AVIOT「TE-BD21f」は“前人未到”、完全ワイヤレスイヤホン屈指のサウンドを聴く

■屈指のブレンド力が光るバランスの良さ。配慮の行き届いた使い勝手も高ポイント（文：海上忍）

完全ワイヤレスイヤホンの面白さは、限られた空間にどの要素を詰め込むかという「ブレンドの妙」にある。一般的にドライバー（ダイナミック型）は大口径が有利だが、大きすぎれば耳に収まらない。通信機能やDACなど “頭脳部” は最新の機能・性能が要求され、全体としてはバッテリー容量やアンテナの配置、さらに音響的なデザインが絡む。

その表現に倣えば、AVIOTは完全ワイヤレスイヤホン界屈指の「ブレンダー」だ。最新フラグシップモデルのTE-BD21fは、世界で初めて完全ワイヤレス型として採用したハイブリッド・トリプルドライバー構成により、徹底的に音質にこだわった。

ハイブリッド・トリプルドライバーの効果、その恩恵は一聴すれば理解できる。量感あるベースは深く沈み込み、スネアアタックは鋭く立ち上がって迅速に収束する。一方で、中高域の解像感もしっかり確保されている。

ピアノのサスティーンは余韻を繊細にトレースしながらも、不自然に膨らむことはなく、音場の広さと艶、空気感をリスナーに伝える。性質の異なる2種類のドライバーを絶妙なバランスで組み合わせることは、一朝一夕にはいかないもの。ここでもやはり「ブレンド力」が光る。

装着感も上々だ。付属のSpinFit共同開発による専用イヤーピースは、良好なフィット感を生み出し、疲れを感じさせない。ローレット加工が施された周縁部は本体をつかみやすいだけでなく、外部ノイズの影響を抑えるためともいう。

さらに、左右のユニットに装着して首かけを可能にするシリコン製ストラップを標準装備した点も、ユーザーへの気配りを感じさせる。TE-BD21fはその高音質もさながら、細かい部分まで行き届いた、 “いちいち良くできた” 完全ワイヤレスイヤホンの新星だ。