公開日 2006/09/26 15:50

日本TI、ポータブルオーディオ機器の高音質化を実現するオーディオ・コーデックなどを開発

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アナログ・テクノロジー・センター長 濱崎利彦氏
日本テキサス・インスツルメンツ(株)(日本TI)は本日、ポータブルオーディオ向けのICの新製品として、オーディオ・コーデックとClass-Dオーディオ・パワーアンプを開発したと発表。都内にて記者発表会を開催した。

発表会では、まず初めに同社アナログ・テクノロジー・センター長の濱崎利彦氏が登壇し、これまでのオーディオ・コンバーター開発の歴史とその性能の高さについて説明を行った。

TIに買収されるまでバー・ブラウン社で開発本部長を務めてきた濱崎氏は、「デジタル情報家電市場はCDの登場で幕を開けた。バー・ブラウン社が民生機器に適用できるICを生産開始したことからデジタル情報家電の歴史が始まり、これまで常に先陣を切って開発を続けてきた」と語り、バー・ブラウンならびにTIのオーディオ製品の開発力を強調。SACDやDVDオーディオなどの次世代オーディオ機器にも、それぞれに最適な先端技術を提供してきたとアピールした。また、2002年に開発したDAコンバーター(DAC)「PCM1792」では最大132dBのダイナミックレンジを実現し、非常に高い信号再生能力を可能にしたと説明した。


同社製品の歴史

DVD-A、SACDに最適な製品を提供してきた

132dBの高性能DACを2002年に開発
なお、今回開発したオーディオ・コーデック「PCM3793/PCM3794」はバー・ブラウン・ブランドで展開するとし、これまで培ってきた技術を活かしつつ、ダイナミックレンジをポータブル機器で必要なレベルまで落とすことで小型化と低消費電力を実現したと説明した。


ステレオ・オーディオ・コーデック「PCM3793」「PCM3794」

ともに、DAC/ADCに加え、AB級ヘッドホンアンプ、イコライザー、3Dサウンド、ノッチフィルターなどの処理回路をワンチップ化したオーディオ・コーデック。PCM3793にはステレオD級スピーカーアンプも搭載している。


中央のICが「PCM3793」

「PCM3793」の評価用ボード
SN比はDACが93dB、ADCが90dB。再生時7mW、録音時13mWという世界最小クラスの低消費電力を実現したのが大きな特長だ。ヘッドホンアンプは出力40mW×2ch。PCM3793のみ搭載のスピーカーアンプは700mW×2chの高効率化を実現している。

イコライザーは、低/中/高音域に対応。ノッチフィルターは、製品のモーター駆動音による影響の低減を可能にするという。

両新製品は、デジタルオーディオプレーヤーや携帯電話、デジカメ、ポータブルゲーム機などがターゲットとなる最終製品。多様な処理機能の1チップ化を実現したことで低消費電力によるバッテリー駆動時間の延長や、高集積化による最終製品の小型化を実現できるほか、高効率のD級クラスアンプの搭載(PCM3793)により発熱の抑制も同時に可能にしている。


従来品を使用した構成例

「PCM3793」を使用することで多くの機能を1チップ化できる

ハイパフォーマンス・アナログ事業部 齊藤健一氏
製品説明を行ったハイパフォーマンス・アナログ事業部の齊藤健一氏は、「これら製品は、市場の大きい日本で企画・開発を行っている。今後も国内メーカーとディスカッションし、開発を進めていきたい」と説明した。


Class-Dオーディオ・パワーアンプ「TAP203xD1」

単品Class-Dアンプの新シリーズで、入力抵抗を内蔵することで約50%の省スペース化を実現したほか、ノイズの低減などを果たした。


ハイパフォーマンス・アナログ事業部 滝川宏之氏

「TAP203xD1」シリーズ
説明を行ったハイパフォーマンス・アナログ事業部の滝川宏之氏は、「携帯電話などで使用していた入力抵抗はコスト的にバラつきのあるものを使用せざるを得なかったため、音質に影響を与えてしまっていたが、内蔵することで音質への影響も回避した」と説明した。

本製品は、輻射ノイズを低減したのも特長。ワンセグなどで使用する470〜770MHz帯域において従来製品比より6〜12dB程度の改善を実現しており、携帯電話やワンセグ放送の受信感度を向上することに成功しているのだという。

基板面積の大幅な削減を実現

入力抵抗の内蔵によるメリット

ワンセグ受信性能の向上も実現する

(Phile-web編集部)

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