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Roon Readyにも対応

ESOTERICの二大ネットワークプレーヤー「N‐01/N‐05」。2人の評論家が徹底検証、その魅力を語る

公開日 2019/11/20 06:30 角田郁雄/岩井 喬
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一方でUSB-DAC接続ではそうした甘さにつながる部分は排除され、制動性の良いキレ鮮やかなサウンドに変化。リズム隊やピアノのアタックは素早く、オーケストラの旋律も澄み切っている。音離れの良いリアルなヴォーカルの息遣いや、引き締まったリズム隊のシャープな描写も美しい。

そしてRoon Ready環境に切り換えると、この2つのパターンの中間といえるようなバランスの良い滑らかで密度とキレ感を両立したサウンドとなる。弦楽器やヴォーカルは潤い感が増し、オーケストラの低域は落ち着き良く伸びやかだ。解像感やS/NではUSB-DAC接続が理想だが、艶感やディテール再現のバランスではRoon Readyでの聴かせ方にも魅力を感じた。

「N-05」では、全体的に躍動感のある大人びたサウンドが魅力

続いてN-05であるが、AKM製AK4490を4基搭載したDAC部を持ち、USB接続時は384kHz/32bitのPCMと11.2MHzのDSDに対応。ネットワーク再生時の対応フォーマットはN-01と変わらない。

N-05のDAC基板。このDAC部への電源供給にもスーパーキャパシターを採用している

UPnPは流石にN-01との物量の差が出るものの、ハリ良くスムーズなオーケストラや、滑らかで肉づきよく生々しいヴォーカルなど、リアル志向でありながら耳当たり良いマイルドタッチなサウンドを聴かせてくれる。

USB-DAC接続はN-01と同じく、フォーカスや制動性の良いサウンド傾向だ。S/Nの良さからくる優れた空間表現力と潤い良く自然な質感描写によって、爽快かつスムーズな表現を楽しめる。N-01と比べても、肩の力が程よく抜けた開放的な音色といえよう。

Roon Readyでも同様の傾向を感じており、ある側面ではN-01より音楽表現が豊かな印象を得た。シンバルやピアノの響きやオーケストラのローエンドの伸びも落ち着きがあり、ヴォーカルのウェットな口元もしなやかで瑞々しい。リズム隊のタイトさも弾力良くまとめ、全体的に躍動感に富んだ大人びたサウンドである。

N-01は絶対的フラッグシップとしての堂々とした佇まい、凛とした品性の高さも伴った音質傾向であり、回路構成の規模が異なるN-05とは基本的に次元が異なる。しかし、これは好みの部分もあるだろうが、N-05は硬さのない朗らかなサウンドが持ち味であり、特にRoon Ready環境ではそれが利点として働いているように思う。

N-01も含め、よりハイスペックな音源を突き詰めて楽しむには個人的にはUSB-DACとの接続がお薦めだが、ネットワーク再生では快適な操作性とRAATプロトコルによる音質的優位性において、UPnPよりRoon Ready環境は数段進化を感じる結果であった。

本格的にRoon Ready環境が整ったことで、USB-DAC接続との音質差も縮まり、いよいよネットワークプレーヤーとしての本領が発揮される時代になったと感じた次第だ。

N-01、N-05ともにリアパネルにUSBメモリやUSBハードディスクを接続可能。単体でのミュージックサーバー的な使い方も可能としている

(岩井 喬)


本記事は季刊・Net Audio vol.35 Autumnからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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