公開日 2025/03/21 06:30

【インタビュー】大画面文化はハイセンスが切り開く。2025年は売り場でもさらに大きな存在感を示す年に

VGP2025受賞:ハイセンスジャパン 山本一人氏
編集部:竹内 純
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VGP2025受賞インタビュー:ハイセンスジャパン

VGP2025でハイセンス「100U7N」がホームシアター大賞を受賞した。100インチ以上テレビの世界シェアにおいて63.4%2024年第3四半期)と驚異的な数字を誇るハイセンス。日本市場においても75インチ、85インチ、そして100インチと、さらなる大画面化の流れを率先してリードしていく構え。副社長・山本一人氏に2025年の意気込みを聞く。

ハイセンスジャパン株式会社
副社長
山本一人氏

プロフィール/1969226日生まれ 奈良県出身。日本ビクターで営業を経験後、ダイソンに転職し、フィールド統括として日本向けスティッククリーナーや理美容家電、空気清浄機の売り場を導入。現在はハイセンスジャパンの副社長を務める。モットーは「実現力=営業力」、現場での成果を成長へつなげることを重視。

 対前年比約400%と大きく伸長するMini LED

―― VGP2025におきまして、ハイセンス「100U7N」がホームシアター大賞を受賞されました。おめでとうございます。市場導入へ向けた狙いや昨年7月発売からここまでのお客様や流通の皆様からの反響についてお聞かせください。

ハイセンス「100U7N」がVGP2025で「ホームシアター大賞」を受賞。大画面・高画質のホームシアター体験をより身近に引き寄せた

山本 まずなにより、テレビの大画面シフトがグローバルでより鮮明になっています。国内でも昨年、高画質のMini LEDが大きく伸長するのに合わせるように、100インチクラスの商品が各社から登場し始めています。

我々は日本国内の市場への投入が少し出遅れてしまったこともあり、それだけにこの「100U7N」には一気に巻き返しをはかろうという強い想いが込められています。画質をはじめとする性能、機能に妥協することなく、価格面はできるだけ抑えて商品化しました。

これだけ大きなサイズの商品が、実際どれくらいの店舗に導入できるかなど、未知な面も少なくありませんが、まずは先鞭をつけること。各法人様でも積極的にお取り組みいただき、及第点となる数は導入できました。販売台数も着実に上がっており、今年はさらにラインナップを拡充し、売り場でも存在感をアピールできる年にして参ります。

―― 100インチという大きさのテレビに、どれだけのニーズがあるのか。ここまでの実売の感触はいかがでしょう。

山本 お客様が興味を持たれて検討し、購入を決断されるところまで進みながら、残念なことに搬入ができずに断念したというケースも数多く見受けられます。地域別に見てもばらつきがありますね。まさしく未知なところがあり、まだまだ勉強が必要です。100インチが搬入できない場合を想定した85インチや75インチと連携した展開も重要になると考えています。

メーカーが大画面、大画面と訴え、家電量販店でも75インチ以上の展示が充実する方向にありますが、大切なのはお客様のご家庭でどのサイズが最適なのかということ。ご満足いただける提案をするためにも、ラインナップの重要性を感じています。

ハイセンスでは昨年、Mini LEDが市場の成長を大きく上回る対前年比約400%の伸びを見せました。今年は、100インチをはじめ、85インチや75インチのラインナップも充実させ、提案を強化できる態勢を整えていくことを一番の目標にしています。100インチでは、「100U7N」はお買い得かを考慮して価格と品質のバランスを重視していますが、今年はハイスペック・高画質な商品の投入を計画しています。

大画面の臨場感を活かすために見逃せないスピーカーも徹底強化

―― 100U7Nは今、60万円台で購入することができ、価格面におけるハードルはかなり引き下げられている印象がありますが、先ほども搬入できずに断念されるケースが少なくないとのお話がありました。

山本 家電量販店と家とでは環境が全然違いますから、家では店頭で見たとき以上に、ものすごく大きく感じることが少なくありません。そうしたことまで考慮して、100インチから85インチや75インチへ、反対に、今一番のボリュームゾーンである55インチ・65インチから75インチ、85インチへ、段階的にもっとわかりやすく検討していただけるような環境を、より一層充実させていくことが大事になります。

