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PR「SURROUND:AI」から「YSP」までヤマハの高音質技術が細部まで活きる

「高音質サウンドバー時代」を牽引するヤマハのハイエンド・サウンドバー「SR-X90A」を徹底レビュー

公開日 2025/08/18 06:30 折原一也
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サウンドバー市場が成熟期を迎え、Dolby Atmosなどのイマーシブオーディオへの対応が標準となった今、ヤマハが次なる一手として投じるハイエンドモデル「SR-X90A」が、ついにそのベールを脱いだ。「ヤマハのサウンドバーで最も良い音のサウンドバーを作ろう」、開発陣の純粋かつ力強い想いから、SR-X90Aの開発は始まったという。

Hi-Fiオーディオに通じる音響設計、同社が誇るデジタル・サウンド・プロジェクター技術「YSP」、そしてハイグレード・AVアンプの “AVENTAGEシリーズ” で搭載した「SURROUND:AI」と数多の革新的技術を搭載する本製品は、リビングでの“本物の音響体験”を実現するという、ヤマハの揺るぎない決意が込められた戦略的モデルだ。

本稿では、ハイエンド・サウンドバーであるSR-X90Aだからこそ味わうことができる音質レビューをお届けする。

サウンドバー「SR-X90A」の音質チェックはヤマハミュージックジャパンで実施した

新開発「アイシェイプ・オーバル・スピーカー」とHi-Fiオーディオさながらの設計を導入

SR-X90Aについて最初に語るべきことは、ヤマハのハイエンド・サウンドバーでありながら、ヤマハの代名詞とも言える「YSP」からではなく、「SR」を型番に冠するモデルであるということ。

同社は現代主流になっている音質の優れた映像コンテンツや音源を、いかに「ヤマハのハイエンド・サウンドバー」として鳴らすのか、その答えを求めたときに”YSPシリーズ”の上位機をそのまま作るのではなく、サウンドバーで実現できる音質の限界に挑戦すべく、飛躍的な進化を遂げる必要があると考えたのだ。

そして、手軽さを語られることが多いサウンドバーにおいても絶対的な高音質を求めるオーディオ・ビジュアルファンに向け、徹底的に物量を極めた設計を施している。

「SR-X90A」 オープン価格(税込市場想定価格385,000円前後)、写真はサウンドバー本体

SR-X90Aのセットとなるワイヤレスサブウーファー

本機は、サウンドバーとサブウーファーがセットになったモデルで、サウンドバー本体は横幅が1,180mm、高さが85mm、奥行きが140mm、質量が11kgと大型サイズだ。サブウーファーも12.7kgという質量で、Hi-Fiオーディオを彷彿させる物量投資だ。

実際にサウンドバー本体を持ってみた折原氏。ずしりとくる重さを実感していた

さらに筐体の特徴をみていくと、メタルフレーム構造を採用しており、樹脂素材では抑制しきれない不要な振動を徹底的に排除している。併せて、サウンドバーでは異例と言える大型サイズのインシュレーターも導入されており、まさにHi-Fi的なアプローチが見た目から伝わってくるのだ。

サウンドバー本体の天面部。ボディ全体にメタルフレーム構造を採用されていた

サウンドバー本体に搭載されたインシュレーター。非常に大きいサイズのインシュレーターで安定感に優れる

サウンドバー本体のスピーカー構成は、フロントLRとセンターの3chに加えて、ハイトLRとして本体左右上部に「YSP」技術が採用されたビームフォーミング用スピーカーを設置しているため、そこにサブウーファーも組み合わせると3.1.2ch構成となる。

また、フロント3chは、フロントLRに2基、センターには左右の対称性を取るために2基のスピーカーユニットという構成。フロント成分を担うスピーカーには、新たに開発された「アイシェイプ・オーバル・スピーカー」を導入している。

新たに開発された「アイシェイプ・オーバル・スピーカー」の搭載によってパワフルで実存感のあるサウンドを実現した

目のような横長の楕円形の形にすることで中高域の立ち上がりや指向性を改善し、滑らかなスロープが振動を自然にする役割を持っており、併せてサイズの制約があるサウンドバーでも50mm×108mmの大型ユニットの搭載を実現している。加えて25mmツイーターも備える。

センターは、2つの新開発「アイシェイプ・オーバル・スピーカー」で25mmツイーターを挟む仮想同軸配置にすることで、画面中央への定位を確実なものにしている点も特徴だ。

「YSP」技術が活きる「ハイトビームスピーカー」、自然な低域にこだわったサブウーファーを兼備

フロントスピーカーにパワフルで一切の妥協のない音質重視のユニットを採用しながら、YSP技術も活きているのがSR-X90Aならではの魅力。28mmのビームフォーミング用スピーカーを左右に6基ずつ、小型スピーカーをアレイ状に配置し、「YSP」技術で天井の反射を利用する「ハイトビームスピーカー」とすることで、天井にスピーカーが設置されているようなリアリティに優れた高さ方向のサウンドを可能としている。

