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「NHK ONE」詳細公開。テレビ向けアプリでも番組同時配信、10/1から完全切替で旧アプリは利用不可に
NHKは、2025年10月1日から提供開始する新インターネットサービス「NHK ONE」のサービス発表会見を、本日7月29日にNHKセンターにて開催。同サービスのWEBサイトおよびアプリの特徴などサービス概要について明らかにした。本稿ではその模様をレポートする。
「現行アプリは9月30日をもって利用不可に」
NHK ONEは、テレビやラジオ番組の同時配信、見逃し(聴き逃し)配信、ニュースの記事や動画などを、スマートフォンやパソコン、ネット対応テレビなどを通じて提供する新サービス。今年6月にサービス発表がなされていたが、この度サービスの詳細が明らかとなった格好だ。
本日7月29日に開催されたサービス発表会見では、NHKの理事・アナウンサーの黒崎めぐみ氏をはじめ、NHKのアナウンサーたちが勢揃いで登壇し、NHK ONEの詳細について各アナウンサーたちから解説がなされた。
イベント冒頭、NHKの理事・アナウンサーの黒崎めぐみ氏が登壇し、まずNHK ONEのサービス概要について改めて説明するプレゼンテーションが行われた。
NHK ONEは、これまでは「任意業務」だったNHKのインターネットを通じた配信業務が、放送法の改正によって2025年10月から「必須業務」に義務付けられることを受けて提供開始されるもの。
ウェブブラウザやスマホアプリ、スマートテレビ用アプリなどを通じて提供する番組配信やニュース記事などの総称として「NHK ONE」という言葉が使用される格好となる。
具体的なNHK ONEの概要として、現行のNHKプラス、NHK NEWS WEB、あさイチなど各番組のホームページなどを一挙に集約したウェブサイト「NHK ONE」を10月1日より新設。
NHK総合テレビとEテレ、ラジオ番組の同時配信や、1週間の見逃し配信・聴き逃し配信、ニュースの記事や動画、気象・災害情報、各番組の情報など全てのサービスを統合してインターネットを通じて提供する。
また、スマートフォン・タブレット用アプリでは、「NHKプラス」「ニュース・防災」「for School」の3種の現行アプリが後継アプリへサービスを移行。
「ラジオ」アプリ(らじる★らじる)と「語学」アプリなどラジオ関連のアプリは受信契約対象外のサービスとなるため引き続き継続し、合計5つのアプリをNHK ONEの名の下に提供する形になるという。
ネット対応のスマートテレビ向けアプリにおいても、現行のNHKプラスを後継アプリへとサービス移行し、より使いやすくするとのこと。後継アプリについては全て10月1日からダウンロードが可能となる。
なお、現行アプリについては、後継アプリのダウンロード開始のタイミングで利用が不可となるため、既存アプリを10月1日以降も利用する際は、後継アプリのダウンロードが必須となると説明した。
さらに、NHK ONEは世帯で共有しての利用を想定しており、1つのアカウントに5個までのプロファイルを個別に設定することが可能。家族がそれぞれ好みの番組をプロファイルごとに登録しておくなどといった使い方ができるようになる。
また、プロファイルによってデバイス同士の連携も可能になり、外出中はスマホで番組を視聴し、帰宅後はスマートテレビで番組の続きを観るといった楽しみ方が行えるようになる。
そのほか、NHK ONEは国内向けのサービスとなるため、在外邦人のライフラインとして安全・安心を支える情報を届ける海外向けの「NHK ワールド JAPAN」については引き続き提供を行い、これまでと変わらずに利用できることを明かした。
新たなWEBサイトNHK ONEでは、各番組の同時・見逃し配信のほか、関連する番組をまとめたプレイリストなどを分かりやすく表示。ニュースページでは国内外の取材網による各種記事を掲載するほか、ニュース番組の配信や動画、地図などインターネットの特性を活かした情報提供も行っていくとのこと。
検索機能も強化されており、例として「熱中症」と検索すると、熱中症に関する番組やニュース記事、動画などが表示されるなど、さまざまなテーマごとに番組やニュースなどの記事にアクセスできるようになるという。