―― 御社は100インチ以上テレビの世界シェアで63.4%(2024年第3四半期)という驚異的な数字です。日本市場はよく住宅の狭さなどが指摘されますが、市場性をどのようにご覧になられていますか。

ハイセンスグループは、世界100V型以上テレビ出荷台数1位、世界テレビ出荷台数2位を誇る

山本 米国や中国での大画面需要は日本の比ではありません。しかも日本では地震への対策も考慮されるなど、やはりハードルは少し高めの印象を抱いています。したがって、訴求するにあたっても、もう少し知恵を絞っていく必要があると考えています。

例えば、横長テレビが出始めた当初に、昔からテレビは離れてみないと目が悪くなると言われていましたが、視聴距離は実は短くても大丈夫なことを工夫をしながらアピールしていました。そんな泥臭い地道な啓発活動も必要かもしれません。

実際にこれだけの画面サイズのものが自宅に入ると、その大きさに圧倒されます。「液晶テレビ」=「軽量」というのが常識ですが、さすがにサイズが格段と大きくなればそれも違ってくる。ただ、映画やスポーツを見ると、これまでとは比べ物にならないものすごい臨場感で味わっていただけることを実感いただけるはずです。

―― さらに大画面化が進むと、臨場感というなかでの“音”というテーマが、これまで以上にクローズアップされてくると思いますがいかがですか。

山本 実は5月から展開する新シリーズでは、すべてのモデルで音質を大きくグレードアップしていきます。現在、最上位モデルに採用しているハイクラスのスピーカーを普及タイプに搭載し、最上位のモデルにはさらにグレードアップしたスピーカーを採用します。

―― ぜひ、音も一緒に体験できる“場”が増えてほしいですね。

山本 今年の新商品の商談会では、これまで行っていなかった音の比較を、YouTube、動画配信サービス、テレビ番組、映画など多彩なコンテンツを使って行う予定です。搭載しているスピーカーの数と質の両面からグレードアップしていますので、それをどうわかりやすく訴求していくのかが、今年のテーマのひとつとなります。

大画面文化はハイセンスグループが切り開く

―― 今回のVGP2025では、「E6Nシリーズ」がコスパ大賞を受賞しています。85インチが20万円台中盤、75インチは20万円を切る価格で手に入れることができます。まさに、ハイコストパフォーマンスの商品となります。

山本 これでは100インチが売れづらくなってしまいそうですが(笑)、口コミなどを見ていても「ハイセンス=ハイコストパフォーマンス」というイメージが幅広く定着しつつあることを実感しています。我々の大きなセールスポイントのひとつでもあり、同じ価格を出すのであれば、ハイセンスを選んでいただければ、一つ二つ上のスペックのものを手にすることができます。

ハイセンス「E6Nシリーズ」がVGP2025「コスパ大賞」を受賞。価格を超える高画質で多彩なコンテンツが楽しめる

ただ安価なだけではありません。「ハイコストパフォーマンス」という背景には、例えば映像エンジンでは、他社ではグレードごとにチップが異なるケースが多いのですが、ハイセンスでは上のモデルから下のモデルまで、同じチップが使用されています。

今年発売予定のラインナップ最上位モデルでは、「有機ELを超える」というキャッチフレーズを掲げていますが、同モデルで夜景をはじめとする暗いシーンの映像をご覧いただいたお客様から、「有機EL以上に本当に“黒”の階調が出ている」との評価を数多くいただいています。この最上位シリーズと同一の映像エンジンが、下位シリーズのモデルにも搭載される予定です。

もちろん最上位モデルはパネル性能などで差が出てきますが、グローバルでプラットフォームを統一しており、コストパフォーマンスにおいても自ずと大きな差が表れてきます。それがすなわち、購入いただいたお客様の満足度に繋がっていると自負しています。

―― グローバル、国内ともにシェアがさらに高まっているとお聞きします。

山本 グローバル市場では2024年に約3,000万台の大台に達し、日本国内市場においては、2024年は3位。しかも、これまでのボトムゾーンに加え、ミドルゾーン以上でもシェアを伸ばしています。

