OpenHome台頭からRoon登場、そして・・・
ネットワークオーディオはどこから来たのか、どこへ向かうのか − 10年の歴史をふり返る<発展/成熟編>
逆木 一
2019年03月05日
「ネットワークオーディオ」の歴史を、逆木一氏が独自の視点からふり返るコラムの後編をお届けする。後編となる今回は、OpenHome対応のネットワークプレーヤーやオーディオNASが登場してきた「発展」の時代、Roonやハイレゾストリーミングなどネットワークオーディオの枠がさらに広がっていった「成熟」の時代を取り上げる。
・記事前編:“あの製品”が全てを変えた ? ネットワークオーディオ、10年の歴史をふり返る<黎明/拡大編>
<ネットワークオーディオ年表 2001年〜2019年>
(※下の画像をクリックすると拡大可能)
第3期:ネットワークオーディオの発展
LINNがオープンにしていたソフトウェア・ライブラリが、新たなネットワークオーディオのプラットフォーム「OpenHome」としてまとめられ、ネットワークオーディオプレーヤーのユーザビリティの底上げに大きな役割を果たすようになる。
ロスレス音楽ストリーミングサービス「TIDAL」「Qobuz」のスタート、DELAやfidataといった意欲的な製品の登場も続き、ネットワークオーディオのジャンルはより多機能に、より使いやすく発展を遂げていった。
▶2013年〜
OpenHomeに対応したネットワークオーディオプレーヤーが登場し始める
OpenHomeは、かつてLINNがオープンにしたソフトウェア・ライブラリを基に誕生した新しいネットワークオーディオのプラットフォーム。「まともな音楽再生機器であること」をネットワークオーディオプレーヤーに担保し、さらにDLNAと同様UPnPをベースにしているため従来のNAS/サーバーもそのまま使用可能となる。
このように、OpenHomeはDLNAが抱えていた諸々の問題を払拭した事実上の「上位/改良版」とも呼べるものだが、実際に採用したメーカーはそれほど多くなかった。早くからOpenHomeを採用したメーカー/ブランドとしては、AURALiCや、日本にも導入されたLUMINなどがある。
▶2013年初頭
LUMIN、ネットワークオーディオプレーヤー「A1」を発売
※日本導入は2014年初頭
「A1」はLUMIN初のネットワークオーディオプレーヤー。登場当初はA1というモデル名はなく、「LUMIN THE AUDIOPHILE NETWORK MUSIC PLAYER」という名称だった。OpenHomeの成果を踏まえた最初期の製品であり、PCM 384kHz/32bit・DSD 2.8MHzの再生に対応という当時としては強烈なスペックだけでなく、極めて高い完成度の純正コントロールアプリ「LUMIN App」による傑出したユーザビリティを実現。
2014年のCESではフラグシップ「S1」が発表され、ラインナップも一気に広がった。LINNと同様、LUMINの製品はグレードによってネットワークオーディオプレーヤーとしての機能に差はなく、アップデートで世代を越えた機能拡張が続けられている。(関連ニュース)
▶2013年7月
バッファロー、世界初のDSD配信に対応したオーディオ向けNAS「LS421D」を発売
大手メーカーから登場した「オーディオ向けNAS」というのは画期的な製品であり、DSDを配信可能になったことを含め、ネットワークオーディオにおける「サーバー」の重要性があらためて認識される端緒になったとも言える。なお、この時点でスフォルツァートのネットワークプレーヤー「DSP-03」やパイオニアのAVアンプ「SC-LX87」などがネットワークでのDSD再生に対応していた。(関連ニュース)
▶2013年9月
ソニー、ミュージックサーバー「HAP-Z1ES」を発売
ソニーのDAC一体型ミュージックサーバー。DACを搭載してアナログ出力までこなせるミュージックサーバーは貴重であり、DSDの再生に対応(当初はPCM音源もDSDに変換して再生する仕様だったが、その後、DSD変換のオフも設定可能に)、優秀なユーザビリティといった特徴で人気を博した。(関連ニュース)
▶2014年2月
バッファロー、オーディオブランド「DELA」を発表。オーディオ用NAS「N1Z/N1A」を発売
「はじめからオーディオ機器として作られた」サーバーの誕生。あくまでもオーディオ用途を念頭に、使い勝手の面でも多くの配慮がされていた。今までネットワークオーディオの進化は主に「プレーヤー」と「コントロール」の領域で起きていたが、DELAの登場、そしてN1Zのインパクトをもって、決定的なレベルで「サーバー」に光が当たった感がある。(関連ニュース)
▶2014年4月
LINN、新たな純正コントロールアプリ「Kazoo」をリリース
KinskyがDLNA/OpenHome両対応だったのに対し、KazooはOpenHomeのみの対応となった。しかし依然としてLINN以外のプレーヤーでも汎用的に使用可能で、Kinskyがそうだったように、KazooもまたOpenHome対応コントロールアプリの代表格のような扱いとなった。また、同時期にLINNの純正サーバーソフト「Kazoo Server」もリリース。組み合わせるとKazooの機能が拡張されるという仕様を備えていた。(関連ニュース)
