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世界初、ズーム全域で開放F値1.7を実現!

従来の常識を覆す新世代のズームレンズ。パナソニック「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm / F1.7 ASPH.」レビュー

公開日 2020/03/27 06:30 桃井一至
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■1本で単焦点レンズ5本分の画角と画質をカバー


絞り開放だが、下手なレンズでは花びらなどのフチに色づきが見られるが、極めてクリアー。絞り開放から、気兼ねなく使える質の高い描写がうれしい。晴天下では、メカシャッター方式と電子シャッター方式の自動切り替えがおすすめだ。(焦点距離25mmで撮影)

「LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm / F1.7 ASPH.」は、フルサイズ換算で焦点距離20〜50mm相当にあたる。同社では標準ズームに分類されているが、実際は超広角から標準までの広角使用を重点に置いたズームレンズになる。

鏡筒のサイズは全長128mm、最大径φ87.6mm。重量は690g。Gシリーズのフラグシップ「DC-G9」と組み合わせても、それなりの存在感を示す大きさだ。だが、忘れてはならないのは、本レンズがズームレンズであることと、F1.7を誇る開放F値を持つ点だ。単焦点レンズで言えば10mm、12mm、14mm、17mm、25mmと、5本分の画角をカバーできる上に、各焦点距離の間は当然シームレスに使うことができる。

Gシリーズのレンズラインナップで同クラスの単焦点レンズを見比べると、10mmに該当レンズはなく、12mmでは「LEICA DG SUMMILUX 12mm / F1.4 ASPH.」、15mmでは「LEICA DG SUMMILUX 15mm / F1.7 ASPH.」、20mmでは「LUMIX G 20mm / F1.7 II ASPH.」、25mmでは「LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4 II ASPH.」と、4本のレンズが該当する。その4本の質量を足すと約742gとなる。

本レンズを大きく感じても、数字で見ればその差は歴然。特に強みを活かせる夜などの暗いシーンでは、レンズ交換の負担が大きいのもあり、本レンズ一本で済ませられるのは大きなアドバンテージといえるだろう。


夜のスナップを気軽にできるのも、大口径レンズの醍醐味のひとつ。ズームがあれば、手元が見えにくい状態でレンズ交換することもなく、構図に広がりも持てる。Gシリーズ上位ボディとの組み合わせなら、手ブレ補正も効くので鬼に金棒だ。(焦点距離25mm)


明部から暗部までしっかり描き出す能力と、緑や枝の一本一本まで見事に解像しているのがわかる。構図の微調整に苦労する風景写真なども、単焦点レンズよりも、こちらのほうが画質と利便性の両立ができる。(焦点距離21mmで撮影)

もちろんF1.7で一定の開放F値は何ものにも代えがたい。高級ズームレンズの開放F値は、一般的に2.8が通り相場だが、F1.7ではそれより約1.5段分も明るい。これを可能するのはマイクロフォーサーズ機特有の恩恵が大きく、フルサイズ機のSシリーズで同じことを目指すと、現実的なサイズや価格でまとめるのは及び難いと思われる。

また、フルサイズとマイクロフォーサーズでは、画角と絞りを揃えた場合、マイクロフォーサーズは、おおむね2段ほど絞り込んだボケ量になるが、本レンズであれば、フルサイズのF3.5相当のボケ量を得られる計算。F2.8にはわずかに及ばないが、その差は少なく、ISO感度をむやみ上げずに撮影できるメリットなどを考慮すれば、おのずとこのレンズの強みが浮かび上がってくる。

次ページ周辺部まで均質で最新高級レンズらしい解像性能

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