公開日 2025/05/16 15:27

【HIGH END】Qobuz Connect正式発表&「人間によるキュレーションを重視」、QobuzのCTOを直撃

Qobuzアプリからそのまま楽曲再生ができる
筑井真奈
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現在開催中のミュンヘン・ハイエンドにて、Qobuzのアプリから各種ネットワークプレーヤーを直接再生できる「Qobuz Connect」の機能が正式発表された。Qobuzのスマートフォンアプリ(iOS/Android)並びにPCから利用できる。

ミュンヘン・ハイエンドにてQobuz Connectの実装が正式に発表された

Qobuz Connectは、いわば「Spotify Connect」のQobuz版と言えるもので、Qobuzが用意する専用アプリから楽曲の選択や再生・停止などの操作ができるものとなる。このメリットがどこにあるかというと、Qobuzが重視する“エディトリアルコンテンツ”(読み物記事)からそのまま楽曲に飛ぶことができるという点にある。

Qobuzのアプリからネットワークプレーヤーを操作することができる

本日の時点で、71のブランドがQobuz Connectに対応と発表された。これまでQobuzが再生できなかったデノン、マランツを筆頭に、国内ブランドとしてはエソテリック、ティアックが対応。また国内に展開されている輸入ブランドとしては、ATOLL、Aurender、dCS、エソテリック、Eversolo、ヘーゲル、JBL、ルーミン、マッキントッシュ、MOON、Nagra、Shanling、Silent Angel、SOtM、Volumio、Wattson Audio、WiiMなど数多くのハイエンドブランドがQobuz Connectに対応となっている。

Qobuz Connect対応を発表しているブランド一覧

QobuzのCTOであるアレックスさんは、「Qobuzは単なるストリーミングサービスではなく、音楽をより深く楽しむためのプラットフォームと考えています」とコメント。音楽をただ消費する受動的なリスナーではなくて、積極的にアクティブに音楽を楽しみたい人に向けたサービスとして考えているという。「音楽は消費されていくものではなく、文化であり、感情を想起するものであり、記憶と密接に結びついているものです。そういった音楽の豊かさを届けていきたいと考えています」

左からPR担当のキャサリンさん、Qobuzの副CEOのジョージさん、CTOのアレックスさん。ジョージさんはかつて、ソニーでヨーロッパにおけるPlayStationの展開ビジネスにも関わっていたそう

そのためにはやはり高いクオリティが必要で、「音楽家が作ったソースになるべく近いものを届ける」という点も重視しているという。「利便性とクオリティは相反するものと言われがちです。mp3は確かにファイルサイズが小さくて便利ですが、残念ながらクオリティは犠牲にされています。ですがわたしたちはその点は妥協しない、クオリティと利便性の両方のバランスを取ったストリーミングサービスとして考えています」。ストリーミングサービス側による“勝手な最適化”などは絶対にやらない、と言葉を強める。

続けてアレックスさんは「人間がキュレーションしたプレイリスト」についても重視していると教えてくれた。昨今ではAIによるレコメンド機能が非常に発達しており、QobuzとしてもAIを活用している面もあるとしつつ、レコードショップや友人からのレコメンドにも似た、人間の感性に基づいたキュレーションが、より新しい音楽との出会いを広げてくれると考えているという。

ルーミンやWiiM等、各種ネットワークプレーヤーのアプリでもQobuzを連携できるが、Qobuzが重視するエディトリアルコンテンツはそういった他社アプリでは確認できない。Qobuz Connectを使用することで、Qobuzアプリ上で記事を読み、気になったらそのままプレーヤーに飛ばして再生する、という使い方が広がるのだ。

コンテンツとしては新作情報はもちろん、アーティストインタビューや音楽の文化的背景を伝える記事、ハイファイオーディオブランドの製品情報も用意。Qobuzは、全世界にエディトリアルコンテンツを作成する専門スタッフを擁しており(もちろん日本にも!)、そういったスタッフによるレコメンドや、音楽関係の専門家によるプレイリストなども充実させている。

たとえば日本のオーディオ評論家によるレコメンド記事は、翻訳されて他の言語でも読めるようになる。世界中の音楽ファンによるキュレーションを、手元のアプリひとつで楽しめるようになってくるのだ(ところでそうなると、今度はRoonの次の手も気になってくる)。

また、ダウンロード販売についても今後も継続していくと力強い。「確かにストリーミングサービスの大きな市場の伸びに対して、ダウンロードが減ってきているというのは事実です。ですが、“手元に音源を置いておきたい”という需要は世界的にも少なくありません。他社がやめていくのであれば、逆に私たちにとってもチャンスになると考えています」。日本でのQobuzのサービススタートと前後して、DSD・DXDのダウンロード販売をスタートさせたことも記憶に新しい。

ストリーミングサービスの市場規模は年々拡大を続けている

アレックスさんによると、今後Qobuz Connect対応のプレーヤーはもっともっと増えていくだろう、と語ってくれた。製品の買い替えではなく、ファームウェアのアップデートにより対応できるものも多いだろう。

現在Qobuzが正式ローンチしている国。日本は26番目にスタート。次は中国、そして韓国の市場開拓が目標

また副CEOのジョージさんはQobuzの次なる展開として、「(音楽市場としての規模が大きい)中国・そして韓国へのサービススタートをぜひ実現したいと考えています」と教えてくれた。

Qobuzの今後のアップデートについても引き続きお伝えしていこう。

ミュージシャンへの金銭的な還元を重視している点もアピール

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