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精巧を極めたフラグシップ。ゼンハイザー ダイナミック型イヤホンの究極系「IE 900」を聴く

公開日 2021/06/21 06:30 山本敦
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中高域の煌めき感と、なめらかさが格段に向上した

それではIE 900のサウンドをレビューしていこう。普段からゼンハイザーのIE 800Sを愛用している筆者だが、大きな成長を遂げていることに驚かされた。これは演奏家のパフォーマンスをいっそう生々しく描き出せるイヤホンだ。

ボーカルや楽器の音に歪みがなく芯がブレない。S/Nの高さは、同じクラスのイヤホンの中でも群を抜いている。とりわけ中高域の鮮やかさと煌めき、低音の切れ味鋭いスピード感。ジャズピアノの輪郭線の描き込みは、IE 900のほうが一段と力強い。音像の立体感、充実したエネルギーの伝達力と限界を感じさせないダイナミックレンジのゆとりは、堂々とした王者の風格すら漂わせる。

オーケストラの演奏を聴いてみると、香り立つ雄大なスケール感の再現と、繊細なニュアンスの描き込みの両方に長けたイヤホンであることがよくわかる。弟機の「IE 300」が魅せる素直な若々しさに対して、冷静さと激しさが同居するIE 900のサウンドには聴く人を瞬く間に虜にする魅力がある。もちろんバランス駆動できるプレーヤーとの組み合わせを推奨したい。熱いメロディが涼やかに駆け抜けるような、音楽リスニングの悦びと出会えるからだ。

ちなみにパッケージの中にはシリコンとフォーム、2種類のタイプが異なるイヤーチップが各3サイズ、そしてシリアルナンバーを刻印するプレート付きキャリングケースなどが同梱されている。

2.5mm4極と4.4mm5極、そして3.5mm、合計3種類のケーブルを同梱し、自由に付け替えることができる。イヤーチップはシリコンタイプに加え、より外耳道にフィットする低反発タイプ「ビスコース・メモリーフォーム」も初めて採用された

ケーンケ氏は「ゼンハイザーのプレミアムイヤホンを待ち続けていた皆様に、私たちが長い時間をかけて培ってきた技術の粋と、様々なノウハウの結晶であるIE 900を深く味わい尽くしてほしい」と、本誌の読者にメッセージを寄せてくれた。IE 900はプレミアムイヤホンの定義をまた次の新しい次元に導くカタリストになるだろう。

最後に、ゼンハイザーは補聴器や人工内耳などの聴覚ケア事業を手がけるスイスのSonova社にコンシューマー領域の事業を譲渡することを公式発表したことにも触れておきたい。このIE 900に代表されるプレミアムオーディオ製品は今後もゼンハイザーの名を冠して開発が続けられる。

これまでゼンハイザーが踏み入れられなかった領域にも力強い一歩を踏み出すような意欲に満ちたオーディオ製品が誕生することを期待したい。

新開発「X3Rテクノロジー」。より自然でなめらかな高域を



IE 900に新たに搭載された「X3Rテクノロジー」。7mm径ドライバーは新設計で、コーティングのないポリマーブレンド振動板を採用して内部損失を高めて不要共振や歪みを抑えているほか、ボイスコイルをより軽量に、かつ巻き数も検討を重ねて最適化することで駆動力をアップさせている。


そして重要な役割を果たしているパーツのひとつが、エアーフローを最適化するために設けられた3つの溝「トリプルレゾネーターチャンバー」と、渦状のホール「アコースティックヴォルテックス」だ。マスキング効果や歪みを改善させて、極端なピークやディップのない、より自然でなめらかな高域を実現するメリットがあるという。


トリプルレゾネーターチャンバーを搭載したものと非搭載のものの比較グラフ。とくに高域特性(10kHz付近)が改善され、よりピークとディップの差が少ないクリーンなサウンドの獲得につながっているという。

<Specification>
●型式:ダイナミック型 ●ドライバー口径:7mm ●再生周波数帯域:5-48,000Hz ●インピーダンス:16Ω ●能率:123dB ●ケーブルの長さ:1.25m ●質量:約4g ●付属品:シリコンイヤーチップ(S/M/L)、ビスコース・メモリーフォーム・イヤーチップ(S/M/L)、ヘッドホンケーブル3種(3.5mm3極、2.5mm4極、4.4mm5極)、クリーニングツール、キャリングケースほか
本記事はプレミアムヘッドホンガイドマガジン Vol.16からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから

(協力:ゼンハイザージャパン)

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