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既存機器は対応不可、PS3はフル対応か − 見えてきた「Blu-ray 3D」の詳細

2010/02/12 ファイル・ウェブ編集部:風間雄介
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先日発表された「ブルーレイDIGA」が世界で初めて再生に対応した、ブルーレイの新規格「Blu-ray 3D」。すでにパナソニックハリウッド研究所(PHL)がBlu-ray 3Dのオーサリング業務を開始し、この春にもタイトルを発売する体制が整っている。

またディズニーも同規格に対応したBDソフト「Disney's クリスマス・キャロル」を、2010年冬に日本でも発売することを表明。パナソニック デジタルAVCマーケティング本部長の西口史郎氏は発表会の席上で「年末にかけてソフトが続々と出てくるだろう」と述べ、タイトルの拡大に自信を示した。

パナソニックはPHLでのBlu-ray 3Dオーサリングサービスを既に開始

年末に向けてBlu-ray 3Dタイトルが続々登場する、とパナソニック デジタルAVCマーケティング本部長の西口史郎氏

■公開情報が非常に少ない「Blu-ray 3D」の技術仕様

だが、この「Blu-ray 3D」について、現段階で公式に表明されている情報は非常に少ない。Blu-ray Disc Association(BDA)に参加していない企業が公式にアクセスできる情報は、昨年末にBDAが発表した資料(関連ニュース)のみにとどまっている。

まず、BDAの発表資料で明らかにされていることを改めて整理してみよう。

発表資料では、Blu-ray 3Dは左目用と右目用の映像を別々に収録し、解像度はそれぞれ最高1080pで収録可能であること、映像の圧縮にはMPEG-4 MVC(Multiview Video Coding)を用い、左目用と右目用の映像を、これまでの2D映像の50%増程度のデータ量で収録することが可能であることなどを説明している。

加えて、同規格は下位互換性も備えており、3D対応ソフトを、既存の2D対応BDプレーヤーを使って1080pで再生できること、またナビゲーション用のインターフェースにも3D映像を使用することができ、メニューや字幕などを3Dで表示することができることなども公表。さらに重要なポイントとして、Blu-ray 3D規格は、これまでに発売されたすべてのPlaystation 3で、Blu-ray 3Dの再生が行えるよう設計されていることも明らかにされている。

これらの情報だけでは、規格のくわしい仕様が十分に理解できるとは到底言えないし、どのように後方互換性を維持しているのかなども判然としない。一例を挙げると、以前コラムでご紹介した、既存のレコーダー/プレーヤーのソフトウェアアップデートにより、Blu-ray 3Dの再生が行えるようになるかどうかという点についても、容易に答えを導き出すことはできない。

さらに、これは今まさにアップデート用のソフトを開発中であると思われるので、BDAが公開している情報の少なさとは別次元の話になるが、Playstation 3でのBlu-ray 3D再生がフルHD 3Dで行えるのか、それともダウンコンバートして出力するのか、ということについても興味は尽きない。

今回、いくつかの取材を通じ、Blu-ray 3Dの要となる「MPEG-4 MVC」を使った3D映像記録方式の詳細、またMVCをデコードし、HDMIで伝送する際に必要となるハードウェア的な課題が明らかになってきた。その結果、PS3を除いて、これまでのレコーダーやプレーヤーでBlu-ray 3Dの再生に対応するのは、ほとんど不可能であると言って良いこともわかった。取材の成果の一端を紹介しよう。

次ページBlu-ray 3D再生に必要な「2つのハードル」

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