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"音質追求”の特別機「Stellanova Limited」はヘッドホンをどう鳴らす? 実力徹底チェック!

公開日 2021/03/18 06:30 山之内 正
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この接続方法の利点は、ストリーミングサービスにつなぎながら、パソコンの音声出力をワイヤレスでStellanovaに伝送できることだ。もちろんパソコンは普段通りインターネットにつながる。パソコンとStellanovaの間を有線USBでつなぐよりも使い勝手が良く、特にノートパソコンのユーザーにお薦めしたい方法だ。データ量の大きいハイレゾ音源の場合、ダイレクト接続に比べて音声の途切れが増えるのではという心配があるが、それも含めて検証してみたい。安定した再生ができれば、ワイヤレス接続でも音質劣化が起こらないというStellanovaの良さを最大限に活かせるはずだ。

USB DACアンプ部、ワイヤレスユニット部それぞれで基板のパーツを多数変更して音質を徹底追及

今回はMacBook ProでAmazonMusicHDのストリーミング音源を再生した。アプリ上で再生デバイスとしてStellanovaを選び、MacのAudio MIDI設定で出力を192kHz/24bitに切り替えるだけで準備は完了。USB-DACを有線でつなぐ方法と同じなので難しさはないが、Stellanovaのアクセスポイントモードからステーションモードへの切り替えはiPhoneの専用アプリで行った。ステーションモードに切り替わるとWi-FiのLEDがオレンジに切り替わる。

■スタンダードモデルとの差はヘッドホンでも明らか

Stellanova(スタンダードモデル)でアンネ・ゾフィー・ムターの《ドニーブルーク・フェア》を聴くと、オーケストラと独奏ヴァイオリンの前後の距離がスピーカー再生に比べて狭く感じるが、Stellanova Limitedで同じ曲を聴くと、独奏ヴァイオリンが中央やや手前に定位し、そのやや後方に弦楽器が左右に広がる様子をリアルに再現する。打楽器や金管楽器はさらに奥まった位置に展開して、ヘッドホン再生でもそれぞれの楽器の位置関係をかなり正確に把握することができた。

低音楽器は低重心だが、重量級の低音感を引き出しながらも余韻は左右と上方にオープンな感触で広がっていく。この立体的な広がり感は開放型のK812ならではの空間表現なのだが、Stellanovaのスタンダード仕様ではそこまでの3次元的な広がりを引き出すのは難しい。楽器が増えたときの解像感も明らかにLimitedの方が余裕があり、遠くで鳴る打楽器や木管楽器のハーモニーを正確に聴き取ることができる。

USB DACアンプ部の側面にヘッドホン端子を装備

トレヴァー・ピノックのバッハ《平均律クラヴィーア曲集》は深々とした低音の支えと柔らかい感触の高音域が自然に溶け合って、楽器全体が豊かに響く様子を忠実に再現した。

チェンバロ独奏やピアノの録音をStellanova Limitedで聴くと、スタンダード仕様よりも静寂感がリアルで、音の立ち上がりのエネルギーが自然に伝わってくるし、弱音とフォルテシモの間の階調がなめらかで、強弱の鳴らし分けもきめが細かく感じられる。標準仕様のStellanovaに比べるとダイナミックレンジは確実に広がっていることがわかる。

ノラ・ジョーンズの「ハウ・アイ・ウィープ」はスピーカーで聴くよりもヴォーカルの距離が近く、生々しいタッチで迫ってくる。44.1kHz/24bitの音源だが、ロスレスで聴くと一音一音の粒立ちが鮮烈で、ヴォーカルをサポートする弦楽器のピチカートも発音が鮮明で余韻の広がりが立体的だ。アタックがなまらないので、音量をあまり上げなくても十分な音圧が感じられる。

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