アンカー「Nebula X1」全方位レビュー! 画も音も “最高峰” の革新的スマートプロジェクター
スマートプロジェクターは、ついに本格的なホームシアターの領域に足を踏み入れた。かつては「手軽だけど、画質はそこそこ」というイメージもあったが、今やホームシアター向け製品の高画質技術革新の本場はスマートプロジェクターといっても過言ではない。

なかでもアンカーの手掛ける「Nebula X1」は、全面ガラス製シアターグレードの14層レンズの採用、4K解像度を誇る3色レーザーの搭載、サテライトスピーカーによる立体音響と、ホームシアターファンも唸らせる仕様で登場した、プロジェクターの革新を牽引するモデルだ。
専門メディアの視点から、画質、音質、そして利便性まで、全方位からその実力をレビューしていこう。
3色レーザー&全面ガラス製レンズで、3500ANSIルーメンの高輝度投写
Nebula X1の画質を構成する要素は多岐にわたるが、その根幹をなすのは、プロジェクターの性能を決定づける光学系、光源、そして映像処理エンジンである。
まずは、プロジェクターの光学系、解像度、描写性能を定めるレンズだ。

Nebula X1は、4KのDLPデバイスの搭載に加えて、投写レンズに全面ガラス製シアターグレードの14層レンズを採用。レンズ性能はコントラストにも直結するが、ネイティブコントラストは5000:1、さらに6枚羽からなるアイリスにより56000:1というダイナミックコントラスト性能を達成している。
光源技術も、本機の画質を語る上で欠かせない要素だ。Nebula X1は、近年ハイエンドプロジェクターに増えてきた3色レーザー光源機種のなかでも頭一つ抜けた3500ANSIルーメンを実現。レーザー光源の特性でもあるスクリーン上に細かな斑点が現れるスペックルノイズについても、拡散ホイールの大幅改善が施されている。


なお、レーザー光源による高輝度となると、発熱の問題が気になる方が多いかもしれないが、Nebula X1では本体内部に液体冷却システムを採用。放熱の問題をクリアするとともに静音性まで高めているところも技術的な特筆点だ。
色再現については、Rec.2020 110%を誇る広い色域だけでなく、色の正確さの指標であるDelta Eは0.8以下を確保。一般的な民生品のテレビやプロジェクターではDelta E 2以下で十分な正確さ、デルタE 1では映像制作向けのマスターモニターに匹敵するもので、Delta E 0.8は肉眼では識別が難しいほどの精緻さだ。


これらの高度なハードウェア性能を最大限に引き出し、最終的な画質を決定づけるのが、独自の高画質エンジン「NebulaMaster 2.0」。輝度性能を引き上げただけでなく、独自アルゴリズムによるフレーム間のHDRトーン調整も担う。更にISF認証の獲得、低ブルーライトや保証された映像品質に関するTÜV認証、Dolby Vision対応など画質スペックは完全装備と呼べるほどだ。
新発想、ジンバル “内蔵” 設計。補正機能もさらに進化
設置、補正の機能についてもNebula X1は先進的だ。
実際に実機を設置してみると本体サイズこそ大型ではあるが、新発想のジンバル “内蔵” プロジェクターとして、本体に電動で最大25度高さ調整できる機構を備えており、設置の自由度を確保。特に「AI全自動スクリーン調整」によって自動台形補正や障害物回避の働きがスムーズだ。



さらに、スマートプロジェクターでありながら光学ズーム機能を搭載し、0.9:1 - 1.5:1の可変式スローレシオで調整可能。これは、画質を保ったまま画面サイズを調整可能なホームシアタープロジェクターの領域へと踏み込む機能といえるだろう。
今回の検証は音元出版のシアター試聴室・ブラックで実施した。実際に設置してみると、これまで試したどのスマートプロジェクターよりも設置時の調整がスムーズだ。
投影設定を保存して素早く復元するスクリーンメモリーを利用できるほか、スクリーンフィットによるスクリーンへの投写位置調整、理想的な条件が揃わない壁投写の位置調整、壁の色に応じた調整なども活用できる。


なお、液体冷却システムによって従来モデル「Nebula Cosmos 4K SE」よりも約25%静かになった駆動音(約26dB)も快適なポイントだ。
OSにはGoogleTVを採用しており、Google Playストアから豊富なアプリをダウンロードして利用可能。YouTube、Netflix、Amazon Prime Videoといった主要な動画配信サービスはリモコンからダイレクト起動にも対応。もちろん2系統のHDMI入力でゲーム機接続などの拡張性も確保されている。

サテライトスピーカーがセット。4.1.2chサラウンド再生に対応
Nebula X1は、高音質化のアプローチもユニークだ。
前方配置のサテライトスピーカーによる“4.1.2chのサラウンド再生” という新機軸も取り入れられている。サテライトスピーカーをWi-Fi接続で前方に置く、という時点でスマートプロジェクターとしては常識外といえるだろう。
サテライトスピーカー内にはフロント、サイド、アップと3方向のスピーカーを搭載。接続時にはプロジェクター本体をサブウーファーとして駆動させる機能もあり、Dolby Audioの4.1.2chサラウンドサウンドの再生に対応する。

