公開日 2010/03/17 16:20
福井晴敏氏に訊く『ガンダムUC』−【前編】「全力で物凄いものを作るしか突破口は無い」
ガンダムファン・ケースイが突撃インタビュー
すでに視聴レビューをお伝えした機動戦士ガンダムの最新作『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』。作品としての話題性だけでなく、劇場と同時期にネット配信を行い、PS3でハイビジョン再生ができるなど、話題が豊富で注目を浴びている。また本日、OVA第1巻の初回出荷枚数が7.5万枚を突破したことが発表された(関連ニュース)。アニメ作品BDとしての初動枚数記録を塗り替える快進撃を見せている『ガンダムUC』。本作は、これまで「劇場公開」→「DVD/Bul-ray Disc(以下BD)タイトル販売とレンタル」→「有料放送(WOWOW/スカパー!など)」そしてようやく「ネット配信」というタイミングだったが、その常識を覆した作品でもある。
今回、小説『機動戦士ガンダムUC』の著者であり、アニメ版の制作にも関わっておられる小説家の福井晴敏氏に、ハイビジョン時代のアニメ制作についてお話を伺った。そして後半は、せっかくなので「一ガンダムファン」として、作品についての疑問や思い入れなどを伺った。「ガンダムってなに?」という人も少ないだろうが、『ガンダムUC』が初めて触れるガンダム作品という方へのささやかなガイドになればと思っている。では、映像とオーディオの専門サイトらしく、まずは画質&音質の話からスタートしよう。
福井晴敏氏プロフィール:
小説家。東京都出身。1988年「Twelve Y.O.」で作家デビュー。2000年には富野由悠季監督作「∀ガンダム」のノベライズ「月に繭 地には果実」を手掛け、話題に。2006年12月、月刊ガンダムエース誌上で『機動戦士ガンダムUC』の執筆を開始。アニメ版『ガンダムUC』ではストーリーを担当するほか、プロジェクト全体の監修も行っている。
◇ ◇ ◇
━━ 『ガンダムUC』の映像をご覧になった感想はいかがでしょうか?
福井氏:多くのスタッフと一緒に作ってきた作品なので、こちらが「どうですか?」と問う立場ですね。ご覧になっていかがでしたか?
━━ オープニングの戦闘シーンが緻密で印象に残っています。特に苦労されたのでは?
福井氏:オープニングの戦闘シーンはコンテを描き加えてまで作りました。オープニングだけでなく、全編を通して信じられないほど手間がかかっています。このクオリティをこの先も維持しなければ許されない空気が現場に漂っていて…1年に2、3本ペースで、あと5本ありますからどうなるんだろうと心配になるくらいです(苦笑)。
━━ そこまで作り込みしている訳は?
福井氏:いま映像の世界は、劣悪な画質の違法コピーなどタダで視聴できてしまうモノが氾濫している、良くない状況になっています。そんななか大切なのは「お金を払ってでも見たい!」と思ってもらえるコンテンツを作ることでしょう。そのためには制作者側が覚悟を持って、真摯に良い作品を作らないといけません。「これは!」と皆さんに思ってもらう作品を世に送り出すに、スタッフやプロデューサー一丸となって「良いものを作ろう」と燃えているんです。
『ガンダムUC』の企画を立てたのは2006年くらいですが、その頃はDVD市場が今より活気があったので、ちょっとしたヒット作であれば20〜30万枚は売れていました。しかしその後BDとHD DVDの規格対決などがあり“何も買わない”という第3の選択肢を選ぶ消費者が増えてしまった。更に「リーマンショック」などの不景気で消費マインドは落ち込んでいます。そんな世の中で商売をするには、全力で物凄いものを作るしか突破口は無いでしょう。
そんな思いを感じてもらえればと、「バンダイチャンネル」やPlayStation Storeで本編の冒頭7分を無料配信しました。今までならありえないアピール方法です。
━━ SCEの広報に問い合わせたところ配信版の初動は好調だったそうです。本作は「イベント上映」・「配信」・「Blu-ray Disc」それぞれ全部印象が違うと感じました。その中でも「イベント上映」が一番インパクトがあったように思ったのですが?
