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【特別企画】コンパクトな筐体に驚愕のパワーを秘める

Benchmarkの名にふさわしい駆動力と表現力。プリ&パワーアンプ「LA4」「AHB2」を聴く

公開日 2020/10/08 06:30 小原 由夫
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優れた特性で音楽信号を精密に調節するプリアンプ「LA4」

「LA4」はラインレベル専用設計で、最高級の金接点コンタクトリレーと、4つの独立した256ステップ・アッテネーターによる音量調整機構を搭載している。前面のノブはロータリー・エンコーダーになっており、0.5dB単位の音量調整を可能とする、高精度メタルフィルム抵抗による切り換えだ。

「LA4」は金接点コンタクトリレーと256ステップの音量調節メカニズムを搭載する純アナログアンプだ

そのアンプ部はSN比137dB、歪み率0.00006%という極めて優秀なスペックを誇る。これほど超低ノイズ、超低歪みに仕上げられていながら、0.01Hzから500kHz以上という広帯域な周波数特性と忠実な位相特性を備えている点が見逃せない。

装備面では、アンバランス/バランスそれぞれの入力端子を2系統ずつ備える。そうした入力の切り替えが前面左側に備わったタッチスクリーンですべて操作できる点も特色だ。具体的には、入力端子ごとのレベル・トリミング、入力端子の名称変更、音量のミューティング、ディスプレイの照度調整(ディマー)などが設定できる。

インターフェースとしてタッチパネルを搭載。入力切替や各種設定もグラフィカルだ

LA4の入出力は背面に集約されている

筐体はアルミ製で、米国内で製造、出荷テストされるという点だけでなく、主要パーツに米国製を採用ということも積極的にアピールしている。

「THX-AAAテクノロジー」をコアとするパワーアンプ「AHB2」

パワーアンプ「AHB2」も、上記の通り米国内製造という点で共通しているが、最も大きな特徴は、AVアンプ等の高品質レギュレーションや技術を規定している「THX」社の革新的なテクノロジー「THX-AAA(Achromatic Audio Amplifier)テクノロジー」を採用していること。

AHB2は「THX-AAAテクノロジー」が目玉のパワーアンプ

このオリジナル技術のユニークな着眼点は、パワーアンブ増幅素子が正から負、あるいはその逆に切り替わる時に発生するクロスオーバー歪みを実質的にゼロにするところにある。THXが開発した独自のフィードフォワードエラー補正システムの応用により、広い周波数特性と低ノイズを実現しながら、低インピーダンス領域でスピーカーの要求する駆動電流に瞬時に反応するよう高いダンピングファクターが維持される設計だ。

その実力は、ABクラス(バイポーラ)出力で6Ω負荷時に、実に480Wのパワーをギャランティーするというから(モノラルのブリッジ接続時)、そのサイズからは信じられないワッテージを誇っている。数値だけを羅列しても仕方がないかもしれないが、最大29Aのピーク電流とSN比132dB、歪み率0.0003%未満というのだから、凄い。

これほどのハイパワーを有しながら、AHB2は再生中も本体がさほど熱くならない。先のTHXの技術とが相まってバイアス電流が低く抑えられ、とても高効率なアンプに仕上がっているのが驚きだ。

背面には出力を増幅できるSENSITIVITYスイッチを搭載するが、Benchmark製品同士を組み合わせる場合は低いゲイン設定で理想的な特性が得られる

STEREO/MONORAL切り替えスイッチも背面に搭載。2台のAHB2でモノブリッジ接続を行い、アンプ性能をさらに発揮することができる

独自に開発した低ノイズスイッチング電源部はオーディオ周波数の負荷変化に対応して厳密にコントロールされており、トランスとコンデンサーバンクも小型ながら必要十分の性能を備えるという。大きなスイッチングノイズを排除し、従来のリニア電源よりもはるかにクリーンで静かというこの電源部は、前述の高いピーク電流の維持の後ろ盾だ。つまりAHB2は驚異的なハイパワーを発揮する一方で、きわめて省エネにまとめられていることを特筆しておきたい。

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