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審判を請求し争う方針

JASRAC、公取委からの排除措置命令を受け緊急会見を実施

公開日 2009/02/27 20:48 Phile-web編集部
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公正取引委員会は本日、(社)日本音楽著作権協会(JASRAC)へ排除措置命令を出した。JASRACでは、この件に関する見解を発表する緊急記者会見を開催した。

会見の様子

本件は、JASRACが放送局と締結している音楽の包括契約が、同業他社の参入を妨げているとして「私的独占又は不当な取引制限をしてはならない」という独占禁止法第3条への違反を問われているというもの。

公取委では第7条1項「第三条又は前条の規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、第八章第二節に規定する手続に従い、事業者に対し、当該行為の差止め、事業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる」との規定に基づき、JASRACへ排除措置命令を出した。

命令内容は、放送局との包括契約の見直しを求めるもの。公取委は、現在の包括契約では、実際に放送で利用された楽曲の割合が著作権料徴収の際に正しく反映されていないと指摘。

そのことにより、放送局はJASRACへの支払いは従来通りのまま、著作権管理業務に新規参入した他業者の管理楽曲への著作権料を上乗せして払わねばならない状況になっているとした。こうして、放送局は出費が増えることを嫌い新規参入業者の楽曲を使用しなくなっているとし、この事態の是正を求めた。

JASRACの会見は、この命令に対する見解を述べるというもの。会見には、理事長の加藤衛氏が、理事の菅原瑞夫氏や顧問弁護士らとともに出席し、同協会の立場から意見を述べた。

日本音楽著作権協会 加藤衛氏

日本音楽著作権協会 菅原瑞夫氏

加藤氏は冒頭で「包括契約は、欧米でも早くから結ばれて定着してきたもの。現段階ではベストな方法であると言えるだろう。日本でも30年以上前から行われている。つまり、包括契約は世界標準、デファクトスタンダードだ」とコメント。

そして、「我々に著作権を預けている多くの著作者や、管理楽曲を使用する放送局、あるいは相互管理契約を結んでいる諸外国の団体などへの影響を考えると、この排除措置命令に対して不承知だ」と、命令には従えないという見解を述べた。

また、これまでの公取委との話し合いの中で、他業者の管理楽曲を使わないように放送局へJASRACが圧力をかけたなどという事実がなかった点を確認しているとも説明。「一般の方にそのような受け止め方をされるのは心外。圧力などは一切かけていない」とも強調した。

そして、加藤氏は命令内容に関して公取委へ週明けに詳しい話を聞きに行くと説明。その後、いわゆる不服申し立てに当たる審判請求をするとコメントした。

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