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PRミドルクラス「Signature Elite」で検証

評論家がPolk Audioのスピーカーを使って「自宅でマルチチャンネル」構築してみた

公開日 2023/12/01 06:40 逆木 一
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Polk Audioによる「自宅でマルチチャンネル・サラウンド」の実力を検証した
アメリカのスピーカーブランドであるPolk Audioが日本に再上陸してから、およそ3年が経つ。この間、様々なスピーカーシリーズやサウンドバーといった製品が紹介され、いずれもリーズナブルな価格設定と充実した内容により、Polk Audioは日本市場においても存在感を高めているようだ。

現在、Polk Audioで日本に導入されているスピーカーシリーズは、「Monitor XT」「Signature Elite」「Reserve」の3種類。いずれもセンタースピーカーやハイトスピーカーもラインナップしている。価格帯を問わず、ステレオ2chだけでなくマルチチャンネル・サラウンドのシステム構築も意識されているところが特徴といえる。

そこで今回は、Polk Audioのミドルクラスである「Signature Elite」シリーズのスピーカー複数本を筆者宅に持ち込み、なかなかレビューされる機会のない「実際の住環境におけるマルチチャンネル・サラウンド」の実力を検証した。

まずは音楽再生で素性確認



使用したSignature Eliteシリーズのスピーカーは、トールボーイ「ES50」、センタースピーカー「ES30」、ブックシェルフ「ES15」というラインナップ。そこにサブウーファー「MXT12」を加え、5.1chを構築できるようにした。AVアンプは筆者所有のマランツ「CINEMA 70s」を使用している。

今回使用したSignature Eliteシリーズのラインナップ

視聴環境の広さは6畳程度、かつサブウーファーも使うということで、あえてトールボーイもブックシェルフも、13cmウーファーを搭載するモデルを選んでいる。より広い環境で使用する、もしくはさらに充実した低域の再生能力を求める場合は、ブックシェルフであれば「ES20」、トールボーイであれば「ES55」と「ES60」の合計3機種は16.5cmウーファーを搭載するモデルなので、それらを検討してほしい。

サラウンドの前に各スピーカーの素性を把握するべく、「ES15」と「ES50」、そして筆者個人で所有しているシリーズ最小のブックシェルフ「ES10」でも音楽を聴いてみた。試聴には筆者が企画から関わったKOKIA『白いノートブック』と、Papa Grows Funkのアルバム「Shakin'」から『Slinky Snake』を用いた。

ES10・ES15・ES50

ES10は普段、デスクトップオーディオの環境で使用しているのだが、スタンド設置にした場合も基本的な素性は変わらない。Signature Eliteシリーズ共通のテリレン・ドーム・トゥイーターを搭載するおかげで、高域の伸びやかさ、解像感や音離れの良さは、価格を考えてもじゅうぶんに優秀だ。KOKIAのボーカルも透明感があって清々しい。

ただし、特に『Slinky Snake』のベースやパーカッションの躍動感や実体感は、ウーファーサイズなりの限界も感じられる。もっとも、このように控えめな低音は、かえってデスクトップオーディオではプラスに働く場合があるのだが……。

ES10

ES15に入れ替えると、ウーファーサイズに加えてキャビネットもだいぶ大型化し、中低域が相応に充実する。『白いノートブック』冒頭のアコースティックギターの音の厚みなどは、変化が如実に表れる。また、低音は「音楽の要素として鳴っているのがわかる」から「音として体感できる」ものになり、曲の印象さえも変わってくる。ES10とES15は売価1万円程度の違いだが、再生能力の差は歴然としているので、今回のように設置スペースの問題さえないなら、断然ES15をおすすめする。

ES15

重要な特徴として、ES10はES15に対してサイズが、特に奥行が著しく小さい。設置性という点ではES10に大きなアドバンテージがあるため、例えばサラウンドスピーカーには場所を取らないES10を使うなどすると、選択の幅が広がるだろう。

ES10とES15のサイズ比較。奥行の違いが設置性に大きく影響する

ES50はさすがトールボーイなだけあって、高低両方でレンジの拡大が顕著。ウーファーが追加され、低域の再生能力が向上するのは予想通りだったが、思わぬレベルで高域の改善も大きい。『白いノートブック』冒頭のアコースティックギターや、それに続くピアノから、ブックシェルフ2モデルとは再生音のグレードが一段違っていることが実感できる。

ここまでくると「エントリー価格帯のスピーカーを聴いている」という感覚は完全になくなり、本格的なオーディオシステムならではの凄味、音楽再生のスリルを味わえるレベルとなる。

ES50

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