公開日 2015/04/15 17:16

ソニー「LDAC」がハイレゾ相当のデータ量をワイヤレス伝送できる理由 − 開発者が語る技術的特徴

<山本敦のAV進化論 第50回>LDACキーマンインタビュー(1)

LDACでは最大96kHz/24bitまでの周波数帯域とビット深度を維持しながら、Bluetoothによるワイヤレス伝送の仕組みを使ってハイレゾ音源を高音質に再現できる。その符号化技術の仕組みを鈴木氏に訊ねた。

「LDACの場合は96kHz/24bitの“ハコ”はそのままにデータを送っています。ただ、完全に100%ビット一致のデータは送れないので、高域と低域との間で“ビットの貸し借り”を行うことで、990kbpsのビットレートの範囲内に信号を符号化しています」(鈴木氏)

LDACではハイレゾ(96kHz/24bit)相当のデータをワイヤレス伝送可能

鈴木氏によれば、人間の耳が音を認識する際に重要な低域については24bitビット精度を確保しながら、S/Nカーブを変えて高域のビット情報を削り、低域については16bit以上のS/Nとダイナミックレンジが出るように処理を行うことでCD以上の音質を実現しているのだという。そこにはソニーが開発した、20bitマスターテープの信号をCDの記憶容量である16bitに高品位なまま変換処理をかけて記録する高音質化技術である『スーパービットマッピング』に近い手法が採り入れられているそうだ。

「LDACの場合もロスレスの可逆圧縮方式であるFLACと同様に、第一段階としては高域側でデータが空いている領域を削ります。ただそれだけではFLACなみに、元の情報量から半分ぐらいの容量にしか落とせないので、そこから音質を保ったままさらに半分ぐらいのデータ量に落とし込む方法を考えた時に、人間の耳は周波数の低い音に敏感で、比較的高域の音に感度が低いという聴覚上の特性を利用しながら、さらにデータを効率化する処理を行っています」(鈴木氏)

FLACと同様にまず高域側でデータが空いている領域を削り、それに加えて人間の聴覚上の特性を利用しながら、さらにデータを効率化するというLDAC。高域の情報を削ってしまうことでリスニング感に影響は出てこないのか心配になるところでもあるが、鈴木氏によれば「高域に含まれる重要な音楽成分は犠牲にせず、しっかりと残しているため聴感上の影響はない」という。文章が長くなったため今回はいったんここで切り、このあたりの技術的詳細は、今後のLDAC対応製品の展開も含めて次回に紹介することにしたい。

前へ 1 2 3 4

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 XREAL、XREAL Oneが入った「開運福袋2026」を12/11から販売。200セット限定
2 HARBETHの魅力は“声”にあり!色褪せぬエバーグリーンなサウンドを、あえてのアニソンで斬りまくる!
3 5万円で激変、“DCリニア電源”をどう使う?トップウイングの「DC POWER BOX」徹底使いこなし!
4 AVIOT、LDACにも対応した1万円切りの“ピヤホン9”「TE-U1-PNK」
5 mora、ハイレゾ配信12周年キャンペーン第2弾スタート。「ハイレゾ大使」には森口博子が就任
6 『続・太鼓判ハイレゾ音源はこれだ!』#2【後編】- かつしかトリオ『“Organic” feat. LA Strings』リリース記念インタビュー
7 AURAS東京、シアターの常識を覆すかんたん操作&美しいデザインの“エンターテイメント空間”をカスタムメイド
8 LG、リアルタイムAIプロセッサー搭載の4K有機ELテレビ「OLED C5M」
9 【Qobuzダウンロードランキング】ブルーノート東京、夏の風物詩!矢野顕子トリオのライブ盤が1位にランクイン
10 Bowers & Wilkins、「801 D4」を六本木ISETAN SALONEにて特別展示。12/25まで
12/12 10:48 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX