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トライオードの新たな300B搭載アンプ「TRX-P300S」を聴く。改めて真空管の魅力に感嘆

土方 久明

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2021年01月28日
トライオードのラインナップの中でも特に人気のある300B搭載のアンプに、15世代目となる新モデル「TRX-P300S」が誕生した。本機は初段に12AT7、ドライブ段に12AU7を採用した300Bシングルのパワーアンプ。ボリュームも搭載されており、背面のスイッチによる切り換えで、シンプルなプリメインアンプとしても活用できる。

本機の特徴として、新たにハムバランサーによる調整を自動化したTHC(トライオード・ハム・キャンセル)回路を採用。ユーザーによる調整過程が不要でより使いやすいモデルへと進化を遂げている。また、上位モデルとしてPSVANE WE300Bを採用した「TRX-P300S-WE300B」もラインナップ。本項では土方 久明氏が、TRX-P300Sの実力をレビューする。


真空管パワーアンプ「TRX-P300S」¥220,000(税抜)※PSVANE 300B仕様の「TRX-P300S-WE300B」(¥266,000/税抜)もラインナップ

トライオード85作目となる300Bのシングルアンプ

トライオードは創業25年間で総販売台数5万台以上、総数84モデルを手がけた世界的真空管アンプメーカーである。そんな同社より、85作品目となる新型パワーアンプ「TRX‐P300S」と「TRX‐P300S‐WE300B」が登場した。

直熱三極管300Bを出力管に使用したモデルで、大型トロイダル電源トランスとSiCショットキーバリア整流ダイオードを採用した電源部により、A級シングル回路構成で出力 8W+8Wを実現。初段には12AT7が2本、300Bのドライブには12AU7が1本採用されている。

300Bを使用した同社現行モデルは4機種あり、TRX-P300Sは、300B使用モデルとして15世代目にあたる。好調なセールスの「TRV‐A300XR」をはじめとするプリメインアンプをセパレート化させ音質向上を実現したり、他社のプリアンプと組み合わせることをコンセプトとする製品だ。

ハムの調整も自動で行う独自のTHC回路を搭載

トライオードらしく使い勝手の良さは徹底されており、シャーシに備わるバイアスメーターで簡単にバイアス調整が可能なほか、本モデルには同社独自のTHC(トライオード・ハム・キャンセル)回路が備わっている。

300Bや2A3などの直熱三極管は真空管を暖めるフィラメントに5V(300Bの場合)の交流または直流電圧をかけるのだが、どうしても50Hz/60Hzのノイズが音として乗ってきてしまう、これをキャンセルするのがハムバランサーの役目で、通常他社のアンプでは直流点火+ハムバランサーでノイズレベルを最小に調整するが、THC回路によりメンテナンスフリーになった。

またパワーアンプながら、背面のスイッチを切り替えればフロントのノブでのボリューム調整が可能。そのため、入力1系統のシンプルなプリメインアンプとしても使用できる。

入力端子は1系統。パワーアンプとして設計されているため入力のゲイン調整スイッチやパワーダイレクトスイッチがあり、このスイッチの切り換えでフロントのボリュームにて音量調整も可能となる

PSVANE球を付属した上位モデルもラインナップ

一方の「TRX‐P300S-WE300B」は、米ウエスタンエレクトリック社の1960年モデルを徹底的に研究し生まれた真空管「PSVANE WE300B球」が搭載されたモデルだ。

多くの年代のWE球を所有する同社代表の山侮≠「わく「初めてPSVANE球を見たとき、1つ1つの部品やガラスの厚さ、響き、音質まで当時のモデルを見事に再現していたことにショックを受けた」とのこと。シャーシデザインは、トライオードのスタンダードを踏襲しているが、アイデンティティである赤色の彩度が若干抑えられ、高級感が増している。

上部に備わる3つのトランスは、中央が商用電源の100Vから380Vに変換する電源トランス。その両側はLチャンネル/Rチャンネル用の出力トランスで、スピーカーターミナルを介してダイレクトにスピーカーケーブルが接続されている。また合計5個の真空管がシンメトリーに配置されビルドクオリティの高いシャーシデザインが秀逸だ。

TRX-P300Sの内部写真。アッセンブリされたプリント基板と熟練工の手配線によって組み立てられている

TRX‐P300Sを試聴レビュー

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