さらなる進化でビデオカメラ「最強」モデルとなれるか − ソニー「HDR-CX550V」を速攻レビュー

●動きにも強くなり、アクティブモードは望遠にも対応

前機種で目玉機能だったアクティブモードもさらに進化している。前機種では広角側でしか有効ではなかった手ブレ補正のアクティブモードだが、550では望遠側でも補正が効くようになった。広角側の約10倍に対して、望遠側では約２倍と、その効果は広角側ほどではないが、運動会などの遠くを撮影する場合でも手ブレが抑えられる効果は大きい。当然、広角の場合も望遠の場合も設定としては、単にアクティブモードにしておけばいい。以下、歩きながら撮影した映像を、VGAのWMVで出力したサンプル動画を掲載する。まったく同じ条件で撮影したものではないので、ダイレクトな比較は難しいが、同じ場所で撮影したノーマル手ぶれ補正、補正なしと比較すると、アクティブ補正の効果のほどが感じられるのではないか。

【手ブレ補正オフ】


【手ブレ補正オン（ノーマル）】



【手ブレ補正オン（アクティブ）】


この仕組みとしては、広角側では光学的に補正していたのが、望遠側ではBIONZによるデジタル補正の比重が高くなる。光学系の仕組みだけでは物理的な限界があるためだろう。CX520ではじめて搭載されたアクティブモードの3方向補正も、光学ではなくBIONZによるものだった。今後のビデオカメラではこのようなデジタル的な補正がより多く取り入れられていくのかも知れない。

さらに見逃せないのがフォーカス速度のアップだ。従来機種ではキヤノンのモデルなどと比較して、フォーカス速度があまり速いとは言えなかったが、これが大幅に改善されている。特に暗い場所などでは時間がかかったのだが、こういった場面のフォーカス速度も極めて高速化された。

この2つのポイントは、子供の運動会目当てにビデオカメラを探しているような人には見逃せない部分だろう。

●記録モードはようやく24Mbpsに対応

そしてCX550では、「ようやく」という感じで、24MbpsというAVCHDの規格上限の記録モードを搭載した。従来は16MbpsのFHモードが最高画質だったので、これによって映像の精細度がさらに向上し、高画質化を果たした。個人的にソニーのAVCHDビデオカメラに対する最も大きな不満は記録ビットレートの低さだったので、これがようやく解消されたことになる。個人的にはHDV（1,440×1,080ドット：約25MbpsのMPEG2）と比較したとき、16MbpsのAVCHDフルHD映像がさほど高画質と思えなかったため、DVDとの互換性を配慮したことはわかるとしても、わざわざ16Mbpsに抑えていたことが不思議だったほどだ。

この24Mbpsは新しく設定されたFXモードに割り当てられ、その他にFH（17Mbps）、HQ（9Mbps）、LP（5Mbps）の全4モードがハイビジョンモードになる。FHモードもややビットレートが向上しているわけだ。これに伴い、SDの記録モードは従来のHQ（9Mbps）、SP（6Mbps）、LP（9Mbps）の3モードからHQ（9Mbps）に一本化された。SDで撮影する機会はもはやあまり多くないはずなので、これで問題ないだろう。