公開日 2022/11/30 23:00

初の手書き対応「Kindle Scribe」を体験。書く/読むどちらも「いい感じ」

ファイルの入出力では残念なところも
編集部:成藤 正宣
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書いたものは他の端末でも見れるが、「あくまでKindle」



電子書籍に “付箋” のように手書きメモを残せることが、手書き対応電子書籍リーダーならではの利点だ。基本的な操作は、すでにKindleに備わっている「メモ」機能と同じ。メモを紐づけたい箇所を長押し選択するか、画面の左右どちらかに表示されるツールバーからメモアイコンをタッチし、続いてメモを付けたい箇所をタッチすることで入力に移る。固定レイアウトのマンガや写真中心の実用書のように、一部書籍では付箋を付けられない点も従来の「メモ」機能と似ている。

メモを付ける箇所を選択すると、手書きスペースがあらわれる

手書きの他にソフトウェア・キーボードで入力することもできるが、わざわざ本機種で使うことは少ないだろう。文字変換のレスポンスや速度も、スマートフォンやタブレットとくらべてだいぶ遅い。

作成したメモはまとめてリストアップし、紐づけた箇所に飛ぶことができる。ソフトウェア・キーボードで打ち込んだメモは他端末のKindleアプリからも参照することができたが、手書きメモに関してはKindle Scribeでしか表示できないようだ。その代わりという訳ではないだろうが、リストアップしたメモをPDFファイルとして任意のメールアドレスに送信することはできる。

メモを一覧表示することも可能

Kindle Scribe上で新しく作った「ノートブック」ファイルに手書きしていくことも可能だ。大学ノート風の罫線やスケジュール表、五線譜など、18種類のテンプレートから1つを背景にできる。後からテンプレートを変更することもできるが、特定の1ページだけを変えることはできず全ページ一括で変更される。

「ノートブック」は、電子書籍ライブラリと別にまとめられる

18種類の背景が選べる

作成したノートブックはKindleアカウントのライブラリに同期され、他の端末からも見ることができる。加えて、付箋メモと同じようにPDFとしてメール送信することもできるので、汎用性もそれなりに確保されている。

書いたノートブックをPDFとしてeメールで送ることもできる

実際に出力したPDFを画像にしたものがこちら

さらに、外部のPDFファイルなどを読み込み、直接手書きで書き込むこともできる。ただし、これにはひと手間必要で、読み込ませたいファイルをKindleライブラリあてにEメールで送信しなければならない。例えば、Kindle ScribeをPCにUSB接続し、PDFファイルを転送しても、表示はできるものの書き込みができない。

また、手書き機能の部分で触れた、ペンの色や濃淡が変えられないという仕様も、せっかくノートブック出力やPDF読み込みができることを考えれば残念なところだ。Kindle Scribe単体では不要でも、例えば外部から読み込んだPDFに赤字で注釈や訂正を入れるといった使い方ができない訳で、そのぶん手書き機能の活用の幅が狭まっている。

こうしてみるとKindle Scribeは、PCなど他のデジタル機器と自由に手書きドキュメントをやり取りできるガジェットというより、あくまで「Kindle」の延長線上にあると言えそうだ。

E-Inkの電子書籍リーダーとしても、かなりスムーズな使い勝手



それでは、普通の電子書籍リーダーとしてKindle Scribeを見てみよう。記者はこれまで、2015年発売の「Kindle Paperwhite(第7世代)」を使用したことがあるが、電子書籍のライブラリーやマンガを表示する際のレスポンスが遅すぎると感じ、以降はスマホ/タブレットのKindleアプリを利用していた。

その点Kindle Scribeは、ライブラリー画面こそスワイプ操作から画面が移り変わるまでモタつきを感じるものの、本を開いた後のページめくりは基本的にスムーズだ。手元でいろいろな書籍を表示させたところ、マンガはもちろん、『THE ART OF Fallout 4』ような画集でもスルスルとページが切り替わる。流石に大判の画像を拡大表示すると読み込みに時間がかかるが、これは仕方がないと割り切れる。

文字書籍の表示も言うまでもなくスムーズで、ピンチイン/アウト操作でのフォントサイズ変更もすばやく反映される。10.2インチの大画面いっぱいに文字を表示させるもよし、ひと文字あたり目一杯大きく表示させるもよしと、単純にいままでのKindleのサイズが物足りないと感じていた方にちょうど良いはずだ。

ボディはアルミニウム製で、約433gとそこそこの重さがある。両手で持つか、机などに置くことが多くなるだろうが、背面の四隅にゴム脚を付けてあるのは良い配慮だと思う。

サイズや重さからすれば、背面のゴム脚は良い配慮だといえる



Kindleとして初の「書く」機能を中心にチェックしたが、電子書籍リーダーのオマケとしてではなく、ストレス無く使えるレベルの手書き機能が備わっているように思う。ペンの色や濃淡が変えられない、外部からのファイル読み込みに制限があるなど気になる点はあるが、「手書きできるKindleリーダー」としては「書く」「読む」どちらも安定して使える便利なモデルに仕上がっているという印象だ。

Kindle Scribeは、「スタンダードペン」付属モデルが1種類、「プレミアムペン」付属モデルが3種類ラインナップ。価格はそれぞれ、スタンダードペン付属モデルが内蔵ストレージ16GBで47,980円(税込)。プレミアムペン付属モデルが16GBで51,980円/32GBで54,980円/64GBで59,980円(いずれも税込)となっている。

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