公開日 2016/08/12 12:25
エソテリック「P‐02X/D‐02X」開発者に聞く - 地道な改善の積み上げが音楽の“高揚感”を生む
“実質的旗艦機”となるトランスポート&D/Aコンバーター
エソテリックの“実質的フラグシップ”といえるSACDトランスポート&D/Aコンバーター「P-02X/D-02X」。外観的には先代の02シリーズと似ているが、内部は全面的に進化しているという。本記事では鈴木裕氏がそのポジショニングや企画・開発の現場での話を、開発を担当した加藤徹也氏と、企画を担当した町田裕之氏にお話を伺った。
■2筐体構成モデルが“実質上”フラッグシップ。そして本機がXバージョンの“最終モデル”
加藤徹也氏(以下、加藤氏):エソテリックでは4筐体のモデルも10年に一度くらいの間隔で登場させていますが、実験的というかラボラトリーモデルという存在で、トランスポートとDACで2筐体というのがエソテリックの事実上のフラッグシップです。
町田裕之氏(以下、町田氏):2011年に「P-02/D-02」が出た時にはファイル再生も出てきていましたので、これが最後のディスクメディアのプレーヤーじゃないかとも言われました。でも、いざ発売してみると大ヒットでそれがキッカケとなって「Grandioso P1/D1」の登場へとつながりました。また、35bitプロセッシングという技術を搭載したのはP-02/D-02が最初ですが、Xバージョン化というのは「K-01X/03X」から始まっていて、そのサイクルのラスト機種というポジションにもなります。
■Grandiosoを規範としてよりよいものを生み出す作業
ーー 開発の苦労を教えてください。
加藤氏:まあ、総合的に言うとコツコツ積み上げていく地味な作業なんですよ(一同爆笑)。P1/D1で取り組んでいたことをいかにギュッと凝縮できるか。プリアンプのC1のバッファーアンプの要素をどう入れるか。従来あるものからアレンジしてより良いものを生み出していく、そういう力の入れ方です。設計そのものとしてはリラックスしていて、いい意味で力が抜けているんです。ただし、中身はほとんど全部進化していて、細部はずいぶん変わっています。
町田氏:メカドライブも少しずつ進化しており、先代はセラミックのボールベアリングだったのがスチールの選別品になりました。
加藤氏:開発では先代のP-02/D-02と比較するようなことはほとんどやっていなくて、Grandioso P1/D1にどこまで近づけるかがポイントでした。02はK‐01というモデルがあって、それを2筐体にすることでいかにオーディオ的なスペクタクルを出せるか、静かなところから壮大なところまでの大きな幅を表現できるかというところをやりましたが、02XではP1/D1で評価をいただいた音楽性の部分に注力しました。
ーー たしかにP1/D1の音には聴いていて高揚してくるようなところがありますね。
加藤氏:そうです、カラダが熱くな ってくるような感覚を02Xでは盛り込みたかったんです。なので、P1の基板のパターンをそのまま凝縮したものがP-02Xには入っています。
■パーツや機構・回路以外にも細かいこだわりを要所に投入
ーー ところで、シャーシにスリットを入れるというのが興味深いのですが。
加藤氏:振動対策としては、さすがにC1のようなモジュールにサスペンション機構を付けてはいませんが、P-02Xではボトムプレートにスリットを効果的に入れることよって振動対策をしています。
町田氏:メカを搭載するところと、エレクトロニクスの基板が載る場所を分けるような形でのスリットです。
加藤氏:つまり、お互いの振動はフットのところで初めて出会うような形です。スリットの入れ方でだいぶ音質が変わるのでいろいろと試してみました。
町田氏:底板は5mm厚の鋼板ですが、そこに0.25mmという非常に細いスリットをレーザー加工で開けています。ぱっと見は線が引いてあるだけにしか見えませんが、貫通しているんです。
ーー 意図的にネジを締めていないところもあるそうですね。
加藤氏:たとえばドライブメカも実は6カ所にネジ穴が切ってあるのですが、その中でどの4点を選ぶのか、といったことをやっています。あえて非対称にしていた時期もありますね。
ーー デジタルプレーヤーというと、クロックの重要性を強く感じるところです。
加藤氏:立場によっていろいろな意見や考え方があるのですが、エソテリックの技術陣として水晶は大型のものが音質的に望ましいというのがひとつの答えです。先代の02モデルでも大きかったのですが、D-02Xでは縦が倍、横が1.5倍くらいありますからね。
