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PR「トゥルーオープンエアー」思想に新たなフラグシップ機が誕生

オーディオテクニカ「ATH-ADX7000」速攻レビュー!人気ヘッドホン新旗艦機は「オープン型の理想ともいえる領域」に到達した

公開日 2025/10/23 10:00 岩井 喬
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そしてATH-ADX7000での大きな進化点は、ドライバーの設計、製造における精度の高さについて妥協なく突き詰めたことにあるだろう。

ドライバーはATH-ADX5000と同じ大口径の58mmダイナミック型ドライバーを搭載しているが、HXDT(High-Concentricity X Dynamic Transducer)技術を用いることで、ダイアフラムへのタングステンコーティングを施す必要がなくなり、レスポンスが向上したという。

自社で開発した精密成型技術によって、ダイアフラム形状を高精度に制御することが可能となり、コーティングによる重量アップの問題も解消。また組み立てにおいても長年培ってきた製造技術によって、バッフルや磁石、ボイスコイル、ダイアフラムを同軸上に配置し、従来製品と比較して1/10という精度の高さを実現している。

そしてATH-ADX5000では樹脂製であったバッフルは、アルミビレットを精密切削加工し、不要共振を抑えながら極限まで緻密に削り出すことで剛性を保ちながら軽量化にも貢献。

5軸CNCを用いることで有機的で滑らかな曲線を繋ぎ合わせた形状として、空気の流れも一層スムーズなものとした。またドライバーとこのバッフルを一体化させることで構成部品も最小限に抑え、音に混ざる僅かな歪みも解消している。

磁気回路やハウジング、イヤーパッドにも細かな配慮が

加えて磁気回路には、磁気の流れがどの方向にも均一になるよう設計された無方向性電磁鋼板をヘッドホンで初めて導入。

ATH-ADX5000ではパーメンジュールを用いていたが、日本発祥の特殊な技術である電磁鋼板へ置き換えることで、磁気回路内での磁束の流れをスムーズにしながら、エネルギーロスも最小限とし、電気への変換効率を高めている。またノイズの発生も抑えるため、音の透明度を高め、純度の高さも追求しているという。

ハウジングのアルミ製パンチングメタルは、日本の職人によるプレス加工によって作られる、特殊ハニカム形状のものとしており、フレームやアームはマグネシウム合金で成形され、不要共振も抑え込む。

イヤーパッドはアルカンターラ製のものに加え、より柔らかく肌触りの良い、妙中パイル織物社製の高級ベルベット素材のものも用意。

重量は約270g(ベルベットパッド装着時は約275g)と、軽量かつ装着性の高いボディ設計も継承した。ケーブルはA2DC端子による両出し・着脱式で、6.3mm標準プラグ仕様のものと4ピンXLRプラグ仕様のバランスケーブルの2種類が同梱。ハードケースも引き続き付属する。

ATH-ADX7000レビュー(1):音質は「オープン型の理想ともいえる領域」

試聴ではラックスマン「P-750u Limited」とバランスケーブルで繋いで聴いてみたが、幾分ウォームな印象で、音像描写もマイルドな傾向となる。音像の密度は高く、存在感はあるのだが、ATH-ADX7000の持つポテンシャルは発揮できていないように感じた。そこで上位のヘッドホンアンプ「P-100 CENTENNIAL」も準備し、置き換えてみるとサウンドも一変。不満点も解消された。

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