ハイトビームスピーカーには「YSP」技術を採用。SR-X90Aでは高さ方向の音に特化させた

ビームフォーミング用スピーカーとして28mmのツイーターを6基投入

かつての同社のデジタル・サウンド・プロジェクター技術を搭載した “YSPシリーズ” は全チャンネルをビームスピーカーで構成していたが、小口径ユニットの集合体という特性上、現代の高品質な映画音響で求められる音圧やダイナミックレンジの表現には物理的な限界があったという。

そこでヤマハは、空間表現力に長けたYSP技術を「高さ」に特化させ、音の主体となるフロント3チャンネルには、ダイレクトに音を届ける専用スピーカーを搭載するという大胆な「役割分担」に踏み切ったのだ。

付属のワイヤレスサブウーファーにも多数の高音質技術が盛り込まれている。ポートを下向きに設置し、両端にある同形状のポートを板で挟み込むことで、空気の流れをコントロールし、大音量時に発生しがちなポートノイズを20dB低減する「シンメトリカルフレアポート」を採用。

ワイヤレスサブウーファーには「シンメトリカルフレアポート」を採用している

また、自然で迫力のある低域再現を可能にするために信号処理技術「マルチバンドリミッター」を投入しており、本体とサブウーファーの音の繋がりを完全に制御。サウンドバーと一体設計されるサブウーファーだからこそ成し得るチューニングだ。

サウンドバーで初めて「SURROUND:AI」を搭載し、ハイエンド・AVアンプに迫る音作りを成し得る

これらの高音質技術がSR-X90Aの土台となっており、そこにサウンドバーとして初めて「SURROUND:AI」が導入された。

「SURROUND:AI」は、AVアンプのAVENTAGEシリーズのみに搭載されていた音場創生技術であり、AIによってコンテンツを分析し、コンテンツの場面に応じた最適な音響効果を作り出すことができる技術だ。

サウンドバーとして初めて音場創生技術「SURROUND:AI」が導入された

セリフやBGM、環境音、効果音といった音を瞬時に見極め、リアルタイムに最適な音響効果を施すことができる技術として、ヤマハが長年ノウハウを積み重ねてきたもの。立体音響フォーマットのDolby AtmosやDTS:Xのコンテンツでも掛け合わせられるため、あらゆるコンテンツで最適な音響効果を体感できる。

本機はサウンドバーとして世界で初めて「Auro-3D」にも対応した。音楽コンテンツとの親和性が高いとされるAuro-3Dの再生環境が、SR-X90Aで手軽に実現できることは特筆に値する。

さらに、定評のある高音質機能として、セリフやニュースのナレーションを明瞭に再生する「クリアボイス」、重低音を好みやコンテンツに合わせてさらに増強できる「バスエクステンション」も備えている。

Auro-3D対応したサウンドバーはSR-X90Aが世界初
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「Clear Voice」や「Bass Extension」など従来のサウンドバーで採用してきた機能も踏襲

接続端子には、HDMI端子を2基装備しており、eARC対応と4K/HDRのパススルーに対応したHDMIを1基ずつ採用。付属リモコンもあるが、スマホアプリ「MusicCast」でも各種操作が行える。

アプリはサウンドバーの操作だけでなく、高音質ストリーミングサービス「Qobuz」に対応。あらゆる機器との接続やコンテンツの楽しみ方を実現するしている。

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サウンドバー本体の背面端子部
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サウンドバー本体の電源部
付属リモコンを使用すれば、「SURROUND:AI」や「3D MUSIC」などのモード切替がボタンひとつでできる

SR-X90A音質レビュー:「音像と映像が完璧に一体化する音像定位」

それでは実際にSR-X90Aを聴いた音質のインプレッションをお届けしよう。最初に全ての音源に共通するサウンド体験として、音像が映像と完璧に一体化する定位感が特筆すべきポイントだ。

音がテレビ画面の下にあるスピーカーではなく、正面の映像の中、俳優の口元やアクションの中心からダイレクトに発せられる、映画館にも似たサウンド体験であり、これこそが「YSP」技術による音像定位のコントロールと言える。

まず映画『トップガン マーヴェリック』の、極超音速機でマッハ10のテストフライトに挑むこのシークエンスでは、静寂から轟音に至るダイナミックレンジの広さが試される。ドラマパートでは、微細音の再現性の高さと音像がスクリーンと完璧に一体化する、驚くべき定位の正確さだ。

サウンドバー本体の画面には、入力信号のフォーマットを表示可能

フロントLR/センター/ハイト/サブウーファーの信号も確認できる

ドラマは映画館さながらの高さ方向を感じる音像のなかで進み、コックピット内の電子音や息遣いは画面中央にシャープに定位し、緊迫感を増幅。そして特筆すべき事は低音の情報量で、極めて音分離が精密であり、離陸シーンでは地を這うような重低音の衝撃波すら感じられるほどである。

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