JBLが追求する“劇場の音”を自宅で再現!お手頃価格の新サウンドバー「BAR 300MK2」レビュー
JBLから新エントリーサウンドバー「JBL BAR 300MK2」が6月26日に発売された。先代機の性能をしっかりと踏襲しつつ、サウンドや設置性など各種仕様がアップグレード。税込49,500円というお手頃価格ながらも、自宅で手軽に「映画館の音」を楽しむことができる注目のモデルだ。

しかし、「映画館の音」とは一体何を指すのか。それはホームシアターにおける永遠のテーマだ。単なる大音量か、それとも体を震わせる重低音か。そして、どの映画館の音をリファレンスとするべきか――。
JBLがその問いにひとつの答えを示している。それは、「迫力」や「臨場感」の先にある、高音質による「心地よさ」を極めたサウンド体験。その真髄を確かめるため、今回目をつけたのが、JBLが新たに作り上げた究極の劇場、「JBLプレミアムシアター」だ。
劇場サウンド体験のリファレンスがなければ、JBLのホームシアター製品を正しく評価することはできない。そこで筆者は、JBL BAR 300MK2のレビューに先立ち、まずは愛知県安城市にかまえる「JBLプレミアムシアター」へと向かうことにした。

日本初「JBLプレミアムシアター」の “360°極上音響” を体感。IMAXやDolby Atmosと何が違う?
訪れたのは、愛知県安城市にある総合アミューズメント施設を展開する株式会社コロナワールドのシネマコンプレックス「シネマワールド ららぽーと安城」。4月にオープンしたばかりのこの映画館のスクリーン5に、JBLが世界で初めて音響の全てをプロデュースした「JBLプレミアムシアター」が存在する。

このJBLプレミアムシアターが特別である理由は、単にJBLスピーカーを導入しただけではない点にある。コロナワールドによる「IMAXやDolby Atmosとは違う、独自の価値を提供したい」という想いからスタートし、JBLがその思想に共鳴。音響システムの設計から音響チューニングまで、JBLプロフェッショナルのエンジニアが全面的に監修した、世界で初めてのシアターなのだ。

驚くべきは、実際に映画館の設計と音響システムの設計段階で、音響チューニングの測定データが米国JBL本社のプリンシパルエンジニアによってチェックされ、承認されていること。まさに、JBL自らが「これが我々の目指す映画館の音だ」と認めた、世界基準のサウンドなのだ。コロナワールドのシネマ事業部 次長の松野 敦氏は、そのサウンド体験を「極上音響」と呼ぶ。


目指したのは、どの席に座っても均一で上質なサウンドが楽しめる音響空間。それを実現するのが、緻密な計算により配置されたJBLのスピーカー群だ。壁面や天井に設置された多数のサラウンドスピーカーをはじめ、スクリーン裏に鎮座する巨大な4ウェイ・シネマスピーカー「JBL 5742」3台、18インチのダブル/シングルサブウーファー計8発。その物量と、デジタル制御の「ベースマネジメントシステム」により、理想的な音場が創り出されている。


今回は、JBLプレミアムシアター取材時にちょうど上映中だった最新アクション映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』で実際にそのサウンドを体験した。

映画を鑑賞しはじめてまず度肝を抜かれたのは、音の質そのものだ。昨今の立体音響のように、音が空間を飛び交う派手さで驚かせるのとはアプローチが違い、ストレートに「音そのものの良さ」で勝負してくる印象だ。
ミッション:インポッシブルのシリーズお馴染みの主題曲を聞くと、音の前後に、そして音の解像度とダイナミックレンジが別次元。フロント方向の音情報が良いので、トム・クルーズの声の質感、息遣いまでがリアルに、そして一切のストレスなく耳に届く。

そして特筆すべきは低音の表現力。JBLプレミアムシアターではサブウーファーが高い位置にも設置されており、「低音の高さ」までも体験できる。
ストーリー中盤、潜水艦の水中シーンでは、その効果が存分に発揮される。下から突き上げるだけの重低音ではなく、あらゆる方向から包み込むように、そして水圧が変化する様が「高さ」を持って表現され、息苦しいまでの緊張感を空間全体で作り出していた。

これが、コロナワールドの松野氏が語っていた「極上音響」。どの位置で聞いてもサウンドの密度や量感を伝えるサウンドで、同時に一音一音が極めてクリア。だからこそ、作り手が意図した微細なニュアンスまでが余すところなく伝わり、長時間の鑑賞でも聴き疲れしない。
このJBLプレミアムシアターのサウンドが特別料金なしに体験できる――シネマワールド ららぽーと安城は、まさに映画ファンにとって指名で通いたい映画館だ。

このJBLプレミアムシアターのエッセンスを、どうすれば自宅で味わうことができるのか? いよいよ本題である最新サウンドバー「JBL BAR 300MK2」のレビューに移ろう。
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