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PR「トゥルーオープンエアー」思想に新たなフラグシップ機が誕生

オーディオテクニカ「ATH-ADX7000」速攻レビュー!人気ヘッドホン新旗艦機は「オープン型の理想ともいえる領域」に到達した

公開日 2025/10/23 10:00 岩井 喬
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空間性の高さと音像のしなやかで音離れの良い描写はオープン型の理想ともいえる領域であり、音像の厚みや低域の豊かな押し出し感も両立。オーディオテクニカのオープン型ヘッドホンでこれまで感じたことのない有機的でナチュラルな表現性を実感した。

ATH-ADX7000はインピーダンスが490Ωと高く、ヘッドホンアンプの駆動力も相当高くないと鳴らない印象だ。ATH-ADX5000もヘッドホンアンプを選ぶ傾向があったが、ATH-ADX7000はそれ以上にアンプ選びにも配慮が必要となりそうだ。

2種類のイヤーパッドも付け替えて音の違いを確認。アルカンターラタイプはより低域の厚み、音像の太さを際立たせるリッチなサウンド傾向、ベルベットタイプはディティールを滑らかかつ丁寧にまとめ、丁寧なタッチで描き出す上質なサウンド傾向である。以降はベルベットタイプのイヤーパッドで試聴を進めることにした。

ATH-ADX7000レビュー(2):「情報量の多さと、細部にわたる制動性の良さにも圧倒される」

P-100 CENTENNIALとはバランスケーブルで繋ぎ、G-DIVモードでのパラレル・アンバランス(GND左右独立)を選択。オーケストラの管弦楽器の旋律は、個々のパートで厚みが感じられ、ローエンドにかけて伸び良く重心の低い安定感あるハーモニーを聴かせてくれる。

太鼓の響きの自然さ、弦楽器の艶やかさ、余韻の階調性の良さも実感するが、厚みがあっても楽器ごとの分離や粒立ちの良さも併せ持つ、情報量の多さと、細部にわたる制動性の良さにも圧倒される。

ジャズピアノは透明度が高いアタックを見せ、ハーモニクスの豊かさ、分離良く際立つ音像のクリアさも見事だ。ウッドベースやキックドラムの密度感、ボディの厚みもしっかりと再現し、輪郭も明確にまとめて滲みなく描き出す。

ボーカルの口元はキレ良く明瞭で、ボディの厚みもナチュラルに表現。クールな艶と爽やかに伸びるリヴァーブの清々しさが印象的だ。

TOTO『TAMBU』で聴ける大口径キックドラムのアタックで感じる空気の動きもリアルに捉え、楽器の前後感、スタジオの残響感も生々しく捉える。

「クリアで奥行きある空間表現力がATH-ADX7000の魅力」

緻密かつ滑らかな音像の自然な際立ちと、ヌケ良く分解能の高い描写性がもたらすクリアで奥行きある空間表現力がATH-ADX7000の魅力であり、これまでの同社製オープン型では味わったことのない、音像そのものの有機的な厚みとキレの良さを両立した描写性は、斬新さに溢れたものであると感じた。

ドライバー作りそのものから精度の高さを求めて積み上げた完成度の高いサウンドは、高解像度で情報量の多いフラグシップならではの世界観をより高みに押し上げているが、几帳面で硬質なまとめ方とならず、ほぐれ良くしなやかで、豊潤かつ爽やかな音楽表現となっている点が好ましい。

これからのオーディオテクニカのヘッドホンが向かう理想を指し示しているかのような精緻なATH-ADX7000のサウンドは、長年の経験と、クオリティコントロールが行き届いた国内での生産体制があるからこそ実現できたものであるといえよう。

■試聴音源
〇アンドレア・バッティストーニ指揮/東京フィルハーモニー交響楽団『マーラー:交響曲第5番』〜「第1楽章」
〇『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜「届かない恋」
〇Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源
〇丁「呼び声」
〇TOTO『TAMBU』〜「Gift Of Faith」

(提供:オーディオテクニカ)

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