画像を描き出す

お馴染みの「ダイレクトエナジーHDアンプ」を9chディスクリートで搭載したSC-LX88は、高音質パーツを豊富に採用。オーディオ専用パーツとしてルビコン社と新開発した「PML MUコンデンサー」やJRC社との共同開発オペアンプ「NJM4585」の投入、DAC基盤の回路設計の見直しなどにより、確実な高音質化を実現した。パワー部とプリ部の理想的なセパレート構造を実現した「インシュレーテッド・デュアルシャーシ」、高い制振性と回路間の干渉を低減する「3次元スペースフレーム」など、ノイズ低減に対し高い配慮を施している。

今季のAVアンプはドルビーアトモス対応モデルにより、一段と音場補正技術のクオリティを高めている。SC-LX88は、同社の音場補正技術「Advanced MCACC」を向上させた「MCACCPro」を搭載。「フルバンド・フェイズコントロール」を活用し、全スピーカーの位相を管理することで正確性を高めたドライブ駆動をもつ本機は、多数スピーカーを使用するドルビーアトモスの再生でも高い効果を発揮する。

MCACC Pro:モニターサウンドを作り上 げる過程に基づき、精 密な再現性を可能にした 独自の音場補正機能 「MCACC Pro」は、ドルビーアトモスの再生でも高い効果を発揮する


フルバンド・フェイズ コントロール:SC-LX88の持ち味である「フルバン ド・フェイズコントロール」では、接続 スピーカーの群遅延を測定し、位相を正確に制御することで、極めて明確な定位とサラウンド再生を実現する

一貫したフラットバランス
高次元の音質に達する


今回、フロントハイト/リアハイト形式でサブウーファーを2基使用の「5.2.4」のシステムで試聴を行った。『トランスフォーマー/ロストエイジ』は、従来では聴けなかった頭上からのしかかる重量感の表現が圧巻。“LX88”コンビで特筆大書すべきは、グラウンドレベルでクラスDアンプの本領が発揮されるところだ。アクション描写が高速化を遂げ、音にエネルギーが漲りアグレッシブに表現し、音価の一つ一つにズッシリとした量感と質感があり、リスニングポイントに容赦なく飛来し渦巻く。

画質はパイオニアのレファレンス映像プレーヤーの正統そのもの。不要な色付きのない端正な色調でモノクローム階調がきめ細かくなめらか。『バチカンで逢いましょう』では、4Kらしい人肌の細やかな再現や街頭の奥行き感が秀逸だ。本作は96kHz/24bit音声の収録。ライブハウスのシーンでプレーヤー出力段階の帯域の広さを印象づける。サブウーファーが二発でも遅れず、音場に自然なスケール感がある。センターの歌声もワイドレンジで伸びがある。

BDミュージックでは、192kHz/24bitの「ファツィオーリ」を試聴。音に実在感と量感がありピアノの打鍵が力強い。しかも音場に深い奥行きがありスケール感と響きの美しさが両立している。サラウンドからステレオまで一貫して強調感のない自然な佇まいのフラットバランスが光る“LX88”コンビだからこそ実現した高次元の音質だ。

(大橋伸太郎)


【SPEC】[SC-LX88]●チャンネル数:9 ●定格出力:250W(4Ω)、190W(6Ω) ●最大出力:360W ●全高調波歪率:0.04% ●対応インピーダンス:4〜16Ω ●S/N比:103dB ●感度:400mV ●入力端子:HDMI×8、光デジタル音声×2、同軸デジタル音声×2、LINE×2、コンポーネント×1、コンポジット×2、USB×2、LAN×1 他 ●出力端子:HDMI×3、光デジタル音声×1、コンポーネント×1、コンポジット×1 他 ●消費電力(待機時):370W(0.1W) ●外形寸法:435W×185H×441Dmm ●質量:18.0kg
[BDP-LX88]●対応メディア:BD-ROM、BD-R/RE、BD-R DL/RE DL、BD-R LTH、DVDビデオ、DVDオーディオ、DVD-R/RW、DVD-R DL、DVD+R/+RW、DVD+R-DL、SACD、 CD、CD-R/RW 他 ●対応音声フォーマット:WAV、AIFF、ALAC、WMA、FLAC、DSD 他 ● 対応サンプリング周波数/量子化bit数:PCM 192kHz/24bit、DSD 5.6MHz/1bit ●最大出力解像度:4K/60p ●周波数特性:4Hz〜88kHz ●出力端子:HDMI×2、光デジタル音声×1、同軸デジタル音声×1、XLR×1、RCA×1 他 ●入力端子:USB×2、LAN×1 他 ●消費電力(待機時):24W(0.3W) ●外形寸法:435W×131H×339Dmm ●質量:14.2kg



本記事は、月刊『AV REVIEW』2014年12月号からの転載です。AV REVIEW誌の詳細はこちら

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