【特別企画】DSPの進化とAuro-3D対応がもたらすサウンド

デノン新旧AVアンプを比較。最新モデル「AVR-X4700H」に買い換える意義とは

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大橋伸太郎

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2021年06月11日

DSPの進化、そしてAuro-3Dがもたらす絶大な威力

続いてデジタルサラウンドのマルチチャンネル再生で、AVR-X4700Hのより大きな歩幅の進歩を聴いた。スピーカーレイアウトは頭上4発を含む5.2.4構成である。最初にチャンネルベースの5.1chロスレス音声として、『スパイの妻(2KBD)』を視聴。日本人俳優のセリフの口跡の自然さを確認するためだ。

2世代前の製品も立派で、蒼井優の、高潮するとやや甲高く上ずる独特の台詞回しが自然でリアリティがある。しかし、このソフトは素のDTS-HDでは音場表現に乏しく、映画のドラマ空間の再現にはDTS Neural:Xでのアップミックスが必須である。

X4700Hに切り替えてみよう。音場空間が二回り広がり清澄さを増し、鳥の囀りや水音がきれいに広がり、日本語のセリフも明瞭さを増したのに驚く。DTS Neural:Xにした時の効果の向上ぶりは、ひとえにDSPの進化である。なにせX4700HのDSPは、X8500Hと同じグリフィンライトのクワッドコアの2個づかいである。処理能力の向上は歴然だ。

DSPの進化、そしてAuro-3D対応によりイマーシブサウンドもより大迫力に

次にイマーシブサウンドの主流、ドルビーアトモスのソフトを聴こう。『ワンダーウーマン
1984』冒頭のセミッシラでのトライアスロン大会のシーンは、旧世代機は音場に見通し、奥行き、解像感が足りず思わずボリュームを上げたが、X4700Hに変えるともどかしさが消え、音場が解れ、天地方向、水平移動、斜めの導線が明瞭で前後に太い線が通る。音場を貫く体幹がくっきりとあらわれた印象だ。

最後に『テネット』を聴いてみよう。監督のクリストファー・ノーランがIMAX信者であることに由来し、4K UHD-BDの映像はHDR10、音声はDTS-HDにとどまる。旧世代機の時点ではAuro-3D非搭載だったので、DTS Neural:Xでのアップミックス再生となるが、迫力十分なものの、やや平板な音場で単調な音色にとどまる。

X4700HはAuro-3D搭載の二世代目となり、スピーカーレイアウトが多様化したV2に進化を果たした。DTS-HD音声のソフトの多くがAuro-3Dとの再生互換性を持っているため、X4700Hのリモコンのサウンドモードを切り替えるとフラグを認識し、本体の表示窓に「Auro-3D」が表示された。

試聴室のスピーカーレイアウトはAuro-3Dのトップスピーカーを含む三層レイヤーでなく、一般的なドルビーアトモス準拠だったが、Auro-3D再生の威力は絶大なものだった。ボーイング747が格納庫に衝突するシーン、ハイウェイでのアルゴリスム争奪戦、全てのアクションのスケール、音の鮮鋭感、量感、解像感でDTS Neural:X再生に勝る。映画館が最新設備の一流劇場に変わったほどの違いである。試聴室の一同みなが思わず嘆声をあげたほどだ。

Auro-3Dに対応したアンプは多くないが、DTS-HDエンコードソフトの少なからぬ本数がAuro-3D互換である。ドルビーアトモスでないことに、もう我慢する必要はない。Auro-3Dで聴くべきだ。これはAVR-X4700Hの大きなメリットである。

AVR-X4700Hの背面部。Auro-3Dを再生するには最低でも9chのスピーカーが必要になるため、本機より下位のアンプではch数が足りず再生できない



AVR-X4700Hはサイズ、音質クオリティ、機能とベストバランスな製品である。しつこいようだが、Auro-3Dに対応しているのは9ch内蔵の本機から上のモデルとなる。今回は試聴しなかったが、MPEG-4AACがどのように聴こえるかも楽しみだ。準備にぬかりはない。イマーシブサウンドに脚を踏み入れた時のように、私達はデノンのAVアンプで、HDMI2.1の領域に脚を踏み入れたのである。

(協力:D&Mホールディングス)

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