・記事前編:“あの製品”が全てを変えた ? ネットワークオーディオ、10年の歴史をふり返る<黎明/拡大編>
<ネットワークオーディオ年表 2001年〜2019年>
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第3期:ネットワークオーディオの発展
LINNがオープンにしていたソフトウェア・ライブラリが、新たなネットワークオーディオのプラットフォーム「OpenHome」としてまとめられ、ネットワークオーディオプレーヤーのユーザビリティの底上げに大きな役割を果たすようになる。
ロスレス音楽ストリーミングサービス「TIDAL」「Qobuz」のスタート、DELAやfidataといった意欲的な製品の登場も続き、ネットワークオーディオのジャンルはより多機能に、より使いやすく発展を遂げていった。
▶2013年〜
OpenHomeに対応したネットワークオーディオプレーヤーが登場し始める
OpenHomeは、かつてLINNがオープンにしたソフトウェア・ライブラリを基に誕生した新しいネットワークオーディオのプラットフォーム。「まともな音楽再生機器であること」をネットワークオーディオプレーヤーに担保し、さらにDLNAと同様UPnPをベースにしているため従来のNAS/サーバーもそのまま使用可能となる。
このように、OpenHomeはDLNAが抱えていた諸々の問題を払拭した事実上の「上位/改良版」とも呼べるものだが、実際に採用したメーカーはそれほど多くなかった。早くからOpenHomeを採用したメーカー/ブランドとしては、AURALiCや、日本にも導入されたLUMINなどがある。
▶2013年初頭
LUMIN、ネットワークオーディオプレーヤー「A1」を発売
※日本導入は2014年初頭
「A1」はLUMIN初のネットワークオーディオプレーヤー。登場当初はA1というモデル名はなく、「LUMIN THE AUDIOPHILE NETWORK MUSIC PLAYER」という名称だった。OpenHomeの成果を踏まえた最初期の製品であり、PCM 384kHz/32bit・DSD 2.8MHzの再生に対応という当時としては強烈なスペックだけでなく、極めて高い完成度の純正コントロールアプリ「LUMIN App」による傑出したユーザビリティを実現。
2014年のCESではフラグシップ「S1」が発表され、ラインナップも一気に広がった。LINNと同様、LUMINの製品はグレードによってネットワークオーディオプレーヤーとしての機能に差はなく、アップデートで世代を越えた機能拡張が続けられている。(関連ニュース)
▶2013年7月
バッファロー、世界初のDSD配信に対応したオーディオ向けNAS「LS421D」を発売
大手メーカーから登場した「オーディオ向けNAS」というのは画期的な製品であり、DSDを配信可能になったことを含め、ネットワークオーディオにおける「サーバー」の重要性があらためて認識される端緒になったとも言える。なお、この時点でスフォルツァートのネットワークプレーヤー「DSP-03」やパイオニアのAVアンプ「SC-LX87」などがネットワークでのDSD再生に対応していた。(関連ニュース)
▶2013年9月
ソニー、ミュージックサーバー「HAP-Z1ES」を発売
ソニーのDAC一体型ミュージックサーバー。DACを搭載してアナログ出力までこなせるミュージックサーバーは貴重であり、DSDの再生に対応(当初はPCM音源もDSDに変換して再生する仕様だったが、その後、DSD変換のオフも設定可能に)、優秀なユーザビリティといった特徴で人気を博した。(関連ニュース)
▶2014年2月
バッファロー、オーディオブランド「DELA」を発表。オーディオ用NAS「N1Z/N1A」を発売
「はじめからオーディオ機器として作られた」サーバーの誕生。あくまでもオーディオ用途を念頭に、使い勝手の面でも多くの配慮がされていた。今までネットワークオーディオの進化は主に「プレーヤー」と「コントロール」の領域で起きていたが、DELAの登場、そしてN1Zのインパクトをもって、決定的なレベルで「サーバー」に光が当たった感がある。(関連ニュース)
▶2014年4月
LINN、新たな純正コントロールアプリ「Kazoo」をリリース
KinskyがDLNA/OpenHome両対応だったのに対し、KazooはOpenHomeのみの対応となった。しかし依然としてLINN以外のプレーヤーでも汎用的に使用可能で、Kinskyがそうだったように、KazooもまたOpenHome対応コントロールアプリの代表格のような扱いとなった。また、同時期にLINNの純正サーバーソフト「Kazoo Server」もリリース。組み合わせるとKazooの機能が拡張されるという仕様を備えていた。(関連ニュース)
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