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VGP2025受賞:エプソン販売 小宮正志氏

【インタビュー】VGP総合金賞受賞、エプソンの「dreamio」シリーズで広がるホームプロジェクターの可能性

公開日 2025/03/13 06:30 編集部:徳田ゆかり
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VGP2025受賞インタビュー:エプソン販売

音元出版のアワードVGP2025 映像音響部会において、エプソンのホームプロジェクター dreamioシリーズ(EH-QL3000EH-LS11000EF-22EF-21)が、総合金賞を受賞した。独自の液晶デバイスの一貫生産で高品質のプロダクトを提供、信頼を獲得するエプソンのプロジェクターで、多様化するニーズに応え、新たなコト訴求を推進する昨今の取り組みについて、エプソン販売の小宮正志氏が語る。 

 

エプソン販売株式会社 販売推進本部 VP MD

部長 小宮正志氏

 

ホームプロジェクターのあらゆるニーズに応えるdreamioシリーズ。その新たな展開とは

ーー 液晶プロジェクター dreamioシリーズが、VGP2025において総合金賞を受賞しました。誠におめでとうございます。エントリーからハイエンドまでのそれぞれの商品が、御社独自の3LCD方式を採用、明るく自然な高画質を実現したとの高い評価を獲得されています。これらの商品群について、改めてご紹介いただけますでしょうか。

小宮 このたびは栄えある賞を頂戴しまして、本当にありがとうございます。当社のプロジェクター事業領域の中で、このdreamioシリーズはホームプロジェクターとして、リビング空間などの生活の中で手軽にエンタメを楽しむ方々向けと、シアタールームと呼ばれる専用室で高画質を楽しんでいただく方々向けといった方向性で展開しています。

これらに加え、新たにスーパーハイエンドというカテゴリーでリリースしたのがEH-QL3000シリーズです。受注生産モデルで、大きなリビングルームやメディアルームなど、明るい空間での用途を想定しています。 

EH-QL3000

 

光の入らない空間を想定した場合は黒を基調としたコンセプトで画作りをしますが、新たなEH-QL3000シリーズについては、明るい部屋での使用を前提にビジネスプロジェクターの高輝度化ノウハウを活用した上、新たにハイパワーレーザー光源を採用して6000ルーメンという圧倒的な高輝度を実現させました。エプソンのホームプロジェクターでは初めて、ビジネス系と同様に交換用レンズを揃えて設置性にも幅を持たせています。本体デザインは、ブラックとホワイトのカラーバリエーションと、オプションでゴールドカラーの天板を用意し、さまざまなお部屋に馴染みやすい八角形のスタイルとしています。

シアタールーム仕様のモデルは、EH-LS11000です。現行モデルのEH-LS12000は黒い筐体でしたが、リビングでのご使用や女性のお客様のニーズの増加も背景となって、昨今要望が増えてきた白の筐体としています。EH-LS12000のレンズシフト、柔軟な設置性といった基本的な機能は維持しつつ、追加ラインナップの形でリリースさせていただきました。

EH-LS1100


EF-21EF-22は、プロジェクター本体にOSを搭載したスマートプロジェクターの新商品です。コロナ禍以降、特にお家でエンタメを楽しむニーズが活性化し、若い方々や小さなお子さんがいるファミリー層の方々のプロジェクターのご利用が増えていますが、そういった方々に向けた、日常的に映像を楽しんでいただくためのモデルです。

EF-21


OSGoogleTVを内蔵し、Wi-Fiに繋いで屋内のどこでもコンテンツを楽しんでいただけます。また自動補正や、壁や天井などで検知した障害物を自動で避けて投影できる障害物回避機能、自動スクリーンフィット機能などを搭載してプロジェクターに不慣れな方でも簡単に使っていただけます。

EF-22は、EF-21と同じ機能でエプソンのプロジェクターとして初めてスタンドを付属し、左右360度、上下150度の投写が可能です。EF-21/EF-22のカラーバリエーションは全部で5色、生活空間の中でプロジェクターの存在がノイズにならないようなイメージのデザインを採用しています。 

EF-22

 

需要が伸長するプロジェクター市場。様々な顧客接点で活用の広がりをアピール

ーー すばらしい商品群が揃いましたね。あらためて、プロジェクター事業の昨今のお取り組みをお聞かせいただけますでしょうか。

小宮 市場の動向を振り返りますと、コロナ禍の中では巣ごもりのニーズでホームプロジェクターが注目され、需要が少しずつ伸長してきました。プロジェクターを楽しまれる様子が数多くSNSに投稿されているのも追い風となり、さらに参入メーカーさんも増えました。こうして現在に至るまで市場は継続的に成長していますし、おかげさまで我々エプソン販売でのホームプロジェクターの販売実績も伸長しています。

ビジネスプロジェクターについては、コロナ禍で減少していた企業の会議室利用が直近では下げ止まっています。一方、空間演出の用途は増加していて、たとえば長野県の松本城で当社が一旗様、セイコーエプソン株式会社と共同でプロデュース・制作したプロジェクションマッピングも好評でしたし、さらに企業の会議室での活用もご提案しており、イマーシブな空間づくりでコミュニケーションを活性化させるといった事例も見られています。

このようにプロジェクター事業全体は、おかげさまで成長基調となっています。けれどもニーズは昨今、大きく変化しているのです。ホームプロジェクターの領域である家でエンタメを楽しむ流れは、映画やドラマ、スポーツといったコンテンツを鑑賞するにとどまらず、ゲームや “推し活” などといった用途も加わり一層多様化しています。今回賞をいただいたdreamioシリーズの新商品も、性能アップ、機能アップはもちろんですが、こうした多様なニーズの広がりにお応えする内容でリリースしたものです。