なお、NHK BSの配信については未対応となっている。同社は放送法改正に基づき、BS放送についてもネット配信の実現に向けて鋭意調整、検討中の段階であるとして、担当者は「現在はまだ配信の条件が整わないため、猶予をいただいてる状況にある」と説明するに留めた。
新NHKプラスのスマートテレビ向けアプリ画面を初お披露目
続いて黒崎めぐみ氏に加えて、NHK総合で放送されている朝の生活情報番組「あさイチ」などに出演する鈴木奈穂子アナウンサーが登壇し、両名がネット対応のスマートテレビ向けのNHKプラス後継アプリについて紹介。現在開発中の段階ではあるものの、アプリの実画面を初お披露目し、解説を行った。
テレビアプリでは、テレビ番組の見逃し配信に加えて、新たに今まで利用できなかった同時配信に対応する。スマホアプリではすでに提供されていることから、これによって通勤通学や休憩中・就寝前など「いつでもどこでも何度でも」NHKの番組をリアルタイムで楽しむことができる。
テレビアプリのトップ画面では、現在NHK総合とEテレと同時配信されている番組を表示。リアルタイム視聴に加えて、冒頭から視聴できる追いかけ再生にも対応している。
また、新たに画面左側のメニュー画面に「ニュース」タブが追加され、最新のニュース7項目をチェックすることができる。テキストベースのニュース記事に加えて、ニュース動画の視聴も可能。さらに見逃し配信では、本放送から1週間までの期間いつでも視聴が可能で、番組表から視聴したい番組を選ぶこともできる。
そして、新たに地方局の番組も視聴することが可能に。地域設定画面から設定を行うことで、トップ画面に設定した地域の地方番組が表示され、各地域の情報を手軽にチェックすることができる。黒崎氏は「明日から行く旅行先の気象情報などもチェックできる」といった活用方法を紹介した。
そのほか、テレビアプリならではの新たな機能として、Eテレの子ども向け番組を中心にラインナップする「キッズモード」を搭載している。トップ画面に子ども向けの番組がズラリと並ぶことで、忙しい合間でも子どもと手軽に番組が楽しめるとアピールした。
なお、今回公開したアプリ画面は現在開発中段階のものであると強調し、10月のサービス開始時にはよりパワーアップした仕様で提供する予定だと説明した。
NHKプラスの新スマホアプリなどを人気番組アナウンサーたちが紹介
続いて、昨年4月に18年ぶりの復活を遂げた人気ドキュメンタリー番組「新プロジェクトX〜挑戦者たち〜」に出演する有馬嘉男キャスター、森 花子アナウンサーが登壇し、今度はNHKプラスのスマホアプリについて紹介した。
まずスマホアプリのトップ画面について言及。現行アプリから一部UIが刷新されており、画面下のメニュー画面に新たに「マイリスト」が追加される。マイリストでは気になった番組をプレイリスト形式で登録することが可能で、いつでも気になった番組にすぐアクセスすることができるようになった。
またリニューアルポイントとして、デバイス連携をアピール。スマートテレビやスマートフォン、PCやタブレットなどをそれぞれ連携することで、各デバイスにて番組の続きを視聴することができる。
例として、電車やバスの中などの移動中はスマホで、カフェなどでのちょっとした空き時間はノートPCで、帰宅後はリビングのテレビで視聴といった、様々な場所でいつでも観たい番組が観られる点を強調した。
そのほか、スマートテレビ or スマホ・タブレットアプリ共通の機能として、聴覚に障害のある方が家族と一緒に生放送番組を楽しめるよう、生放送の番組においても番組の内容にあわせてピッタリのタイミングで字幕を表示する「ぴったり字幕」機能をサポート。対象の生放送番組は「おはよう日本」「NHKニュース7」「ニュースウォッチ9」「サタデーウオッチ9」など。
そして、毎日19時台に生放送されている報道番組「NHKニュース7」に出演する糸井羊司アナウンサー、副島萌生アナウンサーが登壇し、災害情報をいち早く届ける防災アプリのリニューアル版「NHK ONE ニュース・防災」について紹介した。
