公開日 2014/12/05 11:48

クリエイティブメディアの多機能ハイレゾ対応USB-DAC/ポタアン「E5」の魅力に迫る

【特別企画】海上忍が音質チェック

「SBX Pro Studio」は、バーチャルサラウンドのレベルを調整できる「Surround」、圧縮音源で失われがちな低域/高域を補完しリアル感を向上させる「Crystalizer」、さらに低音を拡張し、迫力あるサウンドにする「Bass」、音量レベル自動調整機能「Smart Volume」、映画やドラマにおける声の出力だけを上げて聞き取りやすくする「Dialog Plus」の各項目で構成される。すべての入力に対し有効だ。

オーディオファン向きの機能は「ダイレクトモード」だ。USB-DACとして使用しているとき(PCやMac接続時)にのみ有効だが、オーディオプロセッサーのSB-Axx1をバイパスしDACへ直接出力できる。TIのヘッドフォンアンプIC「TPA6120A2」など搭載された高音質コンポーネントの実力を引き出すなら、このモードの使用をお勧めしたい。

「ダイレクトモード」を有効にすると、オーディオプロセッサーのSB-Axx1をバイパスしDACへ直接出力できる

なお、iOS/Android向けに提供される専用アプリ「Sound Blaster Central」を利用しても、SBX Pro StudioおよびCrystalVoiceの設定が可能だ。アプリを起動してUSBケーブルで接続するだけで自動認識され、PCと同様の設定をスマートフォン/タブレットで行うことができる。

iOS/Android向けに提供される専用アプリ「Sound Blaster Central」(画面はiOS版)

■音質は「"実直"で情報量が多く一音一音の描き分けも精緻」

Sound Blaster E5の試聴は、PCと接続してのハイレゾ再生と、iPhone 6と接続した圧縮音源の再生に分けて実施した。組み合わせたヘッドフォンは、清冽な高域と密度感ある中域とのバランスが絶妙なSHUREの開放型「SRH1840」だ。

iPhoneとは、Lightningケーブルを使い背面のUSB A端子に接続する

ハイレゾ再生は、オーディオプロセッサーをバイパスしDACへ直接出力するダイレクトモードで行った。持ち味であるSBX Pro Studioを有効にしたときの"線の太さ"こそないものの、このモードこそが本来のテイストなのだろう。音の立ち上がり/立ち下りは迅速で、定位感も鋭い。Pat Metheny Unity Group「Rise Up」(FLAC、96kHz/24bit)の3分頃から始まるギターソロは、ともすれば背後のブラシやスティックワークが目立たなくなりがちだが、細かい音までしっかりと描ききる。アシンクロナスモードの効果か、ひとつひとつの音の輪郭が明瞭で音場感の再現もリアルだ。

iPhone 6と組み合わせた圧縮音源(AAC、256kbps)の試聴は、SBX Pro Studioのオン/オフを繰り返しながら実施した。デフォルトの設定は、効果を際立たせるためかドンシャリ傾向で個人的には少々アレンジを効かせすぎている印象もうけたが、調整を重ねると長所のほうが目立ってくる。サラウンドは0%にするとして、「Crystalizer」は20%あたりに設定しておいたほうが、圧縮音源で失われがちな中高域の輝き感を取り戻せる。「Bass」もクロスオーバー周波数を調整すれば"音やせ"に効果的で、特にロック系の音源には有効だ。

Sound Blaster Centralを利用すると、スマートフォンからオーディオ拡張技術「SBX Pro Studio」の設定を行うことができる

音質面での全体的な印象だが、意外なほど"実直"というのが素直な感想だ。オーディオ拡張技術「SBX Pro Studio」が前面に打ち出されてはいるものの、Cirrus Logic CS4398やTPA6120A2などパーツ選定が奏功したか、ダイレクトモードで聴くその音は情報量が多く一音一音の描き分けも精緻だ。

2機のヘッドホンを同時に駆動できる点も、本機の大きなアドバンテージといえる。試聴に利用したSRH1840のインピーダンスは65Ωと、スマートフォンへ直挿しするには若干高めだが、本機ならな余裕でドライブできるばかりかさらにもう1台駆動できる。友人や家族との"同時聴き"に使えるわけだ。

ここまで見たきたようにBluetooth搭載なども含め、非常に多彩な機能を搭載している本機。音質についても、ダイレクトモードだけでなくSBX Pro Studioのパラメーター調整などで自分好みにカスタマイズして“遊べる”余地もある。こうした音質性能と他にはない多機能性に興味があるユーザーにとって本機は格好の選択肢となるだろう。

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