福井氏:『ガンダムUC』は「音」にもこだわって制作しました。音楽に関しては澤野弘之さんにお願いできた時点でかなり「成功した」と思ったのですが、イメージスケッチを見ながらサンプルを聴いたときはもう「勝った」と思いましたね(笑)。
サウンドエフェクトを昔の劇場作品のガンダムに揃えているところもポイントです。ガンダムが歩く音、動き出す時の起動音、ビーム・サーベルの音など、これらのサウンドが違うと印象が変わってきますよね。テレビ版の『Zガンダム』の時にサウンドエフェクトがシンセサイザーになってしまって、音だけ聞いていると、本来繋がっている世界観が途切れた印象を受けたんです。なので今回はサウンドエフェクトの質には気をつけましたね。最初のガンダムのサウンドエフェクトを担当していた「フィズサウンドクリエイション」というスタジオにお願いして、当時の音源を元に再現しました。
━━ 世界(北米・イギリス・フランス)でのBD同時期発売についての感想はいかがでしょう?
福井氏:作品自体が日本国内の30代、40代がターゲットに考えていたので、当初海外はあまり意識していませんでした。しかし香港でワールドプレミア上映を行った際、現地の人達から「泣けました」という反応を多くいただき、外国の方達にも思いが通じるんだと感じましたね。
ネット配信については全部の結果が出ないと何も言えませんが、日本だけでなく海外でも同時発売されることはいいことだと思います。悪質なコピーをされるのなら自分達で良いものを先に提供して、そちらを見てもらいたいですしね。
━━ BD-LIVEに対する期待感はいかがでしょうか?
福井氏:こんなことをしたい、というような具体的な構想はいまのところはありませんが、実験的なことができるのが面白いと思います。
■並々ならぬ思いで真摯に作られた『ガンダムUC』という作品
ここまでが、『ガンダムUC』の画質と音質についてのインタビューだ。すでにご覧になった方には伝わるだろうが、類い希なる本作のクオリティはスタッフの並々ならぬ思いから生まれたようだ。さて後半は『機動戦士ガンダムUC』の作品の内容についてお話を伺おう。
(>>後編はあす3月18日アップ予定です)
【タイトル紹介】
機動戦士ガンダムUC BD第1巻(BCXA-0223)¥5,040(税込)
以下続刊(全6巻構成)
● 映像:MPEG-4 AVC/H.264(1080p)
● 音声:日本語・英語ドルビーTrueHD(5.1ch/2.0ch)
● 字幕:日本語・英語・仏語・西語・中国語(広東語・北京語)
● 特典:特製スリーブ(初回生産分のみ)、特製ブックレット
● その他:BD-LIVEでの特別コンテンツ視聴が可能
今回、小説『機動戦士ガンダムUC』の著者であり、アニメ版の制作にも関わっておられる小説家の福井晴敏氏に、ハイビジョン時代のアニメ制作についてお話を伺った。そして後半は、せっかくなので「一ガンダムファン」として、作品についての疑問や思い入れなどを伺った。「ガンダムってなに?」という人も少ないだろうが、『ガンダムUC』が初めて触れるガンダム作品という方へのささやかなガイドになればと思っている。では、映像とオーディオの専門サイトらしく、まずは画質&音質の話からスタートしよう。
福井晴敏氏プロフィール:
小説家。東京都出身。1988年「Twelve Y.O.」で作家デビュー。2000年には富野由悠季監督作「∀ガンダム」のノベライズ「月に繭 地には果実」を手掛け、話題に。2006年12月、月刊ガンダムエース誌上で『機動戦士ガンダムUC』の執筆を開始。アニメ版『ガンダムUC』ではストーリーを担当するほか、プロジェクト全体の監修も行っている。
◇ ◇ ◇
━━ 『ガンダムUC』の映像をご覧になった感想はいかがでしょうか?