日本国内において、ハイセンスのテレビの知名度は年々着実に高まり、それに伴いシェアもさらに高めることができています。2025年はラインナップをさらに拡充し、「20%」にどこまで近づけられるかが目標です。

新商品を導入する5月以降、勢いをさらに加速していきたいですね。また、有機ELはコスト面の課題などから、大画面化にはなかなか厳しいところもあると言われており、“大画面文化”はわれわれハイセンスグループが切り開いていく、そんな強い思いのもとに取り組んでいます。

快適スマートテレビで若い世代から高い支持

―― 販促ではイメージキャラクターをつとめる横浜流星さんが、NHK大河ドラマ「べらぼう」の主役を務められるなどさらに注目を集めていらっしゃいます。

山本 先日は映画『正体』に主演して第48回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞されました。この勢いにあやかりたいものですね。若い方から大変人気がある横浜流星さんですが、ハイセンスの認知度がまだ高いとは言えない年配層からも支持が高く、そうした層へリーチする狙いも込められています。

販促面では、ワールドカップに負けない人気を誇る「FIFAクラブワールドカップ2025」が615日から713日まで米国で開催され、その公式パートナーにも就任しています。迫力あるプレイ映像を販促として使用できるのは、ハイセンスとレグザさんだけになります。今年の夏商戦はFIFAクラブワールドカップのプレイ映像などもふんだんに活用し、売り場を大いに盛り上げて参ります。

さらに、プロ野球の横浜DeNAベイスターズ、Jリーグのサンフレッチェ広島ともスポンサーシップを結んでいます。スポーツを観るならやはり、大画面で臨場感いっぱいに楽しみたい。実際にスタジアムで観る迫力にどれだけ近づけられるか。映像に音も加えて、生々しい臨場感を追求していきます。100インチでコンサートなどを見ると本当に等身大ですね。

―― テレビでは若年層のテレビ離れがよく指摘されますが、この点についてはどのように分析されていますか。

山本 我々のテレビは現在、すべてがスマートテレビになっています。昨年からネットに非対応なテレビはラインナップから省きました。スマホの画面をそのまま簡単にすぐにテレビ画面に映し出せるミラーリング機能やVODへの対応はもちろん、ストレスを感じることなくサクサク操作できるのも大きなセールスポイントです。

これらが大きな差別化ポイントとなり、ハイセンスのテレビは若い世代(Z世代)方から高い支持をいただいています。

私たちのテレビを見ていただくとわかりますが、通常は中央に目立つように表記されているブランドのロゴが、左端に薄っすらとあり目立ちません。テレビに限らず、白物家電にも共通していますが、これは、お客様やご販売店様から「ロゴを目立たないようにしてほしい」との要望が強まり、いち早くお応えしたものです。特に若い方からの声が大きく、「ブランドレス化」が急激に進んできていることを実感します。

「ハイセンスは中華メーカーだから」とか、今の若年層のお客様はあまり気にされません。これから5年後、10年後に、我々を知っている、すでに購入した経験のある世代が購買の中心層となってくることは大きな強みとなります。

「2025年はこれまで展開できていなかったパートナーさんとの関係構築や商品ラインナップの一層の充実により、テレビシェア20%を目標に掲げています」

―― テレビ市場のさらなる活性化へ向けて、意気込みをお願いします。

山本 国内市場では2024年に、出荷ベースで対前年比150%を記録する大きな飛躍の年となりました。その内容もこれまでのボトムゾーン中心から、ミドルゾーン以上の高付加価値モデルへと支持が広まり、市場にもかなり浸透してきました。

今年はさらに、これまで展開できていなかったパートナーさんとの関係構築や商品ラインナップの一層の充実により、テレビシェア20%を目標に掲げています。5月に発表を予定している新製品の各シリーズでは、「ハイコストパフォーマンス」という我々の強みをしっかりとキープしながら、さらにフラグシップを筆頭にして、皆さんが思わず目を丸くするような内容になっています。ぜひ楽しみにしていただきたいですね。

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