ーー そのように用途が広がる中で、プロモーションの仕方、訴求の仕方についてはいかがでしょうか。

小宮 プロモーションについては、EF-21EF-22のリリースから、日本メーカー製ということを強調しています。新たなメーカーさんが数々参入されている中で、アフターサービスの面でご不満を持っていらっしゃる方が多く、エプソンは日本メーカーとして、サポート体制まで含めて万全だというプロモーション、コミュニケーションを行いました。その結果、そこが購入動機となった方々が購入者の半数以上にのぼる結果がアンケートで明らかになっています。

 

体感の場づくりにあらためて注力し、新規顧客層の取り込みをねらう

 ーー アフターサービスの充実は御社としては当たり前のことですが、あらためて知っていただくことが重要ですね。チャネル対策についてはいかがでしょうか。

小宮 スマートプロジェクターのようなエントリークラスのモデルでは、家電量販店様で実機を確認したいというご要望も多く、昨今はプロジェクターコーナーも店頭に増えていますが、機種ごとの画質の違いが分かりづらいという声も多く聞かれます。そこでEF-21EF-22では専用の什器を導入し、店頭で少なくとも40インチサイズで投影し、明るく綺麗な映像を実感いただけるようにしました。こうしたアプローチもお客様を増やす要因になったかと思っています。

また、昨今のご購入動向ではやはりオンラインが増えていますので、その対策もより強化しています。例えばインスタグラムでは、@epson_dreamioというアカウントで情報発信を始めました。一方で画質などの訴求は、オンラインでの工夫と並行してオフラインでの体験機会を増やす取り組みも進めていますし、また以前からの取り組みである機器のレンタルサービスも、オンラインでのプロモーションを窓口とし、より強化していきます。

一方で、スーパーハイエンドのEH-QL3000シリーズは、コンセプトにフィットする顧客層に合わせた新たな販売チャネルの開拓も必要です。従来、プロジェクターの展開は家電量販店様や専門店様を中心としてきましたけれども、新たなチャネルを開拓し、多種多様な顧客にお届けできるよう取り組みを進めて参ります。

ーー 今はプロジェクターや映像の楽しみ方が本当に多様化していて、それぞれのシーンで情報を入手する手段が違います。御社の今後のお取り組みが興味深いですね。

小宮 おっしゃる通りで、従来の枠にとらわれない情報発信に引き続き注力していきます。YouTubeやインスタグラムなどSNSも駆使してきましたが、また別のデジタルタッチポイントの活用も考えていかなくてはと思います。

そして強化したいのは体感の場づくりですね。例えば推し活でのプロジェクター活用を訴求するために、ライブなどのイベント会場でプロジェクションを使った演出を体感していただくなど、機会を増やすだけでも状況は変わってくるかと思います。購入する場に限らず、日常の中にプロジェクターに触れる機会を増やすことを追求していきたいですね。

 

プロジェクターがもたらす新たな体験、映像の価値で様々な可能性を広げる

 

 

ーー 御社の事業領域の中でのプロジェクターの位置付けについて、あらためてご説明いただけますか。

小宮 エプソン販売は、商品の販売を通じて、お客様に価値をお届けするのが活動の基本ですが、ご提案するべきはモノではなくコトであると考えます。社会課題や個々のお客様が持っていらっしゃる課題を解決するべく、プロジェクターに限らずプリンターも含め、あらゆる領域で取り組んでいるところです。

映す行為だけでなく映すことで得られる価値も含め、プロジェクターがもたらすものは非常に幅広いのです。たとえば、昨今の小学校でのプログラミングの授業に対し、「プログラマッピング」という、プログラミング的思考でプロジェクションマッピングの映像コンテンツが制作できるアプリのご提案をしています。プログラミング教育は2020年から小学校で必修化されましたが、これまでご指導の経験のない先生方にとっても進め方や学習効果の検証に課題があり、そこにプロジェクターの活用をご提案したのです。

授業で作ったプログラムをディスプレイへの出力で発表するにとどまらず、「プログラマッピング」ではプロジェクターでの投写を前提として、プログラミングの発想を広げます。平面なディスプレイとは違い、平面や立体、布や水など形や素材を選ばずに投影できるので、子どもたちの創造力を育むのにうってつけであると大きな反響がありました。これこそまさにプロジェクターならではの価値提案ですね。

また以前は学校でのパソコンの授業は専用教室で行われていましたが、昨今は生徒が1台ずつタブレット端末を持ち普通教室で授業が行われます。用途がなくなったパソコン教室に、先進的な教育の取り組みとしてイマーシブ空間をつくるご提案も行っています。

教室の全ての壁に映像を投影して臨場感の高い仮想空間をつくり、例えば海外の街並みで、AIでの外国語会話のコミュニケーションを行う。プロジェクションマッピングや商業空間の事例が多いイマーシブの活用で、そうした教育現場での展開は、プロジェクターの新しい使い方や可能性を広げるものになりますね。

映像でできることは、業種業態を問わず今後も大きく広げていけると思っていますし、プロジェクターの領域を伸ばすことは、エプソンの今後の成長においても重要だと思います。新たな発想で今後も価値提案を行なって参ります。

ーー 品質と使い勝手のよさを誇る製品に加えて、新しい価値を生むコトの訴求で、プロジェクターの可能性がますます広がりそうです。今後のご活躍も期待しております。

 

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