オーディオテクニカ「AT33xシリーズ」レビュー! ファン待望の新MCカートリッジ3機種を比較試聴
AT33xEN:「明るくのびのびとした音」

MLD同様のジュラルミンカンチレバーに、楕円針の構成。
明るくのびのびとした音は親しみやすく緊張感もそこそこに、それでいてヴォーカルのサ行などはしっかりとした伸びを聴かせ、明快感もある。
MLDが持っていたタップリ感とは少し異なる緩さのようなものを感じさせることなく、中高域の明快なしっかりとしたつまりヴォーカルや独奏楽器が音像を前に描き出すというバランスであり、中高域が音を若干強く表現しているので、張り出しや明快感は十分、ややさっぱり気味な解像力の高さにつながるようだ。
前作は2008年の「AT33 EV」で、同様なジュラルミンのカンチレバーに楕円針で登場しているが、明らかに情報量の面でもヴォーカルその他音の存在感などENは情報量的にも明瞭さで、価格的にも抑えられていてEVの後継機という位置づけになるだろう。扱いやすく、特にMM型からのグレードアップを感じさせるモデル、ということになるようだ。
モノラルモデル「AT33xMONO I/MONO II」も
なお33xシリーズにはモノラル専用の2モデルがある。針先やカンチレバー、更にはコイルの巻線なども同じだが、磁気回路は「MONO I」がネオジウムマグネットとパーメンジュール・ヨーク、「MONO II」はサマリウムコバルト・マグネットと純鉄ヨークだ。
IもIIも発電コイルは左右に一つずつ、2個を持ちそれぞれの信号が出力され、ステレオ・アンプで本機を聴くと2つのスピーカーの中心にモノーラルの音像が描き出される。特に低域の再生能力が高まり、より良い状態でモノーラル盤を聴くことができるという発想のもとに造られている。
伝統を引き継ぎつつサウンドが進化。3モデルとも個性豊か
今回のAT33xシリーズは、前作と比べて外観的にも前シリーズと比べると角にアールが付けられ、カバーはツヤを落とすなど高級感につながる部分の進化もあり、それぞれ色違いに区別されている。

新開発された亜鉛ダイキャッスト・ベースの採用はサウンドのグレードを大きくもう1ランク引き上げた、という結果になっているようで、同時にこれが5機種を一斉にシリーズ化できたということにもつながるようだ。
ステレオの3機種は価格も異なるが、伝統の33シリーズの親しみやすさ、使いやすさが引き継がれ、重心を下げたサウンドの安定感、リラックス感があり、さらにMLBではより細部にわたる明快感、情報量をより豊かに、ENは10万円を切る価格で本格的なMCサウンドが味わえる。
さらに本シリーズのパッケージには、豪華さを排除しプラスチック類は使わず、環境に配慮されていることも好感が持てる。
(提供:オーディオテクニカ)