結局、デジタル信号というのは、縦方向は0と1のデジタルの世界なんですが、横方向という時間軸ではアナログそのものなんです。アナログの回路で言えば電流を大事にしているように、デジタルにおいては横軸の動きに気を使っています。そこを詰めていかないと求めている音の世界に到達できません。特にDSDのような1bit系のデジタルはクロックの精度がダイレクトに音に出てきますね。オーディオスペックの歪み率は変わるし、場合によってはSN比も変わってきます。なにしろ細かい地味なことを毎日やっているんですよ(笑)
ーー 両機において積み上げられた研鑽の詳細がよくわかりました。ありがとうございました。
(構成:オーディオアクセサリー編集部)
■試聴とインタビューで分かったP-02X/D-02Xの真の魅力
3つの要素がスクラムを組んだ集大成。正確な情報再現により音楽が魅力的に鳴る
P-02X/D-02Xの誕生にあたって、やはりGrandiosoシリーズというラボラトリーモデルの存在が大きいと感じた。そこで開発された技術や設計思想があり、まず「K-01/03」をX付きバージョンとして進化させ、続いて「K-05/07」をX化。そしてプリアンプ「C-02X」「C-03Xs」を登場させ、X化の締めくくりとして出てきたのが、P1+D1の4筐体の内容を2筐体に凝縮したP-02X/D-02Xだ。
筆者はK-03、K-03Xと使い続けているので、X化の音の方向性を日々体感している。そこで思うのは、デジタルセクションの高精度化と、バッファーアンプ部のほとばしるような表現力の向上、そしてそれらをまとめるシャーシへのスリットによる振動コントロールという3つの要素が、がっちりスクラムを組むことで完成されているということだ。開発現場は地味かもしれないが、積み上げた成果は大きいのである。情報としてより正確になりつつ音楽が魅力的に良く鳴る、そうした方向性の集大成が本機にはあると思った。
前述した話以外にも、製造現場での精度が音質を大きく左右するとのことであった。エソテリックでは国内の生産現場を青梅の1カ所に集中させ、高い意識の元で厳密に製造を行っており、製造後には特性検査はもちろん試聴室でのチェックも施すという。これらの総合的な結果が、今回の高い品位を有するP-02X/D-02Xの完成に繋がっているのだ。
(鈴木 裕)
■2筐体構成モデルが“実質上”フラッグシップ。そして本機がXバージョンの“最終モデル”
加藤徹也氏(以下、加藤氏):エソテリックでは4筐体のモデルも10年に一度くらいの間隔で登場させていますが、実験的というかラボラトリーモデルという存在で、トランスポートとDACで2筐体というのがエソテリックの事実上のフラッグシップです。
町田裕之氏(以下、町田氏):2011年に「P-02/D-02」が出た時にはファイル再生も出てきていましたので、これが最後のディスクメディアのプレーヤーじゃないかとも言われました。でも、いざ発売してみると大ヒットでそれがキッカケとなって「Grandioso P1/D1」の登場へとつながりました。また、35bitプロセッシングという技術を搭載したのはP-02/D-02が最初ですが、Xバージョン化というのは「K-01X/03X」から始まっていて、そのサイクルのラスト機種というポジションにもなります。
■Grandiosoを規範としてよりよいものを生み出す作業
ーー 開発の苦労を教えてください。
加藤氏:まあ、総合的に言うとコツコツ積み上げていく地味な作業なんですよ(一同爆笑)。P1/D1で取り組んでいたことをいかにギュッと凝縮できるか。プリアンプのC1のバッファーアンプの要素をどう入れるか。従来あるものからアレンジしてより良いものを生み出していく、そういう力の入れ方です。設計そのものとしてはリラックスしていて、いい意味で力が抜けているんです。ただし、中身はほとんど全部進化していて、細部はずいぶん変わっています。
町田氏:メカドライブも少しずつ進化しており、先代はセラミックのボールベアリングだったのがスチールの選別品になりました。
加藤氏:開発では先代のP-02/D-02と比較するようなことはほとんどやっていなくて、Grandioso P1/D1にどこまで近づけるかがポイントでした。02はK‐01というモデルがあって、それを2筐体にすることでいかにオーディオ的なスペクタクルを出せるか、静かなところから壮大なところまでの大きな幅を表現できるかというところをやりましたが、02XではP1/D1で評価をいただいた音楽性の部分に注力しました。
ーー たしかにP1/D1の音には聴いていて高揚してくるようなところがありますね。
加藤氏:そうです、カラダが熱くな ってくるような感覚を02Xでは盛り込みたかったんです。なので、P1の基板のパターンをそのまま凝縮したものがP-02Xには入っています。
■パーツや機構・回路以外にも細かいこだわりを要所に投入
ーー ところで、シャーシにスリットを入れるというのが興味深いのですが。
加藤氏:振動対策としては、さすがにC1のようなモジュールにサスペンション機構を付けてはいませんが、P-02Xではボトムプレートにスリットを効果的に入れることよって振動対策をしています。
町田氏:メカを搭載するところと、エレクトロニクスの基板が載る場所を分けるような形でのスリットです。
加藤氏:つまり、お互いの振動はフットのところで初めて出会うような形です。スリットの入れ方でだいぶ音質が変わるのでいろいろと試してみました。
町田氏:底板は5mm厚の鋼板ですが、そこに0.25mmという非常に細いスリットをレーザー加工で開けています。ぱっと見は線が引いてあるだけにしか見えませんが、貫通しているんです。
ーー 意図的にネジを締めていないところもあるそうですね。
加藤氏:たとえばドライブメカも実は6カ所にネジ穴が切ってあるのですが、その中でどの4点を選ぶのか、といったことをやっています。あえて非対称にしていた時期もありますね。
ーー デジタルプレーヤーというと、クロックの重要性を強く感じるところです。
加藤氏:立場によっていろいろな意見や考え方があるのですが、エソテリックの技術陣として水晶は大型のものが音質的に望ましいというのがひとつの答えです。先代の02モデルでも大きかったのですが、D-02Xでは縦が倍、横が1.5倍くらいありますからね。
結局、デジタル信号というのは、縦方向は0と1のデジタルの世界なんですが、横方向という時間軸ではアナログそのものなんです。アナログの回路で言えば電流を大事にしているように、デジタルにおいては横軸の動きに気を使っています。そこを詰めていかないと求めている音の世界に到達できません。特にDSDのような1bit系のデジタルはクロックの精度がダイレクトに音に出てきますね。オーディオスペックの歪み率は変わるし、場合によってはSN比も変わってきます。なにしろ細かい地味なことを毎日やっているんですよ(笑)
ーー 両機において積み上げられた研鑽の詳細がよくわかりました。ありがとうございました。
(構成:オーディオアクセサリー編集部)
■試聴とインタビューで分かったP-02X/D-02Xの真の魅力
3つの要素がスクラムを組んだ集大成。正確な情報再現により音楽が魅力的に鳴る
P-02X/D-02Xの誕生にあたって、やはりGrandiosoシリーズというラボラトリーモデルの存在が大きいと感じた。そこで開発された技術や設計思想があり、まず「K-01/03」をX付きバージョンとして進化させ、続いて「K-05/07」をX化。そしてプリアンプ「C-02X」「C-03Xs」を登場させ、X化の締めくくりとして出てきたのが、P1+D1の4筐体の内容を2筐体に凝縮したP-02X/D-02Xだ。
筆者はK-03、K-03Xと使い続けているので、X化の音の方向性を日々体感している。そこで思うのは、デジタルセクションの高精度化と、バッファーアンプ部のほとばしるような表現力の向上、そしてそれらをまとめるシャーシへのスリットによる振動コントロールという3つの要素が、がっちりスクラムを組むことで完成されているということだ。開発現場は地味かもしれないが、積み上げた成果は大きいのである。情報としてより正確になりつつ音楽が魅力的に良く鳴る、そうした方向性の集大成が本機にはあると思った。
前述した話以外にも、製造現場での精度が音質を大きく左右するとのことであった。エソテリックでは国内の生産現場を青梅の1カ所に集中させ、高い意識の元で厳密に製造を行っており、製造後には特性検査はもちろん試聴室でのチェックも施すという。これらの総合的な結果が、今回の高い品位を有するP-02X/D-02Xの完成に繋がっているのだ。
(鈴木 裕)
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