新たな新機能として、緊急報道を含む主要なニュース番組の同時配信に対応。NHKニュース7をはじめ、NHKニュースおはよう日本、ニュースウォッチ7などの各種番組を、項目ごとに視聴できるようになる。また、ニュース記事や動画においては、主要なものから国内外各地のニュースまでさまざまなジャンルをきめ細かく伝えるとしている。
加えて、災害時や緊急時には臨時ニュースの速報配信も行う。災害時に役立つおすすめ機能として、地震や津波情報、気象警報などの画面表示や、ユーザーがいる場所や設定した地域に応じて、川の氾濫情報や避難情報などをプッシュ通知で知らせる機能も搭載。
さらに、雨雲の様子や河川氾濫の状況、河川カメラの映像などをリアルタイムで提供するマップ機能もサポートする。地図上から今ユーザーがいる場所や、画面をスライドすることで離れた場所の雨雲の様子が確認可能。河川情報では氾濫までの危険度が色分けでチェックできる。
そのほかにも、過去の災害の取材映像などを地図にアーカイブすることで、未来の防災に役立てるという「災害記録マップ」も新たに搭載。今までに起きた大きな災害の事例を元に、「そこで何が起きたのか」「どんな点に注意が必要か」といった点を過去の災害から学べるとして、学校の防災授業などへの活用もアピールした。
そのほか、学校教育向けアプリの後継バージョン「NHK ONE for School」についても紹介。
NHKが制作する学校教育番組や、関連する動画クリップなど約8,000本のコンテンツを掲載し、キーワードや学年・教科・番組からコンテンツを探すことや、編集部おすすめ動画の紹介、お気に入りの動画をまとめられる「プレイリスト」の作成などに対応するとした。
NHK ONEの利用方法は?サービス登録時の新契約情報入力における受信契約の有無についても言及
NHK ONEの利用には、受信契約が必要。テレビですでに受信契約を結んでいる場合、別途の契約や追加費用などは必要ないが、テレビを持っていない場合はPCやスマートフォンからのみでも利用でき、その際はテレビでの地上契約と同額の受信料が必要になる。
実際の利用にあたっては、10月1日以降、NHKのインターネットサービスにアクセスすると「ご利用にあたって」という画面が表示され、この画面以降のサービスには受信契約が必要であることを告知される。
そしてユーザーがその案内を確認したうえで「サービスの利用を開始する」ボタンを押すと、すぐにサービスを利用できるようになる。これは、NHKのWEBサイトに掲載されているテキストベースのニュース記事の閲覧についても同様の対応になるとのこと。
加えて、NHK ONEを利用するためのアカウント登録も必要。上記の「サービスの利用を開始する」ボタンを押した以降にアカウント登録作業を行うことになる。画面表示に従って必要な情報を入力することでアカウント登録が完了するという。上述の通り、ひとつのアカウントでは5個までのプロファイルを個別に設定することができる。
また、NHK ONEのサービス登録の中で新契約情報を入力するプロセスが発生するが、担当者によれば「その時点で契約が締結されるわけではない」と説明。受信契約については、あくまで通常の受信契約窓口から申し込みを行った場合に締結されると語った。
なお解約の手続きにあたっては、「アプリとブラウザいずれでも配信を受信しないこと」「本人と同一世帯の人が今後どの端末でも配信を受信しないこと」「テレビなどの受信機の設置がないこと」をNHKがユーザーに確認、また、「解約にあたり、スマホやパソコンの廃棄などを求めることはありません」と、先の利用方法の詳細発表時にNHKは案内している。
イベント終盤の質疑応答にて、10月1日から提供開始される後継アプリの「事前ダウンロード」の対応について質問が及ぶと、「法律が10月1日から適用されるため(事前ダウンロードの対応は)難しい。9月30日までは現行のサービスを利用いただくことでご理解を賜りたい」と返答した。
最後に黒崎氏はNHK ONEのサービスについて、「ニュースと番組が深く連携し、NHKの持つ多様で豊かなコンテンツが1つ(ONE)となる。放送では次々と流れ去ってしまう一つ一つの情報をネットの特性を活かして有機的に結びつけ、その背景や意味を深く理解できる体験を作り出したい」と力強く締めくくった。
































