【特別企画】DSPの進化とAuro-3D対応がもたらすサウンド

デノン新旧AVアンプを比較。最新モデル「AVR-X4700H」に買い換える意義とは

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大橋伸太郎

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2021年06月11日

もっとも発表当初は「8K対応新AVR/AVC」とHDMI2.1対応の文言がなかったのだが、それは導入の時期にHDMIフォーラムの認証が始まっていなかったからで、現在は認証済み。れっきとしたHDMI2.1対応アンプである。8K信号をパススルー、合計5種のHDR信号(Dolby Vision、HDR10+、Dynamic HDR、HLG)に対応。4K120HzのHFR動画やVRR、QFT、QMSへの対応は、ゲーミングにとっても大きな味方だ。

そしてAuro-3D再生に対応しているのも、デノンの大きな魅力。Auro-3Dに必要な最小スピーカー数は9chなので、現ラインナップで対応しているのは9.2chのAVR-X4700Hから。しかも、接続した全てのスピーカーにAuro-3D信号をアップミックス出力し、スピーカーを遊ばせないAuro-3D V2に進化しての搭載だ。ほか、DTS:XProは非搭載だが、IMAX Enhancedは搭載している。

Auro-3Dのイメージ

日本のユーザーのベネフィットを重視する姿勢は、BS4K/8K放送に用いられるMPEG-4AACを採用したことに現れている。PCM変換に伴う低域レベルの変動を避け、BS4K/8Kのサラウンド音声を無変換で再生する。これは、一貫してストレートデコードにこだわりつづけるデノンの音質至上主義のあらわれといえるだろう。

アナログ機構のブラッシュアップで、アンプの地力も向上

ドルビーアトモス、DTS:Xなどイマーシブサウンドへの移行に伴うモアチャンネル化で、9-11台のパワー部を内蔵した一体型アンプが求められたが、そんな非常に高い設計上のハードルに応えたのがデノンだった。

9ch、11chの内蔵アンプ数に合わせた最善のアンプレイアウトをそれぞれ考案し、筐体をむやみに大型化せず、従来通りのサイズで大型機並みの内蔵数と性能を実現したのである。結果、それまで使っていた5-7chAVアンプと同じスペースに9-11chのイマーシブAVアンプを置くことが可能になり、イマーシブサウンドへのステップアップが容易なものになった。筆者もその恩恵に浴したひとりである。

設計の妙と技術力の勝利という他ないが、内部レイアウトがあまりに高密度化し、それが音質に反映されて、当初はしばしば若干の生硬さが感じられ「もう少しのびやかさがほしいな。開放感を持って鳴るといいな」と感じさせる刹那があった。しかしその後、世代が進むにつれ、パワーアンプをはじめ各部の微妙な調整と使いこなしに習熟し、次第になめらかで素直な音に変わっていった。

今回は、2世代前機と比較してAVR-X4700Hの音質の伸長がはっきりと再確認できる機会だ。まずアンプの地力を聴くために、CDプレーヤー「DCD-SX1LIMITED」をX4700Hに接続し、CD音源を試聴した。

D&Mホールディングスのデノン試聴室にて比較検証を行った

ステレオ音楽ソースの女性ヴォーカル、カラブリア・フォーティ『プレリュード・トゥ・ア・キス』は、2世代前機は口跡が尖鋭で明瞭だが、やや声の質感に金属質の硬さがある。それに対してX4700Hは、しなやかで濡れたような口跡にはっとさせられる。空気感、色彩感も加わる。S/Nが向上、レンジが広がり、帯域も拡張。ピアノの倍音の伸び、余韻の持続が美しい。

オーケストラ曲、ウィーンフィルの『ニューイヤー・コンサート2021』は、2世代前機に比べ音楽の土台となる低域の支えが増し、小股の切れ上がったようなリズムが現れる。ノイズが減り、試聴室の空気が無観客開催の会場のひんやりしたそれに変わる。

こうした変化をもたらした理由のひとつが、基板のパターンレイアウトの見直しやローインピーダンス化といった、地道なブラッシュアップなのだろう。

続いて映画作品でマルチチャンネル再生を検証

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