公開日 2025/07/31 09:52

パナソニックHD、1Qは全セグメントで増収。26年4月発足の家電新会社の名称は「パナソニック株式会社」に

2025年度第1四半期決算説明会を開催
編集部:竹内 純
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米国関税の影響が予想されるのはコネクトとエナジー

パナソニックホールディングスは、2025年度第1四半期決算説明会を開催。同社取締役 執行役員 グループCFO・和仁古明氏が説明を行った。

2025年度第1四半期の売上高は18,967億円、対前年比89%となったが、非連結化となったオートモーティブを除くと同102%と増収。営業利益は869億円、純利益は715億円とそれぞれ増益を記録した。また、年間業績見通しは期初の公表から変更はなく、米国関税の影響については直近でも大きな動きがあり流動的なことから、2Q以降は未織り込みとした。

セグメント別の実績では、売上高は全セグメントで増収。それぞれの増減要因は、くらし事業では家電は日本が前年並みとなったが、中国が補助金効果もあって増販、空質空調は欧州A2Wが増販、電材は国内を中心に増販。コネクトはICTや中国EV需要を捉えたプロセスオートメーションをはじめ、モバイルソリューションズ、現場ソリューション、ブルーヨンダーが増販。

インダストリーは、生成AIサーバ等の情報通信関連製品の需要が拡大。エナジーは車載電池で北米工場の販売量は拡大したが、原材料価格低下に伴う価格改定により減収、産業・民生はデータセンター向け蓄電システムが好調で増収となった。その他では、エンターテインメント&コミュニケーションでドアホン・ヘッドホン、ハウジングで建材やクロスセル商材が好調でそれぞれ増収となった。

セグメント別の事業環境については、主なポイントとして2点を指摘した。ひとつめは米国関税の影響について。

和仁古氏は「当社のなかで比較的影響が大きいのはコネクトとエナジー。コネクトではアビオニクスの機内エンターテイメントシステム、エナジーでは車載電池の部材・セル、産業・民生の蓄電システムにおいて影響が想定される」と語る。

ふたつめとして挙げたのはエナジーの事業環境。「車載電池は、長期的には一定のEV化が継続する見立てに変わりはないが、米国関税政策やEV購入者に対する補助金であるIRA30Dの廃止等により、短期的にはEV市況の減速が見込まれる。一方、産業・民生は、生成AI関連の投資が活況で、データセンター向け蓄電システムの需要は期初想定以上に拡大している」と説明した。

20264月発足の家電新会社、社名は「パナソニック株式会社」に

同社は730日に、202641日付の新たなグループ体制と新事業会社の社長人事について発表、この点についても言及した。パナソニック株式会社を発展的に解消し、家電事業全体をスマートライフ株式会社(仮)に集約するとしていたが、社名は最終的にパナソニック株式会社となった。

この点について和仁古氏は、「マーケットにコンシューマー商品を浸透させていくこと。移行コストの低減、また、合理的に移行ができるといった複合的な背景から」と説明した。

社長には豊嶋明氏が就任する。「パナソニック エンターテインメント&コミュニケーションの社長として、家電を率いていく上で行っていかなければいけない様々な改革を現場で行ってきた。トップとして率いていただく」。

機構改革や人事について、例年より少し早めの発表になったことについて、「様々な改革を推し進めていくなかで、社名や人事を早く皆さんにお伝えすることで、前に進みやすくなる。そのために早めの発表となった。しっかり当初のスケジュール通り進めている」とのこと。

足元の家電の状況については、調理家電などを扱うくらしアプライアンス社が前年から増益を計上。「昨年から回復しており、体質強化が数字に表れている」という。

エアコンの空質空調社は「足元が猛暑でエアコンが動いていることも業績に寄与。欧州のA2Wが立ち直って増収増益基調にある」とのこと。注目が集まるテレビについては「様々な改革でコストを改善するなど、しっかりと着実に進んでいる」と説明した。

1万人の人員削減の進捗については、「国内と海外で大きく動きが分かれている。国内は事業会社単位で、それぞれの事情にあわせて推進している。第3四半期以降に従業員の意思をいただくスケジュールのため、第1四半期の時点での大きな進捗はない。海外も各地域それぞれのタイミングで、国内に先行して着々と進んでいる」。

また、オリックス株式会社とのプロジェクター事業等の戦略的資本提携に関する契約が7月に合意解約となったが、経営体制の改善について「一切姿勢はぶれていない」と断言。

「結果的にはブレイクしたが苦渋の決断だった。簡単に止めた計画ではなく、何度も条件を見直し、交渉を繰り返した。現場の人が前を向ける決断をどこかでしなくてはならないと、最後の最後の最後で決断をした。ブレは一切ない。本年度の改革をやり切っていく」と力を込めた。

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