福井氏:多くのスタッフと一緒に作ってきた作品なので、こちらが「どうですか?」と問う立場ですね。ご覧になっていかがでしたか?
━━ オープニングの戦闘シーンが緻密で印象に残っています。特に苦労されたのでは?
福井氏:オープニングの戦闘シーンはコンテを描き加えてまで作りました。オープニングだけでなく、全編を通して信じられないほど手間がかかっています。このクオリティをこの先も維持しなければ許されない空気が現場に漂っていて…1年に2、3本ペースで、あと5本ありますからどうなるんだろうと心配になるくらいです(苦笑)。
━━ そこまで作り込みしている訳は?
福井氏:いま映像の世界は、劣悪な画質の違法コピーなどタダで視聴できてしまうモノが氾濫している、良くない状況になっています。そんななか大切なのは「お金を払ってでも見たい!」と思ってもらえるコンテンツを作ることでしょう。そのためには制作者側が覚悟を持って、真摯に良い作品を作らないといけません。「これは!」と皆さんに思ってもらう作品を世に送り出すに、スタッフやプロデューサー一丸となって「良いものを作ろう」と燃えているんです。
『ガンダムUC』の企画を立てたのは2006年くらいですが、その頃はDVD市場が今より活気があったので、ちょっとしたヒット作であれば20〜30万枚は売れていました。しかしその後BDとHD DVDの規格対決などがあり“何も買わない”という第3の選択肢を選ぶ消費者が増えてしまった。更に「リーマンショック」などの不景気で消費マインドは落ち込んでいます。そんな世の中で商売をするには、全力で物凄いものを作るしか突破口は無いでしょう。
そんな思いを感じてもらえればと、「バンダイチャンネル」やPlayStation Storeで本編の冒頭7分を無料配信しました。今までならありえないアピール方法です。
━━ SCEの広報に問い合わせたところ配信版の初動は好調だったそうです。本作は「イベント上映」・「配信」・「Blu-ray Disc」それぞれ全部印象が違うと感じました。その中でも「イベント上映」が一番インパクトがあったように思ったのですが?
福井氏:『ガンダムUC』は「音」にもこだわって制作しました。音楽に関しては澤野弘之さんにお願いできた時点でかなり「成功した」と思ったのですが、イメージスケッチを見ながらサンプルを聴いたときはもう「勝った」と思いましたね(笑)。
サウンドエフェクトを昔の劇場作品のガンダムに揃えているところもポイントです。ガンダムが歩く音、動き出す時の起動音、ビーム・サーベルの音など、これらのサウンドが違うと印象が変わってきますよね。テレビ版の『Zガンダム』の時にサウンドエフェクトがシンセサイザーになってしまって、音だけ聞いていると、本来繋がっている世界観が途切れた印象を受けたんです。なので今回はサウンドエフェクトの質には気をつけましたね。最初のガンダムのサウンドエフェクトを担当していた「フィズサウンドクリエイション」というスタジオにお願いして、当時の音源を元に再現しました。
━━ 世界(北米・イギリス・フランス)でのBD同時期発売についての感想はいかがでしょう?
福井氏:作品自体が日本国内の30代、40代がターゲットに考えていたので、当初海外はあまり意識していませんでした。しかし香港でワールドプレミア上映を行った際、現地の人達から「泣けました」という反応を多くいただき、外国の方達にも思いが通じるんだと感じましたね。
ネット配信については全部の結果が出ないと何も言えませんが、日本だけでなく海外でも同時発売されることはいいことだと思います。悪質なコピーをされるのなら自分達で良いものを先に提供して、そちらを見てもらいたいですしね。
━━ BD-LIVEに対する期待感はいかがでしょうか?
福井氏:こんなことをしたい、というような具体的な構想はいまのところはありませんが、実験的なことができるのが面白いと思います。
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