PR 公開日 2024/06/28 06:30
ここまでこだわるの!? “最強コスパ”入門スピーカー「Monitor XT」の秘密が凄い
驚くべきコストパフォーマンスを紐解く
実は少しずつ違う!同じ口径の振動板でも“形状を最適化”していた
生形 ところで、フロアスタンド型の「XT70」と「XT60」のウーファーユニット、そしてブックシェルフの大きい方「XT20」のミッドウーファーユニットは、全て同口径になります。これは、やはり同じ振動板を共通して使用することで生産コストを抑えているのでしょうか?
澤田 実はこれ、全て同じように見えて、コーンの斜面の形状が全て微妙に違うのです。傾斜が浅くカーブが強いと高域まで再生できますが、ストレートで深いコーンの方がしっかりした低音が出せます。
そのため、スピーカーごとに微妙に変更し最適なカーブとなるようにしています。コスト面でも、先ほどのとおりシンプルなラミネートコーンなので射出成形金型が不要で、そこまで大変ではないわけです。
生形 驚きです。コストをかけられない分、工夫を厭わないわけですね。傾斜が違うと再生できる周波数が伸びるということで、XT20だけクロスオーバー周波数が異なることもそれに起因しているのでしょうか?
澤田 それはあると思います。XT70のトゥイーターのハイパスフィルターは、より急峻なカーブである-18dB/octとしています。さらに面白いのが、ウーファー側にローパスフィルターではなくノッチフィルターが使われていることです。
生形 ノッチフィルターは、狙った周波数帯域だけを急峻にカットするフィルターですね。通常、ピークを抑えるために使われる。
澤田 はい。あえてローパスではなくノッチとすることで、必要になる素子の数を増やさずに、急峻なカーブを得ることができます。
生形 ノッチフィルターでは不要な高域側はカットされないことになりますが、そもそもウーファーは口径が大きいから高域のエネルギーが弱い。そこを承知で問題になる部分だけに、最小限のコストで、最大のフィルター効果を得る。まさにさきほどの「3重マグネット」の話と通じますね。いかにコストを掛けずに目的を達成するか。
ネットワークにも考え尽くされた工夫
生形 パーツのグレード的にはどのようなものを使っているのでしょうか?
澤田 もちろん上位モデルのような高価なパーツは使えません。よってウーファーのコイルには、空芯コイルよりもコストに優れるコア入りコイルを使っています。しかし、ロスを減らすために質の良いラミネートコアを採用しています。これは、大電流が流れても飽和しにくく、コアに起因するようなキャラクターが付きにくいものです。
一方でトゥイーター側には、質の良い空芯コイルを使っています。しかもネットワーク基板をよく見ると、空芯コイルの裏側のパターンが抜かれています。これは近傍に導電物を持ってこない配慮ですね。空芯コイルはフラックス(磁束)が多く発生するので、その影響をなくすための工夫ですね。
生形 音質を最優先して、わざわざパターンを抜く。ペアで数万円のスピーカーにここまでするのは、尋常ではないです。信念や執念すら感じますね。細かく見れば見るほど、考え尽くされている印象です。
澤田 私も、このクラスのスピーカーでここまでするブランドは、他に見たことがありません。
取材の前後で実際にスピーカーを試聴したが、やはり改めてその音質に驚かされた。
ブックシェルフ型のXT20は、本機のみクロスオーバー周波数が高い設定もあってか、ウーファーの担当帯域が広く、歌声の音像が肉厚かつ骨太に確かな存在感で描かれ、大変充実感が高い。そして、2ウェイならではの、スムーズな声の動きが実に心地よいものであった。どのようなジャンルを聴いてもとりわけ歌声の充足感が高いのである。
パッシブラジエーターを搭載するフロア型モデルのXT70では、安価なバスレフ型のフロア型スピーカーにありがちな、低音の破綻が殆ど感じられないことに大変好感を持った。あえて普段は上げない位置までボリュームを上げてみても、歪み感が気にならない。
また、バスレフの共振周波数、つまりは狙った低音域を外れた低周波の音がキャビネットの外に漏れない恩恵か、密度の高い低音が楽しめる。ポートからの音漏れもなく、クリーンな印象だ。低音の下支えが加わり、XT20よりもより立体的な音楽再生が実現されている。
両スピーカーともに、Polk Audioがもつ、聴手に迫るかのようなプレゼンス豊かな音質が実現されており、充足感の高い音を楽しませてくれた。これらの魅力は紛れもなく、澤田氏が先述した、数々の徹底したスピーカー開発の賜物だろう。
Monitor XTシリーズの中身を知ることで、その実力の高さはもとより、Polk Audioというブランドの高い技術力と、何よりも “孤高の信念” を体感できた次第である。これからもさらに幅広いリスナーに対して、スピーカー再生の魅力を届け続けてくれることだろう。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)
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