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“よりBowers & Wilkinsらしい音を再現”。フラグシップヘッドホン「Px8」登場!「Px7 S2」と徹底比較レビュー

公開日 2022/11/30 06:30 高橋 敦
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しかしPx8のサウンドには「なるほどPx8こそB&Wヘッドホンのフラグシップだ」という説得力がある。「どっちの音が好み?」という問いへの答えは人それぞれ。だが「どちらの音がよりB&Wらしい音、B&Wハイエンドスピーカーに通じる音か?」と問われれば、多くの人が「Px8」と答えるだろう。

宇多田ヒカルさん「BADモード」を聴くとまず、密閉型ヘッドホンとは思えないほど素直に広がる空間表現に感心させられる。そこは両モデル共通の美点。他の様々な特徴が特長として綺麗に映えるのもこの広さという器があってこそだ。例えば声にかけられたエコーの立体感や滑らかな減衰も、空間表現の余裕があってこそ、それが際立ってくれている。

そういった共通点の一方で両モデルの違いとして大きいのは、音の質感的な要素。声の手触り感、シンバルやギターの鋭さや響きに乗る金属感などだ。Px7 S2はカチッとしすぎずナチュラル傾向。対してPx8はカチッとしたキレや彫りが持ち味で、研ぎ澄まされたクール系。低域の感触も、Px7 S2はあえて遊びも適度に残してあるタイプなのに対して、Px8は遊びが少なく強固。バスドラムの踏み込みの強さ、ベースの超低域の伸びなどではPx8が上回る。

「Px8」の付属品。キャリングケースと充電用/デジタル接続用USBケーブル( Type-C to Type-C)、USB Type-C to 3.5mmの有線ケーブルを同梱する

宇多田さんのこの曲から身近さや生活感を感じさせてくれるPx7 S2と、音楽家がセンスをぶつけ合うセッションの緊張感を強めてくれるPx8。どちらの表現も魅力的だ。

ジョー・パスさんのソロギター演奏「How High The Moon」も両機の個性が強く現れる。序盤の優しいタッチ、素朴な響きを生かしてくれるのはPx7 S2。対して続いてのアグレッシブなピッキング、その強引なまでの勢いをガツンと味合わせてくれるのは、音の芯やアタックをパキッと出してくれるPx8だ。これまたどちらもよい!

Px8は空間表現の精密感や音像の立体感の描写に秀でる



どちらもよいのだがしかし、B&Wの特に700 S3以上のクラスのスピーカーの印象に近いのはというと、それはPx8だ。音像描写も空間描写もビシッと正確で緻密。Px8こそB&Wヘッドホンを象徴するフラッグシップ!という説得力、納得感はそこから生まれている。

またB&Wらしさ云々への思い入れは別にしても、「こういう曲にはPx8!」という好相性をはっきりと感じられる楽曲やサウンド傾向もある。Midnight Grand Orchestra「Moonlightspeed」のようなエレクトリック・ポップスはそのひとつだ。

「Px8」のカラーバリエーションはブラック・レザー(写真左)と、タン・レザー(写真右)の2種を用意

シャープで立体的な音像を広い空間に配置するPx8でそのサウンドを聴くと、トータルでの解像感やクリアさも冴え渡り、コントラスト強めのVR空間的な世界が頭の中に展開される。一方Px7 S2で聴くと現実的な馴染み感が生まれてバーチャル感はやや薄まる。MVでも表現されているこの曲の世界観にフィットするのは、VR感を出してくれるPx8だろう。

というエレクトリック系のほか、空間表現の精密感や音像の立体感が特に求められる楽曲やジャンルにはPx8の方がフィットするかと思う。またUSBデジタル接続時でのハイレゾロスレス再生時にはまさにそれらの要素、Px8らしさB&Wらしさのキレがさらに増すので、利用できる場面では積極的に試してみてほしい。

付属のUSBケーブル( Type-C to Type-C)を用いてデジタル有線接続を行うことで、ハイレゾロスレス再生で高いポテンシャルをさらに発揮する



正直なところスペックや写真等の情報しかなかった時点では、Px7 S2の倍にも迫る価格設定に戸惑いや不安も覚えたのも事実。しかし実機を手にすればそれは、「ここまで仕上げてくれたならこの価格もわかる!この音この姿こそB&Wヘッドホンのフラッグシップにふさわしい!」という説得力に満ちていた。

ワイヤレスヘッドホンの世界にB&Wが提案する新たな価値観。それを体験してみてほしい。

(提供:ディーアンドエムホールディングス)

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