[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第245回】

1,700円! ハイコスパな有線“ピヤホン”発売間近、ピエール中野氏に魅力を直撃

高橋 敦

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2020年03月26日



2)試聴レビュー:有線ピヤホンはさらにトータルバランス重視!

ここでインタビューパートは一旦お休みして、HSE-A1000PNの音を聴いての筆者の印象をお伝えしておこう。こちらでその音の傾向を確認した上で、そこについて改めて中野さんご自身に伺うインタビュー後半に進んでいただければと思う。

まず、ベースモデルHSE-A1000と有線ピヤホンHSE-A1000PNを比較して、音の印象の違いを傾向表にまとめてみるとこんな感じだ(画像参照)。


帯域バランスはオール3をフラット、音質傾向はオールセンターをフラットとして、そこからの±がそれぞれの音の個性を表している。

まず両モデルとも、ほとんどの項目が3やセンターに対して±1の範囲に収まっており、どちらもバランス良好のオールラウンダータイプということが言える。

その上でHSE-A1000は、エレクトリックベース等の太さを出してくれる中低域、細かな音にまでカッチリとした輪郭を与えてくれる高域に少し主張を持たせることで、低音のボリューム感や、細かな音までが明確に届いてくる解像感といったオーディオ的な楽しさ、いい音で聴く楽しさを、より分かりやすく明快に表現してくれる印象だ。

対して有線ピヤホンHSE-A1000PNは、傾向表のパッと見からしても分かるように、さらにフラット、さらにバランス良好なチューニングとなっている。

具体的には、中低域と高域の凸を少し抑えた印象だ。そこを抑えることで、他の要素、例えばエレクトリックベース等でいえば、太さだけではないさらに低い帯域までの音の深み、ギターやシンバルでは、鋭さだけではない滑らかさやほぐれといった、より細やかな部分がリスナーに届きやすくなっていると感じる。

また、中低域のボリューム感がやや控えられることで、音と音の間に余白が確保され、アンサンブル全体の見晴らしも向上。手数音数の多い演奏やアレンジでも、それらの音が塊になりにくく、ひとつひとつの音の粒立ちを感じやすい。この点はそれこそ、凛として時雨の曲を聴くと分かりやすいだろう。

というと「つまりピヤホンの方がいい音ってこと?」と思われるかもしれない。しかし「そうとも言えるが、一概にそうというわけでもない」というのが、イヤホンの面白さだ。音の好みは人それぞれであるし、イヤホンをどんな用途や場面で使うのか?によっても答えは変わってくる。

例えば場面でいうと、カッチリと立った音で周りの騒音に負けにくいHSE-A1000は、通勤通学の電車内などではその強みを特に発揮してくれそうだ。一方、好きな曲を静かな場所でじっくり聴き込むなら、集中して聴き込むほどそれに応えて細かな音や演奏のニュアンスまで届けてくれるHSE-A1000PNが、その力を最大限に発揮してくれるだろう。

ピエール中野が認めたイヤホン、HSE-A1000。
ピエール中野が作ったイヤホン、HSE-A1000PN。
どちらもさすがのサウンドだ。



3)インタビュー後半:チューニングとアクセサリーについて

── HSE-A1000PNのチューニング、音作りについてですが、まず僕が聴いての印象は、HSE-A1000と並べてこういったイメージでした(先程の傾向表)。

ピ様 なるほど……うん、だいたい僕が狙った通りの印象を持ってもらえてますね。安心しました(笑)。

ベースモデルと有線ピヤホン、筆者が感じたそれぞれの音の印象をお二人にも見ていただいた

── 完全ワイヤレスピヤホンもそうでしたが、中野さんのチューニングは、どこかの音を強調して目立たせるのではなく、ベースモデルの音を絶妙に整えることで、全体のバランスや聴きやすさを磨き上げるアプローチと感じています。

ピ様 完全ワイヤレスのときも今回も、自分が気に入ったイヤホンをベースモデルとして使わせていただけているので、大きな味付けをする必要はないんですよ。素材がいいんで。

今回もHi-Unitさんのラインナップの中で「解像度が高めで、定位がわかりやすくて、疲れない低音」っていう、自分の好みにいちばん合っていたのがHSE-A1000。そのHSE-A1000の持ち味を生かしてチューニングしました。

── HSE-A1000の音から調整を加えたポイントはどういったところでしょう?

ピ様 HSE-A1000の低音は少し広がる感じではあったので、そこをタイトにしたら自分の好みにもっとフィットしてくれるんじゃないか?と思ったのと、あとは高域のアタリの調整ですね。どちらもうまくいきました。

── そこは実感できました。例えばエレクトリックベースの音だと、横への広がりが抑えられることで、下への沈み込みや深みの方が際立ってくるような。

ピ様 HSE-A1000がそういうポテンシャルを持っていたおかげですね。広がりだけじゃなく、低音の様々な要素が元から充実していたからこそ、広がりという要素を少し抑えてあげることで、他の要素も相対的に浮かび上がってきたんだと思います。

チューニングでは大きく変化させるのではなく、気に入っている素のサウンドに対してピ様の好みを反映させているという

ベース機のポテンシャルを生かし、音楽を作る者としての思いも込めたサウンドに

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