【特別企画】“マイ柱”で知られる出水電器のオーディオブランド

半端ではない瞬発力と表現性を持つアリオン「S-200sv」。パワーアンプとして一級の性能を確認

福田雅光

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2020年11月21日
“マイ柱上トランス”など「オーディオ用電源工事」提案者として、確かな技術と実績を持つ出水電器が主宰する国産ハンドメイドブランド、アリオン(ALLION)の最新作「S-200sv」。200W/chステレオパワーアンプ「S-200」(AEX2010受賞機)およびその電源強化版「S-200II」に、10周年記念プリメイン「A10」の技術を導入。得意とする電源部は、余裕に満ちた特注トランスと最新ノウハウで徹底強化した。シンプルな回路を徹底して基板から再設計し、コンデンサーを始めパーツや部材、振動対策に至るまで妥協を排して起用。強力な駆動力と表現性を獲得しつつも抜群の電力効率の良さで、出力の割に発熱は極少という特徴を持つ注目モデルを、福田氏が試聴レポート。


妥協を排して先鋭的な智見を盛り込んだ渾身の新作
■パーツや電源部、回路基板を見直しアンプの本質を徹底追求

ガレージメーカーの開発する製品を聴く機会は多くはないが、メジャーブランド以上の価格の製品は、どのようなものなのか興味深い。今回、出水電器のオーディオブランド、ALLIONの最新パワーアンプを、自宅のレファレンススピーカーB&W 800D3で試聴する機会があった。

ALLIONステレオパワーアンプ「S-200sv」1,600,000円、税抜

ステレオパワーアンプ「S-200sv」は旧「S-200」のスペシャルバージョンで、大型Rコア電源トランスを核に、高性能出川式整流回路による徹底した電源重視構成。電力増幅部は、トランジスター素子によるパラレルプッシュプル方式、AB級動作で200W/8Ωの最大出力を持つ。

S-200svのブロックダイヤグラム概念図

回路構成はブロック図のように、シンプルな回路が特徴である。バランス伝送をアンバランスに変換する入力経路があり、入力はセレクターを必要としないXLR1系統のみ。差動アンプからがパワーアンプ回路になり、差動アンプはFET入力にトランジスターを直列に重ねるカスケード接続を採用。動作の直線性や、正確な動作特性を高めたものと思われる。

そして、電力増幅部を駆動するドライバー回路を得て、2個並列の電力出力素子で構成されたものだ。オーソドックスなNFBを使う回路方式である。また、スピーカー出力端子の2系統は並列に接続してあり、ロスを発生する切り換えスイッチの装備はない。

おそらく信号経路のロスをできるだけ排除し、シンプルなアンプ回路に強力な電源を採用、回路素子に高性能パーツを投入して、本質的なアンプ機能を徹底追求する設計と解釈することができる。

削り出しの特殊樹脂素材による特製のインシュレーター部

電源ON/OFFは、フロント側から操作できるよう、底板に装備されたオーディオ用ブレーカースイッチで行う

また、こんなこだわりもある。電源整流素子は30Aタイプで十分な回路に、540Aの大型素子を投入。電源スイッチは、ヒューズによる劣化を避けるため、オーディオ用ブレーカーにした。4mmの極厚シャーシに、デルリン材のインシュレーター脚。常識的には不要に思えることでも、音質を徹底追求するマニアは、そのようなパワーアンプでどのような音がするのか聴いてみたくなる。アリオンの製品は、こんな無謀さに興味と期待を持たれているようだ。

「S-200sv」リアパネル。電源インレット(NCF仕様)、XLR入力、スピーカー出力の各端子は、いずれもフルテックのロジウムメッキで統一。スピーカー出力端子は、固定ナットを自前のロジウムメッキ仕様として採用

さらに今回の製品には、スピーカー出力端子にフルテックの高級ロジウムメッキ仕様FT-809(R)を採用。トルクリミッタ機能付きのオーディオグレードである。内部にどのように性能の高い回路を導入していても、アンプの出力端子の性能でロスが発生していては意味がない。重要なポイントだと考えている。

半端ではない瞬発力や表現性

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