ガジェット 公開日 2023/03/27 14:23

当初は非営利だった「OpenAI」、利益追求に変わった原因はマスク氏?

買収を拒否され資金援助を停止
Gadget Gate
多根清史
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
今や時代の寵児となったChatGPTで知られるOpenAIは、もともとは非営利のAI研究団体としてスタートした。それが有料プラン「ChatGPT Plus」を提供するなど利益追求に転換したのは、テスラやTwitterのCEOであるイーロン・マスク氏が遠因だと報じられている。

マスク氏はOpenAIの共同創設者の1人であり、ハイテク業界の大物らとともに巨額の資金を投じていた。だが、ニュースメディアSemaforによると、2018年にマスク氏がOpenAIの買収を提案したところ、当時の最高技術責任者だったグレッグ・ブロックマン氏やサム・アルトマンCEOらに拒否されたという。その後、マスク氏はOpenAIの取締役を退任している。

当時、マスク氏の退任はOpenAIとの利益相反のためと公表されていた。実際にテスラはOpenAIの最高の頭脳の1人だったアンドレイ・カルパシー氏を引き抜き、自律走行プログラムの責任者としており、事実の一端を示してはいた。だが、ほとんどの社員がその話を完全に信じていたわけではないという。マスク氏がOpenAIのボスになれなかったからという、より個人的な理由によるというわけだ。

OpenAIの発表では、マスク氏は引き続き資金を提供するとされていた。だが、事情通によるとその事実はなかったという。マスク氏は数年にわたって10億ドルを寄付すると約束していたが(すでに1億ドルを寄付していた)退任後は支払いがストップしてしまったとのことだ。

これにより、OpenAIの予算に大穴が開いた。同社のGPT-4やGoogleのBardなどは、深層学習の手法である「Transformer」を用いているが、訓練するためには無限にデータを与える必要があり、莫大なコストがかかる。2019年に同社が営利目的の子会社OpenAI LPを設立し、実質的に営利モデルに転換したのは、マスク氏からの資金が断たれたから、ということだ。

その後OpenAIは、マイクロソフトと10億ドルのパートナーシップを締結し、今年初めには100億ドルの追加を検討しているとも報じられていた。また同社は自社モデルやGPT-4の訓練データを非公開としているが、これは「競争環境」と「安全への影響」の両方からだと述べている。資金難による存立の危機が、よほど骨身にしみたのかもしれない。

かたやマスク氏は先月、ChatGPTに匹敵するAIの開発を目指して新たなAI研究所の設立を計画していると報じられていた。また本人も、OpenAIが「もともとGoogleに対抗するためのオープンソースの非営利企業として設立された」はずが、「マイクロソフトに事実上支配されたクローズドソースの利益追求企業」になってしまったと不満を表明している。

それ以前にも、OpenAIが訓練のためにTwitterにアクセスすることに制限を課していた。マスク氏は「OpenAI はオープンソースおよび非営利団体として始まったが、まだ実現していない」と繰り返し述べているが、それが自らに原因があるとすれば皮肉と言うほかはない。

Source: Semafor
via: Gizmodo

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX