SACDプレーヤーのベンチマークとなるモデルを徹底視聴

エソテリックのSACDプレーヤー「K-03X」レビュー − 最上位機の思想を受け継ぐ中核モデル

大橋伸太郎
2015年02月06日
SACD/CDプレーヤー高級機種の中でずっとベンチマークといえる存在がエソテリックの「03」シリーズである。「X-03」「X-03SE」「K-03」と世代交代し、そして2014年に登場した最新モデルが「K-03X」である。「03」シリーズがベンチマークである理由の第一は性能に優れることだが、同時にステータスと価格のバランスが挙げられよう。

「K-03X」¥900,000(税抜)

同社のレギュラーラインには兄貴分の「K-01」シリーズがある、先日レビューした最新モデル「K-01X」(「K-01X」レポート)は、圧倒的な仕様とサウンドを誇るが、価格は1,450,000円(税抜)と高価である。今回取り上げるK-03Xも900,000円(税抜)と決して安くはないが、国内各社のフラグシッププレーヤーが軒並み百万円越えした今期、SACD/CD再生の<リファレンス>を求めるユーザーは食指が動く価格設定なのではないか。

背面端子部

「K-03X」が並みいるライバル達の中でキラリと光るのには理由がある。第一は、エソテリックをディスクプレーヤーの筆頭という現在の地位に押し上げた独自開発・生産の孤高のドライブユニット「VRDS」の最新バージョンを搭載していることである。正確に書くとGrandioso「P1」、K-01Xに共通して搭載されているバージョンがVRDS-NEOVの「MK-3.5-20S」であるのに対し、K-03Xに搭載されるのは、「VMK-3.5-10」となる。両者の相違点は主にシャッターの有無やブリンク等で、ターンテーブルとコア基板は同じである。

ドライブメカにはVRDS-NEO[VMK-3.5-10]を搭載

VRDS以外のK-03XとK-01Xの差を挙げると、DACは旭化成エレクトロニクスの「AK4495S」で共通だが、搭載数はK-03Xが2基/chである。またK-01Xの差動8回路16出力デュアルモノ構成(左右別筐体)に対し、K-03Xは差動4回路8出力の同デュアルモノ構成となる。D/A変換の前段の入力処理はK-01Xの35bitに対し、K-03Xは34bitである。K-01Xの電源部トランスがLDAC用・RDAC用・メカ専用・スピンドルユニット用の4トランス構成に対し、K-03Xはアナログ/デジタルの2トランス構成である点も両モデルの違いである。「オーディオの価値は重さで決まる」(故・長岡鉄男氏)とも言うが、質量はK-01Xの31kgに対し、K-03Xは28kgである。

上位モデルにのみ採用していたVRDS-NEO専用のスピンドルサーボドライバーを新たに搭載

Grandioso P1/D1用に水晶振動子メーカー大手のNDKと共同開発したVCXO(電圧制御型水晶発振器)を搭載

試聴はK-01Xと同日に東京都町田市のエソテリック本社試聴室で行った。試聴ディスクは先日のK-01Xのレポートと共通だ。

さすがに、K-01Xの再生が始まるや大場所の空気をそのまま録音会場の空気に変えてしまう支配力には及ばない。それは両機の主として帯域の広さ、ことに低域の伸びによるものだ。K-01Xの電源構成と、両モデルのメカのバージョン差による剛体化で生まれる情報量の差が、そこにはあると思われる。

しかし、両機の音質は共通である。ニュートラルで色付きがなく描き出す音場が深い。あえて言うと、K-03Xの方が演奏の細部を慈しむ緻密さがある。エソテリックの高級ディスクプレーヤーは2011年のセパレート型「P-02/D-02」あたりから、やや音調の方向を修正した印象を筆者は持つ。それ以前の物理学者のような精密な音場描写にダイナミズムとエモーション、アグレッシブな表情が加わった感がある。K-01Xのスケール感がエソテリックの新しい方向を体現しているのに対し、K-03Xには、エソテリックのプレーヤーならでは精巧に描き込まれた細密画を見つめる密度感が色濃く漂う。こちらに親近感を感じるファンも多いのではないか。

VRDSとDACの進化が反映され、そこに音質の前進があることはいうまでもない。歴代「03」シリーズを愛用するファンは必聴の製品だ。同時にリファレンスディスクプレーヤーを探しているファンは、いま何を措いても聴く価値のある製品である。

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